2022/10/19

【英文学教授の相棒は本を読まない刑事!?】王道バッチリだからこそ味わい深い『エイミー教授のミステリー講座』

犯罪小説専門の英文学教授が、圧倒的な知識と推理力で難事件に挑んでいく一話完結のミステリードラマ『エイミー教授のミステリー講座』。ホームズやポワロさながらの推理力を見せるエイミーと、現実の犯罪だけでお腹いっぱい(だから本は読まない)な敏腕刑事トラヴィスとの若干かみ合わないやり取りが癖になる王道ミステリーの魅力をご紹介します。

【思わずニヤリ?名作ミステリーあるある】

本作の主人公は、洗練された現代建築が美しいエルムステッド大学で教鞭を執るエイミー・ウィンズロー教授。10年前までこの大学に勤めていた父が開設したミステリー講座を受け持ち、その人格と知性、そして講義の面白さから英文学専攻の学生たちを中心に人気を集めています。

今やベストセラー作家となった推理小説家の父の影響もあってか、彼女の観察力と推理力はミステリー作品に登場する名探偵さながら。初対面の相手がいつどこから来たのか、今独身か、自己紹介の前に分かってしまう…なんてことは朝飯前です。授業中にチラチラと携帯に気を取られる学生にもすぐ気が付きます(これは、先生にも必須のスキルかもしれませんが…)。

第一話では、そんな彼女の講義を受講していた学生の一人が失踪する事件が発生。別件の事件の捜査で大学を訪れていた地元警察の刑事トラヴィス・バークと出会い、彼から若干嫌な顔をされながらも事件の捜査に積極的に乗り出していきます。「え、大学構内でそんなにいくつも事件が起きて大丈夫なの?」と思いましたか?私もそう思います。トラヴィスがやってきたときにすでに二人失踪、さらには盗難事件まで発生しています。キャンパスライフは危険に満ちていますね。

さて、そんな本編ですが、ドラマの随所でミステリーファンなら思わずニヤリな台詞が満載です。

毎回異なる犯罪小説を取り上げるエイミーの講義では、コナン・ドイルやアガサ・クリスティーの名著をはじめ、数多くのミステリー作品が登場。「犯人は誰か?」という基本的な部分はもちろん、探偵とその相棒の関係性や、犯行の動機に至るまでのストーリーラインなどなど…さまざまな角度から犯罪小説を考えていくスタイルの授業に、こっそり聴講させてもらえないか、なんて考えてしまいました。

さらに面白いのが、ミステリーの生き字引のようなエイミーの相棒となるのが、推理小説なんて読んだことがないと豪語する敏腕刑事トラヴィスというところです。

彼にはなぜ優秀な人の頭に詰まっている脳みそが「灰色」なのかもわかりませんし、イギリスを代表する作家コナン・ドイルの名言を言われても「いいセリフだな、俺もそう思う」なんて返すことも…(笑)。正反対の二人による、かろうじてキャッチボールの形を保っている会話もこのドラマの魅力の一つです。

【アマチュア美人探偵&敏腕イケメン刑事の関係性が気になりすぎる】

さて、犯罪小説の専門家が事件捜査に乗り出すというこのドラマ。もちろんそれぞれの事件も、ミステリー作品として頭を悩ませるに十分な謎とトリックに満ちています。

しかし、このドラマの魅力として、エイミー教授と刑事さんの気になりすぎる関係性を語らないわけにはいきません。

探偵と警察の関係性は、えてして微妙な緊張状態にあるものとして描かれがちですが、第一話での二人もはじめは波長が合わないようで。

職業柄あまりにも多くの犯罪小説に触れてきたために、他の人では気が付かない、あるいは気づいたとしても重要視しないような小さな変化に気が付いてしまうエイミーは、自分の懸念を警察が軽視することが我慢なりません。

一方、犯罪なんて現実で起きている分だけで十分、というトラヴィスからすれば、危険な犯罪者と常に隣り合わせの現場に、フィクションでしか犯罪を知らないアマチュアがやってくるのは言語道断。規制線の黄色いテープから、手も足も口も出すんじゃない、というのが彼の意見です。

どっちの言い分にも一理あります。では、トラヴィスからNGを出されたエイミーがどうするのかというと、彼に黙って事件の捜査に乗り出すわけですね。本編では、「人殺しをやってのけたかもしれない相手の家になんでエイミーは一人で行く?」「トラヴィスはいつも来るのが遅い!」「電話して、合流して、それから一緒に行けばいいだろ!」とやきもきしてしまうシーンが満載です。ミステリーあるあるです。

そんな二人ですが、エピソードを重ねるごとに距離が近づいていきます。

エイミーの鋭い指摘や深い洞察力が的を射ていることが多いことに気が付いたトラヴィスは、少しずつ彼女の捜査の手伝いを許すように。刑事として守らなければいけない一線(最初の現場検証にはエイミーを連れて行かない…など)を守りつつ、彼女のアドバイスをありがたく受け取るようになっていきます。

エイミーもまた、規則やマニュアル、ノルマに縛られて真実をおろそかにするのではなく、事件の真相究明への熱意に溢れたトラヴィスを信頼し、ふたりの関係性は少しずつ変化していきます。

推理小説なんて読んだこともなかったトラヴィスが、エイミーに勧められた本を片っ端から読んでいくなど、ふたりのちょっとかわいい関係性が垣間見えるシーンもあり、「これは恋じゃない!?」「いやまだ友情でしょ」と頭の中がうるさくなること間違いなしです。謎解きに割く分の脳みその容量を圧迫してくるぐらいには気になる関係です。

【魅力あふれるサブキャラ達】

そんな二人の脇を固めるサブキャラ達もとても魅力的です。

エイミーの父グラハム・ウィンズローは、ミステリー界にその人と知られたベストセラー作家です。10年前まで、まさに今エイミーが働いているエルムステッド大学で教鞭を執っていた経歴を持ち、退職した今は、広い家で執筆作業にいそしむ日々を過ごしています。

早くに妻を亡くし、男手一つで立派に育て上げた愛娘であり、一番弟子であり、同好の士でもあるエイミーとの仲睦まじい様子はドラマの中でもかなりの癒されるシーンです。

犯罪小説のプロではあっても、それはあくまでもフィクションの話。
それを一番よく分かっているグラハムは、自分の娘が事件の捜査に参加することには、あまりいい顔をしません。
捜査には常に危険が伴います。捜査線上に浮かびあがる誰かとは、もしかしたら人を傷つけ、あるいはもっとひどいことに手を染めているかもしれない人物であることを考えれば当然のことです。

そんなグラハム的に今一番気になるのが、シカゴからやってきて、あっという間に娘の隣に収まったイケメンマッチョな刑事トラヴィスです。これで嫌な奴だったら悪口も言えたものの、めちゃくちゃ好人物。刑事としての実力も高く、話も分かるトラヴィスに、グラハムはすぐに打ち解けます。なんならエイミーが忙しい時には代わりに食事に招いて会話を楽しんでおり、娘以上に娘の友達と仲がいいお父さん…という味のあるキャラクターです。

また、エイミーのアシスタントとして講義や試験の準備から、事件捜査の情報整理まで一手に担う、デキる男バド。そして、エイミーのかつての教え子で、今はトラヴィスの部下であるクレアという若者コンビも欠かせません。

ボスにとことん忠実なバドは、エイミーから頼まれれば、講師の代打から、監視カメラの膨大なデータを整理する雑務までなんでもこなしてくれます。エイミーにとっては若くも頼りになるアシスタントであり、彼を相手に事件の話をしていれば何か思いつく…なんてこともしばしば。

一方、大学時代エイミーの授業で好成績を収めたクレアは、厳しい訓練や実務を乗り越え、トラヴィスの部下に。犯罪が多発する大都会からやってきたトラヴィスから、優れた刑事に必要なことを学ぶ日々の中で、恩師エイミーの捜査協力にも好意的な姿勢を見せます。

そんな周囲からの手厚いサポートを受けながら、正反対に見える二人が、謎に包まれた事件の真相という同じ方向を向いて協力していくのがこのドラマなのです。
『ミス・マープル』や『ジェシカおばさんの事件簿』をはじめ、アマチュア探偵が難事件に挑むシリーズは、小説、ドラマ問わず人気のジャンルですが、本作もその魅力にあふれています。

一話完結であっさりと見れますし、犯人像に迫っていく謎解きや犯行のトリック、意外な動機などなど、ミステリー作品には欠かすことのできない大切な要素がしっかりと盛り込まれています。

また、他のミステリー作品を知っていればいるほど、「あ~あれね!」とうんうん頷ける台詞も盛りだくさんなので、ドラマの合間に挟まるエイミーの台詞も(そしてそれに対するトラヴィスの反応も)要チェックです。

ミステリー好きにはたまらないドラマであり、ミステリー初心者にはさらなる名作へ飛び込むきっかけづくりにもなる素敵な作品だと思います。興味のある方はぜひチェックしてみてください!
 

[文:瀧脇まる(うりまる)]

 


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