夫の死の真相を突き止めるため単身オーストラリアへやってきた英国女性と、愛犬と共に悠々自適な引退生活を送る元刑事の出会いから始まるロードトリップ・ミステリー。偶然の出会いから旅の仲間となった二人と一匹が、美しいオーストラリアを移動しながら様々な事件に巻き込まれてゆく物語をテンポよく描いた本作。その魅力を一足先にご紹介します!
主人公の一人は、ジョーン・カークホープ。イギリスにいるごく普通の主婦だった彼女をオーストラリアの一人旅に駆り立てたのは、一つの謎でした。それは、最愛の夫イアンが自分についた嘘。物言わぬ姿で再会することとなった夫が最後にいたのはなぜかオーストラリアでした。自分に嘘の行き先を告げてまで旅立ち、そして死んでしまった夫の真実を解き明かすため、ジョーンは娘の反対を押し切って単身、オーストラリアへ。
風景の美しさを楽しむ余裕もなく、夫の遺した持ち物を手がかりに彼の足取りを追うジョーン。残念ながら下調べも準備も最低限で飛び出してきたので、なかなか思うようにいきません。タブレット端末のカーナビすら反抗してきます。「目的地まで○○メートル」と言われても、ヤード・ポンド法に忠誠を誓う国からやってきた彼女にはさっぱりです。どこで右折ですって?という感じ。
そんな彼女がひょんなことから一緒に旅をすることになるのが、元刑事のジャック・ダービー。愛犬ディーゼルと共に悠々自適な男二人旅をしていた彼ですが、とある出会いをきっかけにジョーンの旅の相棒となります。「不愛想なオーストラリア男」(ジョーン曰く)と「高飛車なイギリス女」(ダービー曰く)は、問題を抱えた人類にも無償の愛 をくれる素晴らしい友ディーゼルを間に挟んで、時々言い合いをしながらオーストラリアを巡ることに。
退職した者同士のきままなのんびり旅かと思いきや、なぜか行く先々で事件に巻き込まれてしまう二人と一匹ですが、ダービーは元刑事。不穏な状況でも冷静沈着に対処していきます。ではジョーンは頼りにならないのかと言えばそんなことは全くありません。なんと彼女は元看護部長。怪我や病気に対する知識と経験が豊富な彼女は、遺体を前にしても動じることなくダービーと共に事件の捜査にも積極的に乗り込んでいきます。さらに彼女は、持前の愛嬌のある外見と優しく世話焼きな性格で、思いつめて塞ぎ込む人の心の重荷をそっと降ろすことに一役買うことも。
危険な事件に巻き込まれる気の毒なおっちゃんとおばちゃん……と見せかけ、あまりにも頼もしすぎる二人組なのです。
このドラマに魅力はたくさんありますが、私が声を大にして言っておきたいのは、犬のディーゼルで心が(とても)癒されるということです。
最近では、海外の映画レビューサイトの中には「映画の中で犬(猫そのほかの生き物たち)が死なないかどうか」が分かるサイトが登場するほどに、演技だと分かっていても動物が傷つくところは見たくない、という人が一定数存在します。映画のネタバレだとかそういうのはいいから、頼むからそれだけ先に教えてくれ、ということですね。気持ちはよくわかります。
今に始まったことではないですが、過激な描写を含むドラマや映画は数多くあり、大抵の場合は人間に非業な運命が待ち受ける作品は、動物にも無慈悲な展開だったりします。彼らの演技力がアカデミー賞ものであることは重々分かったうえで、それでもせっかくなら幸せなところを見たいという人類も割といます。
ということでネタバレをするつもりはありませんが、これからあえて作品の重要な部分に触れます。嫌な方はここだけ目を隠してちょっとスクロールしてください。
はい。安心してください。このドラマの中でディーゼルが死んだり、傷つけられたり、人間に置いて行かれて寂しい思いをしたりすることはありません。
ディーゼルはダービーとジョーンからずっと愛されますし、彼らに愛を返します。水をたくさん飲み、お腹いっぱいで芝生で眠り、オーストラリアの日差しを浴びながら水遊びをします。欲を言えばもっと出番が多くてもよかったとは思いますが、この子が画面の端っこで寝転がっているだけでも可愛いのでそれでいいのです。
まあ私が犬好きというだけなのですが、これが分かるだけでも俄然前のめりにドラマを楽しめるという方もいるかもしれないのでここに書き記しておきます。
本作の舞台はオーストラリアです。ドラマの中では、ほとんど手つかずの森を抜けた先にあるひそやかなビーチや、どこまでも広がるバナナ園など、オーストラリアの雄大で美しい自然が楽しめます。
また、このドラマにはほとんど暴力的な描写が登場しないことも大きな特徴です。流血や暴力表現もなく、お子さんや親御さんと観るのが躊躇われるような性的なシーンもありません(個人的な意見ですが、これは結構大事なことだと思います)。
ダービー役にはオーストラリアを代表するベテラン俳優ブライアン・ブラウン(映画『カクテル』)、
そして、ジョーン役にはイギリスを中心に様々な作品で活躍しているグレタ・スカッキ(映画『ザ・プレイヤー』『ラス・プーチン』)という二人の名優が共演しており、80年代、90年代を中心に大活躍した彼らの演技を現代のドラマで楽しめることに喜びを感じる海外のファンも多い本作。
ドラマの本筋としては、ジョーンの夫イアンの死の真相を追い求めるというミステリーですが、彼らはその道中でよく‟寄り道“をします。行く先々で事件に巻き込まれる彼らですが、豊富な人生経験と持前の機転を生かして見事に解決に導いていきます。どの物語もシンプルでありながら伏線回収も巧妙で、非常に見やすいストーリーです。ダービーとジョーンの掛け合いも面白く、その間に挟まるディーゼルの愛おしさも相まって、何度でも見直したくなるミステリーだと思います。
「今日はなんだか消耗したな…」と疲れた夜にオススメしたい、とても居心地の良いドラマです。あとはディーゼルにちょっとでも癒されてくれたら個人的にとても嬉しいですね。
興味のある方はぜひチェックしてみてください!
[文:瀧脇まる(うりまる)]
【放送情報】
ダービーとジョーン キャンピングカーの旅事件簿(全8話)
字幕版: 7月30日(日)夕方4:00
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