2025/08/25

初心者にもおすすめ!読みやすさが魅力のコージーミステリー小説 おすすめ44選

コージーミステリー小説の魅力

日常的な場面での謎を扱うコージーミステリー。ミステリー小説でおなじみのいわゆる“探偵”は登場せず、探偵を職業としていない“素人”が探偵役を担い、謎を解き、事件を解決していきます。喫茶店が舞台なら、喫茶店の店主やお客さん、学校が舞台なら生徒や先生など、「私でも解けるかも!」と思える親近感も魅力です。殺人事件や残忍な事件はあまり発生せず、身近な謎に挑む物語が多め。ミステリー小説初心者にはもちろん、難解なミステリーの箸休め的な存在として楽しむのがおすすめです。ほっこりする書影も多く、ついつい手にしたくなる本が多いのもコージーミステリーの特長です。

コージーミステリー小説おすすめ44選

<国内編>

『探偵映画』

我孫子武丸(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

新作の撮影中に謎の失踪を遂げた鬼才映画監督、大柳登志蔵。すでにラッシュは完成、予告篇も流れているが、実はこの時点で作品の結末を知るのは監督のみ。残されたスタッフは、撮影済みのシーンからスクリーン上の「犯人」を推理しようとするが……。

『探偵映画』というタイトルのミステリー映画をめぐる本格推理小説。推理もの、そして映画好きなら読んでいて楽しくなる一冊。少し時代を感じさせる映画制作のあれこれが描かれていますが、軽やかな文章なのでスラスラと読み進められます。映画のストーリーとそれを作る人たちに起きる事件、二つのミステリーが楽しめます。

『人形はこたつで推理する』

我孫子武丸(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

鞠小路鞠夫――私が密かに思いを寄せる内気な腹話術師・朝永嘉夫が操る人形の名前です。出会ったのは幼稚園のクリスマス会。園で飼っている兎が死んだ事件を見事な推理で解決してくれました。実はこの彼、頭脳明晰な名探偵だったのです!

異色の人形探偵が難事件を次々解決するユーモアの溢れるミステリー。人形が探偵という設定から面白い。短編集なのでサクサク読み進められるのもポイント。人形が探偵といえども、推理はなかなか本格的なところもGOOD。

『謎の香りはパン屋から』

土屋うさぎ(著)
出版社(レーベル):宝島社

大学一年生の市倉小春は漫画家を目指しながら、大阪府豊中市にあるベーカリー<ノスティモ>でアルバイトをしていた。ある時、同じベーカリーで働いている親友の由貴子に、一緒に行くはずだったライブビューイングをドタキャンされてしまう。誘ってきたのは彼女のほうなのに。疑問に思った小春は、彼女の行動を振り返り、意外な真相に辿りつく……。

クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン……焼きたてのパンの香りが広がるベーカリーを舞台に日常の謎を解いていく連作ミステリーです。日常のちょっとした出来事の謎、誤解、気まずさなどを解決していくミステリーで、時々ホロリといった展開も。パンにまつわる豆知識も学べます。

『ルビンの壺が割れた』

宿野かほる(著)
出版社(レーベル):新潮文庫

「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」。

送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。

淡々と交わされるメッセージのやりとりなのに、いつのまにか物語の中に引き込まれてしまいます。やりとりを重ね、交わしたメッセージが増えていくたびに、自分が思い描いていた人物像の印象が変わっていきページを捲るたびにゾクゾクが増していくような感覚がなんとも楽しい!

『コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎』

笛吹太郎(著)
出版社(レーベル):東京創元社

昨日行った居酒屋が消えた?引き出しのお金が四万七千円も増えていた?だれも死んでいないのに姉が四方八方に喪中はがきを送りつけていた?ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェ<アンブル>でゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、いつも謎を解き明かすのは店長の茶畑さんなのだった。

店長の茶畑さんに解けない謎はない?!カフェに集まるミステリー&お話好きなゲストのおしゃべりを店内のちょっと離れたテーブルで耳を傾けるくらいの感覚で読むのがおすすめ。短編7編、それぞれの最後に添えられた作者のコメント込みで楽しめます。

『お待ちしています 下町和菓子 栗丸堂』

似鳥航一(著)
出版社(レーベル):メディアワークス文庫/KADOKAWA

浅草の一角で、町並みに溶け込むかのように佇む栗丸堂。若い主人の栗田仁は最近店を継いだばかりだという。精悍にすぎる容貌で、どこか危なっかしいけれど腕は確か。店を応援しようと顔馴染みが紹介したのが、和菓子のお嬢様こと葵だった。可憐な容姿だが怪しすぎる通り名に警戒する栗田だったが、彼女との出会いが栗田の和菓子を大きく変えることになる。思いもよらぬ珍客も訪れるこの店では、いつも何かが起こる。和菓子がもたらす、今日の騒動は?

和菓子を通じてわだかまりを解決していく心温まるストーリーにほっこり。和菓子に使う材料や作る工程が楽しめるのも魅力。舞台は浅草。下町の雰囲気が漂う中、人情的な物語が味わえます。もちろん読書のおともには作中に登場する豆大福、どら焼き、干菓子などがおすすめです。

『晴れた日は図書館へいこう』

緑川聖司(著)
出版社(レーベル):ポプラ社

本好きの小学5年生・茅野しおりの日課は、憧れのいとこ、美弥子さんが司書をしている雲峰市立図書館へ通うこと。そこでは、日々、本にまつわるちょっと変わった事件が起きている。六十年前に貸し出された本を返しにきた少年、次々と行方不明になる本に隠された秘密……

図書館で起こる本にまつわる事件と人間模様を描いた連作短編集です。主人公は小学5年生ですが、物事の考え方が大人びているので、ジャンル的には児童書となっていますが、大人が読んでも問題なし。日常のささやかな謎を描きつつ、考えさせられるテーマも散りばめられていて、ライトなミステリーですが読み応えも感じられます。

『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』

天野頌子(著)
出版社(レーベル):ポプラ社

王子稲荷ふもとの平和な商店街に、ある日現れたあやしい店「陰陽屋」。ホストあがりの毒舌ニセ青年陰陽師と、トボけたキツネ耳の中学生男子のコンビが、恋うらないから人捜しまで、お悩み解決いたします!

イケメン陰陽師・祥明と化狐の少年・瞬太コンビが活躍するバディもの。依頼人の相談に乗ったり、手助けをしていくほのぼのミステリーが展開。短編集なので手軽に読めるのもポイント。ちょっぴりファンタジーな要素もあるのでミステリー初心者におすすめです。瞬太の存在も謎めいていて気になります。

『我らが隣人の犯罪』

宮部みゆき(著)
出版社(レーベル):文春文庫

僕は三田村誠。中学1年。父と母そして妹の智子の4人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを“誘拐"したのだが……。

オール讀物推理小説新人賞を受賞した宮部みゆきのデビュー作である表題作以下『この子誰の子』『サボテンの花』『祝・殺人』『気分は自殺志願』など初期の短編計5篇を収録しています。コミカル、ほのぼの、普通っぽさが漂いつつも、気づけばグイグイと引き込んでいく文章運びに満足できる一冊です。

『星読島に星は流れた』

久住四季(著)
出版社(レーベル):東京創元社

天文学者サラ・ディライト・ローウェル博士は、自分の住む孤島で毎年、天体観測の集いを開いていた。ネット上の天文フォーラムで参加者を募り、招待される客は毎年、ほぼ異なる顔ぶれになるという。この天体観測の集いへの応募が毎年驚くべき倍率になるのには、ある理由があった。孤島に上陸した招待客たちの間に静かな緊張が走るなか、滞在三日目、ひとりが死体となって海に浮かぶ――。

奇蹟の島で起きた殺人事件を描く長編ミステリーです。ハードボイルド系の主人公の設定や舞台には派手さがありますが、トリックや解決シーンも丁寧で本格的。さらに隕石や星座など、ロマンチックな要素のおかげで、手軽に読み進められます。

『配達あかずきん』

大崎梢(著)
出版社(レーベル):東京創元社

しっかり者の杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が働くのは、駅ビルの六階にあるごくごく普通の書店・成風堂。近所に住む老人から渡された「いいよさんわん」という謎の探求書リストや、コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性に、配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真。杏子と多絵のコンビが、成風堂を舞台にさまざまな謎に取り組んでいく――。

元書店員ならではの鋭くもあたたかい目線で描かれた、初の本格書店ミステリー〈成風堂シリーズ〉第一弾。本屋さんが舞台のミステリー小説を読むと、次から書店に行くワクワク感も倍増。本屋さんの店員さんとちょっと喋ってみたくなる、そんな気持ちにさせてくれるほんわかミステリーです。

『万能鑑定士Qの事件簿 I』

松岡圭祐(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

東京都内全域に貼られている不可解な“力士シール”の謎を追い出逢った万能鑑定士・凜田莉子と週刊誌記者・小笠原悠斗。真相を解明すべく奔走する二人は日本全土を震撼させる大事件へと巻き込まれていくことになる。

親近感が湧いてくるのは、主人公の莉子が、かつては天然キャラで劣等生であったということ。キレッキレの探偵でなくても謎解きにチャレンジしていい!そんな気持ちにさせてくれるキャラクターです。謎を解くのに必要なことは人間の観察力、知識の重要性、そして、視野の広さということを教えてくれます。長く続くシリーズものなので莉子の成長を見守るのもたまらなく面白いです。

『ハルさん』

藤野恵美(著)
出版社(レーベル):東京創元社

ふうちゃんの結婚式の日、お父さんのハルさんは思い出す、娘の成長を柔らかく彩った5つの謎を。幼稚園児のふうちゃんが遭遇した卵焼き消失事件、小学生のふうちゃんが起こした意外な騒動……。心底困り果てたハルさんのためにいつも謎を解き明かしてくれるのは、天国にいる奥さんの瑠璃子さんだった。

頼りない人形作家の父と、日々成長する娘の姿を優しく綴ったほのぼのミステリー。少し頼りなくて不器用だけど温かくふうちゃんを見守るハルさんのキャラクターにほっこりし、泣かされます。この作品は、素直な心で読むのがポイントです。ほのぼのミステリーで心をほんわか温かくしたい、そんなときに、ぜひ。

『腕貫探偵』

西澤保彦(著)
出版社(レーベル):実業之日本社文庫

大学に、病院に、警察署に……突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。そこに座る年齢不詳の奇妙な男に、悩める市民たちはついつい相談を持ちかけてしまう。隣人の遺体が移動した?幸せ絶頂の母がなぜ突然鬱に?二股がバレた恋人との復縁はあり?

小さな謎も大きな謎も、冷静かつ鋭い洞察力で腕貫男がさらりと解明するユーモアたっぷりに描く連作ミステリー短編7編を収録。探偵役となる公務員の腕貫さんは、いわゆる安楽椅子探偵です。謎解きのワンポイントアドバイスを提供するだけで、あとは淡々と公務員としてのお仕事をするという流れ。ミステリー要素を含みつつ、人間関係のトラブルなど日常に溢れる些細なものを題材にしているので読みやすい。即座に的確なアドバイスで事件は解決。スッキリ感も味わえます。

『青空の卵』

坂木司(著)
出版社(レーベル):東京創元社

外資系の保険会社に勤める僕・坂木司には、一風変わった親友がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。彼は、複雑な生い立ちの鳥井は外部との接触を極力避け、僕を通じて世界を見ている。そんな鳥井の関心を外の世界に向けるため、彼との食卓に僕が出会った身近な謎を披露していく。

著者デビュー作にして人気の<ひきこもり探偵>シリーズ第1弾。とても爽やかで青春小説の香りも漂います。日常の謎解きミステリーを展開しながら坂木&鳥井の二人の繋がりを確かめ合っていくような一冊。どこか歪みを感じる二人の友情。この感覚は、シリーズを読み進めることで解決できる謎のひとつかもしれません。

『真夜中のパン屋さんー午前0時のレシピー』

大沼紀子(著)
出版社(レーベル):ポプラ社

謎多き笑顔のオーナー・暮林と、口の悪いイケメンパン職人・弘基が働くこの店には、パンの香りに誘われて、なぜか珍客ばかりが訪れる……。夜の街を徘徊する小学生、ひきこもりの脚本家など夜な夜な都会のはぐれ者たちが集まり、次々と困った事件を巻き起こすのだった。

舞台は都会の片隅に、真夜中にだけオープンする不思議なパン屋さん。心地良い居場所を見つける物語が展開します。おいしそうなパンの香りと、イケメンのいるパン屋さんなのに、この店にやってくるのは濃ゆい人ばかり(笑)。キャラクターの魅力に引き込まれ、シリーズを読み進めたくなります。

『退出ゲーム』

初野晴(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

穂村チカ、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみのホルン奏者。音楽教師・草壁先生の指導のもと、吹奏楽の“甲子園”普門館を夢見る2人に、難題がふりかかる。化学部から盗まれた劇薬の行方、六面全部が白いルービックキューブの謎、演劇部との即興劇対決が展開!

チカとハルタ、2人の推理が冴える、青春ミステリの決定版、“ハルチカ”シリーズの第1弾です。学園系コージーミステリーで、さらりと読み進められてクスッと笑えるポイントが多いのが特長。チカ&ハルタのキャラクターも魅力的です。読みやすいのですが、意外と謎解きパートは重め。そのギャップもこのシリーズのおすすめポイント!

『タルト・タタンの夢』

近藤史恵(著)
出版社(レーベル):東京創元社

カウンター七席、テーブル五つ。下町の片隅にある小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟は、フランスの田舎のオーベルジュやレストランを転々として修業してきた変人。無精髭を生やし、髪を後ろで束ねた無口なシェフの料理は、気取らない、本当にフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。

絶品料理の数々と極上のミステリーが楽しめます。ほっこりとする、そして、空腹時に読むのは危険な一冊。<ビストロ・パ・マル>シリーズとして人気の第一作で、よき雰囲気のビストロでワイン片手に読むのもおすすめ。一話完結の短編なので、サクッと読めるのも魅力です。些細なことも見逃さないシェフと、優しい人々が織りなす物語を召し上がれ。

『珈琲店タレーランの事件簿』

岡崎琢磨(著)
出版社(レーベル):宝島社文庫

女性バリスタの趣味は、謎解き!理想の珈琲を追い求める青年が、京都の一角にある珈琲店「タレーラン」で、のっぴきならない状況に巻き込まれて……。

京都にある珈琲店「タレーラン」を舞台に、魅惑的な女性バリスタが解き明かす日常の謎の数々が楽しめます。登場人物の名前がコーヒーの産地や豆の種類を思わせるので、コーヒー好きの方にもおすすめです。このシリーズならでは?!のちょっと特徴のある文章と会話が展開するので、慣れるためにもシリーズを読み進めるのがおすすめです。コーヒーのうんちくも学べます。

『ビブリア古書堂の事件簿 ~栞子さんと奇妙な客人たち~』

三上延(著)
出版社(レーベル):メディアワークス文庫

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない、若くきれいな女性だ。彼女は、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。しかし、古書の知識は並大抵ではない。人に対してとは真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく――。

栞子と奇妙な客人が織りなす、“古書と秘密”の物語です。栞子はいわゆる安楽椅子探偵です。静かに謎を解き明かしていく空気感も魅力。全体的に漂うコミカルな雰囲気もまさにコージーです。本に関する知識が増えていく楽しみも味わえます。

<海外編>

『公爵家の図書係の正体』

サマンサ・ラーセン(著) 吉野山早苗(訳)
出版社(レーベル):原書房

18世紀ロンドン郊外。ティファニーは世話をしていた異母兄の死により住む家を追われそうなピンチに陥る。40歳の独身女性が就ける仕事はとても少ない。どうにかするためには、公爵家の図書係をしていた異母兄になりすまして働くしかないと決断して――。

異母兄になりすます?!という設定に「バレるでしょ」と思ってしまいますが、時代背景や、ティファニーの境遇などを考えるとありなのかなと。柔らかい文章展開の中、階級制度や人種差別、女性の生きづらさなど、さまざまなことを考えながら読み進められます。なりすましがバレないかとハラハラしながら、ティファニーが殺人事件の謎解きをするミステリー要素を味わいつつ、どこかでティファニーの冒険、手に入れた新しい人生を楽しんでほしいと応援したくなるような物語です。

『ウィンダム図書館の奇妙な事件』

ジル・ペイトン・ウォルシュ(著) 猪俣美江子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

1992年。ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駆け込んできた。キャンパス内のおかしな規約で知られる<ウィンダム図書館>で、学生の死体が発見されたのだという――。

主人公の探偵役はセント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師、イモージェン・クワイ。保健師らしく学生たちに寄り添いながら推理を重ねていく姿、そして全てのピースがピッタリとハマる謎解きにスッキリ感が味わえます。登場人物たちが交わす会話も英国ミステリーらしさが漂います。

『泣きっ面にハチの大泥棒』

ハンナ・リード(著) 立石光子(訳)
出版社(レーベル):原書房

年に一度の“ハーモニー・フェスティバル”で町が賑わう一方、ストーリーはツイてないことばかり。「はちみつ女王」の座を逃したうえに、犬の散歩中に死体につまずくなんて。しかも、警察が到着したときに死体は忽然と消えていて、「ホラ吹き」呼ばわりされる始末で――。

「はちみつ探偵」シリーズ3作目。隣人のパティの存在感がどんどん大きくなっています。覗き屋さんでいろいろと引っ掻き回す、迷惑タイプの隣人ですが、物語の登場人物として読んでいる分には面白いタイプ。ストーリーの人気者気取りなところもどこか子どもっぽく(といっても立派な大人の女性なのですが)、相変わらずのドタバタ感。面倒なことには顔を突っ込まないほうがいいよね、と傍観者気分で気楽に読み進めるのがおすすめです。

『書店猫ハムレットの跳躍』

アリ・ブランドン(著) 越智睦(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ニューヨーク、ブルックリンの書店を大叔母から相続した、三十代半ばのダーラ。その書店にはマスコットの黒猫ハムレットがいた。ハムレットは堂々と書棚を徘徊し、緑色の目で冷たく客を睥睨する。ダーラはある工事現場で書店の常連客の死体を発見する。その脇には動物の足跡。最近夜に外を出歩いているらしいハムレットのもの?!

黒猫ハムレットが示すヒントを頼りに事件を解決していくシリーズです。ハムレットがキャラクターっぽく描かれていない猫らしい猫という感じで、ハムレットの存在自体にも謎に満ちた魅力を感じます。本好き、猫好き、ミステリー好きの心を満たしながら、スラスラと読み進められます。軽すぎず重すぎず。コージーミステリーらしさあふれる一冊です。

『謎解きはスープが冷めるまえに』

コニー・アーチャー(著) 羽田詩津子(訳)
出版社(レーベル):原書房

雪深いスノーフレーク村。冬には大勢のスキー客が詰めかけるが、夏はわずかな住人しかない。そんな小さな村でスープ専門店を営んでいた両親が事故で急死し、ラッキーは若くして店を継ぐことに。ところが、頼りにしていた腕利きのシェフが不運にも殺人事件の容疑者として逮捕されてしまった!!

「スープ屋さん」シリーズ第一作。登場するスープはもちろん、サンドウィッチなども食べてみたくなるものばかり。レシピがついているので、再現できるのもうれしい!おいしそうな料理と謎解きとともにスノーフレーク村の田舎感も味わえます。

『午前二時のグレーズドーナツ』

ジェシカ・ベック(著) 山本やよい(訳)
出版社(レーベル):原書房

 

午前二時にスザンヌのドーナツ作りは始まる。ダウンタウンの端っこにある<ドーナツ・ハート>は手作りドーナツとコーヒーの店。深夜から始まる仕事は大変だけど、大切なお客さんのためならなんのその。ところがその日、平和な暮らしが一転。看板の照明をつけようとしたところ、夜の闇にまぎれて店の前に死体を投げ捨て走り去った一台の車が!被害者はお店の常連客で、銀行員のパトリックで……。

殺人事件が起きるものの、どこかほのぼの気分で読むことができます。登場人物にいい人が多いというのもポイント。もちろんドーナツのレシピも掲載。レシピ通りに作るとかなりの量のドーナツが出来上がりますが、ページを捲る手もドーナツを口に運ぶ手も止まらなくなるおいしさが溢れている一冊です。

『厨房のちいさな名探偵』

ジュリー・ハイジー(著) 赤尾秀子(訳)
出版社(レーベル):原書房

「世界でもっとも重要な台所」と呼ばれる、ホワイトハウスの厨房で働くオリーは、小柄ながら腕と舌は確かなアシスタント・シェフ。彼女の任務は、大統領の朝食から晩餐会にいたるまでの献立を吟味し、期待以上の料理で彼らの胃袋をつかむこと。ところがある日、ホワイトハウスに不法侵入した男をフライパンで打ちのめしたせいで、彼女は国際手配の殺し屋から命を狙われることに。さらに厨房では、一週間で重要な国賓晩餐会のメニューを決めるという前代未聞の事態が発生する。

主人公のオリーはホワイトハウスのシェフ。ホワイトハウスの厨房とは一体どんな場所なのか、想像を掻き立てられワクワクします。殺し屋の顔を見てしまうという展開にハラハラ感がプラス。夢見ていた総料理長の座を射止めるためにオリーがこの大ピンチをどう乗り越えていくのかも見もの。

『壁から死体? 〈秘密の階段建築社〉の事件簿』

ジジ・パンディアン(著) 鈴木美朋(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

家業の工務店を手伝うことになった、元イリュージョニストのテンペスト・ラージ。だがその初日、仕事先の古い屋敷の壁を崩したところ、そこから死体が見つかる騒ぎが……。ラージ家に伝わる、あの呪いと関係があるのか?

主人公は元イリュージョニスト。母方の一族はインドの海辺の町でマジック一座を旗揚げした名門マジシャン一族ですが、一族にはある呪われた言い伝えアリ。さらに実家の工務店は秘密の階段建築社という不思議が満載の謎めく設定に心が躍ります。インドの香りが漂う食べ物のレシピもあるので、読書のおともにぜひ!

『ベイカー街の女たち ミセス・ハドスンとメアリー・ワトスンの事件簿1』

ミシェル・バークビイ(著) 駒月雅子(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

ロンドンの街で秘かに起きている、既婚の女性を狙った薄汚い恐喝事件。名探偵ホームズに依頼を断られ、意気消沈した女性を救うべく、ハドスン夫人とメアリーはホームズとワトスンに内緒で調査に乗り出す!

コナン・ドイル財団公認のホームズ・パスティーシュ。ホームズ好きなら手に取りたくなる一冊です。ホームズの下宿先、ベイカー街221Bの家主・ハドスン夫人がワトスン博士の妻・メアリーとバディになって事件を解決していきます。ホームズと関わりのある人とはいえ、推理においては素人。勢いまかせで行き当たりばったり感も否めませんが、そこも含めてハラハラが楽しめます。

『優等生は探偵に向かない』

ホリー・ジャクソン(著) 服部京子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

友人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が明らかに……。

シリーズ第1作『自由研究には向かない殺人』の続編です。シリーズ第2作では予測不能の経験を重ねる中、悩みながらも成長するピップの姿も見られます。前作同様、ピップのその後が気になるという意味でも続きが読みたくなる一冊です。

『フラワークッキーと春の秘密』

ヴァージニア・ローウェル(著) 上條ひろみ(訳)
出版社(レーベル):原書房

クッキー関連グッズの店<ジンジャーブレッド・ハウス>を営むオリヴィア。ある日、良き理解者だった女性実業家クラリスが急死したことを知る。彼女は死の直前、オリヴィア宛に謎めいた手紙を残していた。遺言の執行でオリヴィアは多額の遺産と高額のクッキーカッターコレクションを受け取ることになり、クラリス殺害の疑惑を町中に持たれてしまい……。

ハートに星に、ジンジャーマン……たくさんの抜き型が揃うクッキー用品店の女性店主が素人探偵となって身の潔白の証明と恩人の死の謎に挑みます。書影はポップでかわいらしい感じが漂いますが、全体的に少し暗めな雰囲気もありのコージーミステリーです。

『そのお鍋、押収します!』

ジュリア・バックレイ(著) 上條ひろみ(訳)
出版社(レーベル):原書房

両親の不動産業を手伝うライラにはもうひとつ別の顔があった。それは、秘密のケータリング。それぞれの事情を持つお客さんのもとに、美味しい料理を作ってこっそり届けるのだ。ある日、秘密の依頼を受けて作ったチリコンカンを食べた女性が死亡してしまう。何者かが鍋に毒を混入したらしい。ライラに依頼した料理とは言わず、自分が作った料理だと見栄を張りたい依頼人。依頼人が嘘を突き通す限り、ライラは警察に真実を言えず、窮地に追いやられてしまう――。

ライラが作った料理を食べた女性が死亡する……という展開がありつつも、出てくる料理はどれもおいしそうで、食べたくなるものばかり。巻末のレシピで作ってみたくなるものばかり。ライラがグイグイ事件に首を突っ込んだり、勢いまかせに不法侵入!みたいなことをしないタイプなので謎解きは割とライトなのも手に取りやすい理由のひとつかもしれません。

『図書室の死体』

マーティ・ウィンゲイト(著) 藤井美佐子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

アガサ・クリスティなどの初版本の蒐集家だった故レディ・ファウリングが設立した初版本協会。その事務局は彼女の住まいだった館にあり、図書室にはその膨大なコレクションが所蔵されている。ある朝、図書室で死体が発見される。被害者は、勉強会で館を使っていた創作サークルのひとりだった……。

主人公は初版本教会で働く新米キュレーター。アガサ・クリスティ、初版本、膨大なコレクションといったワードが並び、本好きの心をくすぐります。ミス・マープルやトミー&タペンスといったクリスティ作品の登場人物の名前も並びます。ミステリーにはどちらかというと疎いタイプの主人公がミス・マープルに刺激されて事件を追うという設定にコージー・ミステリーっぽさを感じます。

『犯罪は老人のたしなみ』

カタリーナ・インゲルマン=スンドベリ(著) 木村由利子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

オーナーが替わって以来、ダイヤモンドホームはすっかり変わってしまった。コーヒーは自動販売機、食事は冷凍食品ばかりで、外出も厳しく制限される。こんな老後を過ごすはずではなかった。ならば自分たちの手で変えてみせるとばかり、79歳のメッタは4人のコーラス仲間とともに、老人だけの犯罪組織を結成。誰も傷つけず大金を手に入れようというのだ。老人という立場を隠れ蓑に、犯罪者にあるまじきスローペースとアナログな手段を駆使する老人たち。果たして、その結末は?

入居している老人ホームに不満のある老人たちは「刑務所の方がマシ!」と犯罪を犯して刑務所に入ろうと企てます。タイプの違う老人5人はなかなかまとまりもなく(笑)、ドタバタというよりモタモタと犯罪劇を繰り広げていきます。老人たちのパワーとユーモアに元気をもらえる一冊です。

『ビール職人の醸造と推理』

エリー・アレグザンダー(著) 越智睦(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

アメリカ北西部のレブンワースは、ドイツのバイエルン地方に似た風景が広がる、ビールで有名な小さな町。町で一番のブルワリーを夫とその両親と一緒に切り盛りするわたしは、幸せな日々を過ごしていた――、夫の浮気が発覚するまでは。わたしは家から夫を追い出し、町に新しくオープンするブルワリーで働くことにした。フルーティーながらもすっきりした後味のビールや、腕によりをかけたわたしの料理がうけて、開店初日は大成功!しかし翌朝、店で死体を発見して――。

愉快でおいしいビール・ミステリーシリーズの第一作。ビールの醸造やビールの町の雰囲気をじっくりと堪能できます。ビールはもちろん、食べ物もとてもおいしそう。毎日を忙しく過ごすビール職人は、じっくり推理する暇もなし。そんな理由で推理もかなり軽いものが多く読みやすいので、コージー・ミステリー、そしてミステリー初心者におすすめです。

『ガイコツと探偵をする方法』

レイ・ペリー(著) 木下淳子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

故郷の大学に非常勤講師の職を得て、高校生の娘を連れ実家へ戻ってきたジョージアは、親友のシド(世にも不思議な、歩いて喋るガイコツ)と再会した。人間だったときの記憶のない彼が、見覚えのある人物と遭遇したのをきっかけに、ふたりはシドが生前は何者だったのかを調べはじめる。だが、その過程で忍びこんだ家で死体を発見、殺人事件の謎まで背負いこむことに……。

たっぷり笑えてちょっぴり泣ける、ミステリ新シリーズが開幕です。まるで会話を楽しむようにテンポよく読み進められるのもポイント。シドは一体何者なのか。歩いて喋るガイコツなので人前はもちろん、外に出ることも難しい。そんななかで二人は捜査を続けていきます。ユーモア溢れるシドがとても魅力的!

『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』

C・A・ラーマー(著) 高橋恭美子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ミステリーが大好き、クリスティが大好きなアリシアとリネットの姉妹が出した読書会──ブッククラブのメンバー募集の告知に応えてきたのは、古着ショップの女性オーナー、毒薬ミステリ好きの医師、平凡な主婦、図書館員の女性に博物館勤務のゲイの男性といった面々。はじまりは順調だったが、二回目の読書会で早くもトラブルが発生して……。

主催者はミステリーが大好きで、クリスティが大好きとなると、ちょっと難しい展開もあり?!と思いきや、メンバーの会話がとても軽やかなので、気軽に読み進められます。ミステリー好きはもちろん、ミステリー初心者も名前は聞いたことあるというP.D.ジェイムズや、アン・クリーヴスの名前がちらつくのもよき。

『自由研究には向かない殺人』

ホリー・ジャクソン(著) 服部京子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

高校生のピップは自由研究で、5年前に自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺害し、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる。ところが、身近な人物が次々と容疑者として浮かんでくる――。

主人公のまっすぐさで好奇心に溢れるキャラクター性に引き込まれます。自由研究で失踪事件を取り上げるという設定自体はコージーな雰囲気は漂いませんが(笑)、ここでの自由研究とはEPQ(Extended Project Qualification)という高校の卒業研究といった内容のよう。推理小説としては王道的なものが描かれているので、しっかりミステリーがありつつも、読みやすさを感じる一冊です。

『木曜殺人クラブ』

リチャード・オスマン(著) 羽田詩津子(訳)
出版社(レーベル):早川書房

未解決事件の調査をして暇をつぶす老人グループ〈木曜殺人クラブ〉。入居する施設の関係者が殺されたのをきっかけに、彼らは真相究明に乗り出すことに――。

英国で異例の速度で100万部突破のフーダニット。作者の新人離れした完成度を誇るユーモラスな謎解きミステリーとして人気です。警察の未解決事件に取り組む老人たちは、元警部、元獣医、元精神科医など、かつて専門職に就いていただけあって、なかなかの推理を展開していきます。老人たちの推理に刺激を受け、パワーももらえます。

『家政婦は名探偵』

エミリー・ブライトウェル(著) 田辺千幸(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ウィザースプーン警部補は医師の死体を前に困り果てていた。名刑事として認められつつある彼だが、無類の好人物ではあるものの、実は捜査の才能は皆無なのだ。警部補の立てた手柄はすべて、屋敷を取り仕切る家政婦ジェフリーズ夫人が先に真相を解明したうえで行う、さりげない誘導のたまものだった。

ヴィクトリア朝ロンドンを舞台にした、明るく楽しいミステリ・シリーズの第一弾。人柄の良い警部補を心優しい使用人たちが助けて事件を解決するというほのぼのミステリー。登場人物が持ち合わせている“善意”が物語全般に漂っているので安心して楽しめます。主人公は警部補ということもあり、コージー・ミステリーには珍しく、殺人事件を扱っていますが、使用人たちが見事な探偵の腕を発揮し、華麗に事件を解決。読後感もスッキリです。

『サスペンス作家が人をうまく殺すには』

エル・コシマノ(著) 辻早苗(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

売れない作家フィンレイの朝は、爆発状態だ。大騒ぎする幼い子どもたち、請求書の山、撒き散らされたコーヒーの粉。もう、だれでもいいから人を殺したい気分。とはいえ、本当に殺人の依頼が舞い込むとは、予想もしなかった。レストランで執筆中の小説の打ち合わせをしていたフィンレイは、隣席の女性から男の名前と5万ドルと書かれたメモを渡される。話の内容とマザーバッグのなかの血のついたタオルと包丁のせいで、殺し屋と勘違いされたらしい。依頼を断ろうとするが、本物の死体に遭遇して……。

予想外の展開と読みやすさで一気読み必至。ひょんなことから事件に巻き込まれていく主人公フィンレイの行動にハラハラさせられる場面が割と多く登場しますが、ちょっとドジなところも愛らしい。ラブロマンス要素もあって、ドタバタに巻き込まれる中で、一休みできるのもGOOD。

『エリザベス女王の事件簿 ウィンザー城の殺人』

S・J・ベネット(著) 芹沢恵(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

ウィンザー城で若い男の遺体がクロゼットから発見される。晩餐会に呼ばれたロシア人ピアニストで、遺体はあられもない姿だった。事件について城では箝口令が敷かれ、警察とMI5はロシアのスパイによるものと見なし捜査するが、容疑者が50名もいて難航する。でも大丈夫。城には秘密の名探偵がいるのだ。その名もエリザベス2世。御年90歳。世界最高齢の女王が華麗に事件を解決する!

容疑者はなんと50名という奇怪なピアニスト殺人事件に挑むのは、90歳の英国女王。この設定だけでかなりテンションが上がります。名探偵の女王陛下が、自身の関与を悟らせずに手柄をすべて譲るというのもなんだかオシャレ。エリザベス女王の愛され度を感じずにはいられません。英国王室に詳しい人なら、あり得ないと分かっていながらも、「ちょっとありそうかも」なんて想像しながら読むと、楽しさも膨らみます。

『カラス殺人事件』

サラ・ヤーウッド・ラヴェット(著) 法村里絵(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

ネル・ワード博士の専門は生態学。断じて殺人ではない。しかし英国の田舎町の荘園領主ソフィ・クロウズが殺され、事態は一変。現場で動植物の調査をしていたネルは第一容疑者になる。ジェームズ刑事からの疑いを晴らすために、同僚のアダムとともに生き物の専門知識を駆使して真犯人に迫るが……。

美人生態学者が奇怪な殺人事件に挑む、生き物の魅力が詰まったコージー・ミステリーシリーズ第一弾。著者のサラ・ヤーウッド・ラヴェットは生態学者なので、生態学の描写も丁寧でリアルなのもポイント。タイトルの「カラス」がどこに出てくるのかも本作を読み進める楽しみのひとつかも。曖昧な人間関係も、ゆるーく読めて面白い。

『アガサ・レーズンとカリスマ美容師』

M ・C・ビートン(著) 羽田詩津子(訳)
出版社(レーベル):原書房

白髪染めに大失敗したアガサ。腕が良いと評判のサロンに駆けこむと、イケメン美容師のジョンがすぐに直してくれた。女性客たちはこぞってジョンを指名し、誰もかれもが人には言えない悩みを打ち明けていた。そんな聞き上手な美容師はアガサにも甘い言葉をささやくが、彼女の素人探偵としての直感は警鐘を鳴らす――。

アガサに甘い言葉を囁くイケメン美容師。その正体はただの女たらしなのか、それとも……。英国で大人気のロングセラーシリーズの第8弾です。アガサの周りにはなぜか身勝手な男性しかいない……という運の悪さ?!も本作の見どころのひとつ。今回はご自慢の髪にハプニングありとちょっとかわいそうなアガサですが、華麗な推理で見事に事件を解決してくれます。でも結末はコージーとは言えない?!

最後に

気軽に読み始められるコージー・ミステリー小説。タイトルや書影で「面白そう」「読んでみたい」と感じたら、ぜひ手に取ってみてください。シリーズものも多いので、お気に入りを見つけたら、長く付き合える本になるかもしれません。

ミステリードラマもチェック!

ミステリーチャンネルでは、「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのミステリードラマを放送しています。

ミステリーチャンネルでの放送番組に関するお問い合わせは、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまで。

ミステリーチャンネルについて

世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!

ミステリーチャンネル ご視聴方法はこちら

ミステリーチャンネル 公式サイトはこちら

 

ミステリーチャンネル カスタマーセンター

0570-002-316

(一部IP電話等 03-4334-7627)

受付時間 10:00 - 20:00(年中無休)

ミステリーチャンネル カスタマーセンター

0570-002-316

(一部IP電話等 03-4334-7627)

受付時間 10:00 - 20:00(年中無休)

ライター/タナカシノブ
2015年9月よりフリーライターとして活動中。映画、ライブ、歌舞伎、落語、美術館にふらりと行くのが好き。