ジャンルを限定し、テーマに沿って書かれた短編作品を収めているアンソロジー。新しい作品や作家との出会いを求める本好きの方にも、自分好みの作品を見つけたい方にも、普段はあまり本を読まない方には読書入門としてもおすすめです。編者のセンスが出るのもアンソロジーの魅力のひとつです。短編が多いので、サクッと読める上に、ジャンルやテーマが選べるので、お気に入りに出会える確率が高いのもポイント! 新たなハラハラドキドキに出会いたいという方におすすめのミステリー小説のアンソロジーをご紹介します。

高木彬光、坂口安吾、土屋隆夫、江戸川乱歩、飛鳥高、佐野洋、菊村到、山村正夫、陳舜臣、笹沢左保(著)、福井健太(編)
出版社(レーベル):東京創元社
ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選。謎を解く手がかりは本文のあちこちに。巧妙な罠に騙されずに、真相を見抜くことはできるのか。ミステリー好きをワクワクさせる全10編を収録。
クイズのように読み進められるので、ミステリー初心者も気軽に手に取れる一冊。全3巻からなるシリーズで本作は1巻目。昭和の雰囲気をたっぷりと味わえます。既読の作品があっても並びが変わるだけで新鮮に楽しめてしまうのがアンソロジーの魅力。短編で、クイズのように読み進められるものの、意外と犯人が当たらないのもまた楽しいところ。解説を読んで犯人当てのポイントを学ぶところまでがセットでおすすめです。

赤江瀑、泡坂妻夫、恩田陸、黒川博行、法月綸太郎、平山夢明、松本清張、連城三紀彦(著)千街晶之(編)
出版社(レーベル):朝日文庫
掛物、陶磁器、絵画、刺青など美術にまつわる傑作ミステリーを集めた短編アンソロジー。
日本美術の素晴らしさにも触れられます。全体的にトーンは暗めで、ややグロテスクな物語もアリ。ミステリアスな雰囲気の美術館を訪れたような気分に浸ることができます。短編とは思えないくらいの読み応えがそれぞれにあるのも魅力。日本美術×ミステリーの味わい深さをもっと堪能したいと感じたら、巻末の解説にあるアートミステリー史もぜひ!

市川憂人、米澤穂信、東川篤哉、麻耶雄嵩、法月綸太郎、白井智之(著)
出版社(レーベル):東京創元社
事件を解決に導くために必要な手掛かりは、紙上の名探偵たち同様、既に手渡されている。冷静な観察と論理的思考、そして少しの想像力を駆使すれば、犯人を、そして小説の向こう側にいる作者をも出し抜くことができるかも。六人の推理作家からの挑戦状は、たった一行――犯人は誰か?
解けそうで解けない、既読もしくは、どこかで読んだトリックと気づいても犯人には辿り着けない。犯人が当てられず「自分は名探偵にはなれない…」とちょっぴり残念気分を味わうのもまた楽しい。犯人を当てられたとしても真相をしっかりと見抜いて、解説できるところまでが名探偵への道とも改めて思わされます。

エドガー・アラン・ポオ、アーサー・コナン・ドイル、フリーマン、マーキー、西村京太郎、皆川博子、梓崎 優、水生大海(著)千街晶之(編)
出版社(レーベル): 宝島社文庫
古来より、人類は何度となく感染症の脅威に直面してきた。ミステリーの世界でも、始祖ポオの時代から、それは常に馴染み深いものとして身近に存在している。果たして「理知の文学」であるミステリーは、疫病をいかに描いてきたのか。
コナン・ドイルから西村京太郎まで、古今東西の「感染症」にまつわる傑作短編8編を収録したアンソロジーです。パンデミックの恐怖が”謎”を生む――。感染症の歴史の長さと、リアルな怖さ、そして、ひとつ終わってもまた新たなものが出てくるのか…という恐怖感。新型コロナウイルスの恐怖に直面してから間もないからこそ、複雑な気持ちを抱えながらも、時代、舞台の空気を感じながら、ミステリーの面白さは、しっかりと楽しめます。

辻真先(著)戸田和光(編)
出版社(レーベル):東京創元社
鉄道ファンでもある辻真先の鉄道ミステリシリーズキャラクター、トラベルライター・瓜生慎ものを筆頭に、自らも鉄道愛好家でもある、ミステリ評論家の戸田和光が選んだ珠玉の12編を収めたアンソロジー。
すでに廃線となった路線や、企画列車も登場する鉄道ミステリーファン必見の一冊。テンポのよい会話で読みやすいのもポイント。アンソロジーはいろいろな作者の作品を集めて、違いを楽しむのも面白いですが、同じ作家さんの違うタイプの作品が読めるのも魅力。作家として50年以上活躍する作者ならではの、ノスタルジーな雰囲気も感じつつ、作品の舞台の時代の幅広さも感じられる一冊です。

佐々木譲、乃南アサ、松嶋智左、大山誠一郎、長岡弘樹、櫛木理宇、今野敏(著)
出版社(レーベル):文春文庫
人気シリーズのスピンオフから、文庫オリジナルの書下ろし作品まで。今を時めく警察小説の書き手が紡ぐ、警察小説アンソロジー。
警察小説の長編に手を出すのを少し躊躇っている、という方に手に取って欲しい一冊です。それぞれの作家の世界観を味わいながら、お気に入りのキャラクターを見つけて、シリーズものへと進むのもアリ。クセの強いキャラクターの作品を1冊まるまる、もしくはシリーズで読むのはちょっと疲れてしまう、といった方でも、気楽に手が出せるところもよき。

東川篤哉、一肇、古野まほろ、青崎有吾、周木律、澤村伊智(著)文芸第三出版部(編)
出版社(レーベル):講談社タイガ
テーマは「館」、ただひとつ。今をときめくミステリ作家たちが提示する「新本格の精神」がここにある。奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジック――!
「館」ものの王道!というよりも、少し捻りの入った変化球タイプの「館」をテーマにしたミステリー集。「館」ものの幅広さを実感できます。謎解きとは別のところでちょっと驚きがあるのも集められた物語の特徴かも。

『このミステリーがすごい!』編集部(編)
出版社(レーベル):宝島社文庫
シリーズ累計120万部突破!宝島社の大人気「ショートショート」シリーズの中から“最後の1行”“最後の1ページ”であっと驚くどんでん返しの物語だけを集めた傑作選、第2弾。
ベストセラー作家勢揃いの贅沢な1冊。タイトル通り3分で驚けるという手軽さがなんとも魅力。収録作品数も多い分、騙される快感、そして謎を解く快感も同時に味わえるのがたまりません。イヤミス、ほっこり、ゾクっとなど、様々なテイストが味わえるのもまたうれしい!

法月綸太郎、方丈貴恵、我孫子武丸、田中啓文、北山猛邦、伊吹亜門(著)
出版社(レーベル):講談社
法月綸太郎と方丈貴恵がフーダニットで、我孫武丸子と田中啓文がホワイダニットで、北山猛邦と伊吹亜門がハウダニットで、読者に挑戦!
「フーダニット」「ホワイダニット」「ハウダニット」と3つのカテゴリに2編ずつの短編を収録。それぞれの短編は「問題編」と「解決編」に分かれているので、とにかく分かりやすくて読みやすいのが魅力の一冊です。謎解きとしてだけでなく物語としても面白く、また、それぞれのカテゴリを担当した作家同士がお互いの作品を推理するというのも読みどころ!

青崎有吾、一穂ミチ、織守きょうや、白井智之、夕木春央、阿津川辰海、今村昌弘(著)
出版社(レーベル):文春文庫
人気作家7人がレジェンド作家・有栖川有栖へのリスペクトを胸に、全力執筆。「気鋭の作家が本気で遊んだら、こんなものを書いてしまうのか!?」と有栖川有栖を感嘆させた一度限りの豪華トリビュート!
有栖川有栖による解説も収録されたタイトル通り、人気作家による有栖川有栖に捧げられた七つの謎(の物語)を収録した豪華な一冊です。真正面から挑戦する超絶技巧の本格ミステリから、女子高に潜入する火村とアリスや不可解なダイイング・メッセージに挑む江神たちEMCの面々まで。有栖川有栖への愛を感じる物語たち。有栖川有栖ファンならニヤリとするところは随所にあり。元ネタを知らなくても楽しめるのも高ポイント!

伊坂幸太郎、中山七里、柚月裕子、吉川英梨(著)
出版社(レーベル):宝島社文庫
大人気作家オール書き下ろし、“人の死なない"ミステリー。心にしみる、とっておきのアンソロジー。
ミステリーを味わいつつもほっこりと癒されたい方におすすめの一冊。ミステリーとひとくちに言っても、その種類はさまざま。グロいものや殺人事件が絡むもの、いやーな後味を引くイヤミス系ではなく、穏やかな気分でミステリーを読みたい時にぜひ。ほっこりといえど、日常ものとはまた違う味わいが楽しめます。

宮部みゆき、辻村深月、宇佐美まこと、篠田節子、王谷晶、降田天、乃南アサ(著)細谷正充(編)
出版社(レーベル):PHP研究所
衝撃の結末に心がざわつき、いやな後味が残るミステリー「イヤミス」。第一弾『あなたの不幸は蜜の味』と同じく、女性作家による鳥肌必至の「イヤミス」傑作短篇を集めたアンソロジー。書き下ろし二作を加え、さらにパワーアップした「イヤミス傑作選」第二弾です!
「イヤミス」という言葉がまだなかった(そう呼ばれてなかった)時代の作品がミックスされていて、後味の残るミステリーが長く存在してきたことを感じさせられます。「イヤミス」に慣れていない、あまり得意でない方は一気に読まないほうがいいかも。後味が悪いのこそ「イヤミス」の醍醐味と、「イヤミス」攻撃に耐えられる方は、一気読みで存分にご堪能を。

法月綸太郎、山口雅也、有栖川有栖、加納朋子、西澤保彦、恩田陸、倉知淳、若竹七海、近藤史恵、柴田よしき(著)
出版社(レーベル):祥伝社
ベストセラー作家が待ち望んだ最高の聖夜がとんでもない惨劇に。人喰い給水塔を見学した元判事の脳裡に去来した恐るべき真相。夫と親友の浮気を知った妻がとった意外な行動。顔さえ知らない父の突然の訃報に直面した母娘の胸中。七年ぶりに再会した憧れの女性と奇妙な殺人事件…。十人の人気作家が不可思議、不条理な事件を描く珠玉のミステリー・アンソロジー。
10人の作家が並ぶと、それぞれの作風を楽しみながらも、自分の好みがふっと浮き出てくる気がします。1996年から1997年頃の作品が中心ですが、やはりちょっと時代を感じさせられるものもあり。と同時に、作中に登場した描写や風景、流行などがすぐに古くなってしまう、時代の流れの速さを実感し、なんともいえない感情が湧き上がります。読み慣れた作家さんの少し前の作品を読めるところも魅力。

赤川 次郎、有栖川 有栖、小川 勝己、北森 鴻、京極 夏彦、栗本 薫、柴田 よしき、菅 浩江、服部 まゆみ(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫
もじゃもじゃ頭に風采のあがらない格好。しかし誰よりも鋭く、心優しく犯人の心に潜む哀しみを解き明かす――。横溝正史が生んだ名探偵が9人の現代作家の手で蘇る、豪華パスティーシュ・アンソロジー。
作家たちの金田一耕助、そして横溝正史への愛をたっぷりと感じることができます。さまざまな”金田一”が出てくるだけでも興味を持ってしまいます。原作の事件のその後を描いたものや、金田一耕助という存在を違った角度から描いたものまで。原作を読んでいなくても、金田一耕助というキャラクターのイメージをある程度持って入れば楽しめますが、やはりある程度原作には触れておきたいところ。物語は書けないけれど、自分はこんな”金田一”を見てみたい!などという妄想も膨らみます。
※現在、取り扱いを終了

和田はつ子、梶よう子、浮穴みみ、澤田瞳子、中島要、宮部みゆき(著)細谷正充(編)
出版社(レーベル):PHP研究所
平成を代表する女性時代作家の豪華競演。親子の切ない秘密、料理にまつわる謎。話題の女性作家人の作品が一冊で読める、珠玉の時代小説ミステリーを集めたアンソロジー。
人情もたっぷりと味わえる時代小説ミステリーたち。読後感があまりよくない、後味の悪さが少し尾を引くものもあれど、時代ならではの人情感にほっこりもできます。いつの時代も…と思うところもあれば、この時代ならではという部分が楽しめるのも時代小説だからこそ。シリーズものからの登場が多いので、登場人物の背景をもっと知りたい!と感じたら、シリーズへと移行し、深く物語に入っていってみてはいかがでしょうか。

新井素子、秋吉理香子、芦沢央、小松エメル、恒川光太郎、菅野雪虫、長岡弘樹、そにしけんじ(著)
出版社(レーベル):中公文庫
気まぐれでミステリアスな〈相棒〉をめぐる、豪華執筆陣による全八篇。いつでもどこからでも手軽に猫を愛でることができる、バラエティ豊かな文庫オリジナルアンソロジー。
書影のかわいさに惹かれて手に取ると、思ったよりもゾクゾクする物語もありで心地よい裏切られた感もあってよき。7編のミステリー短編と漫画1作という組み合わせもまた面白い。ミステリーの深度もそれぞれでバラエティーに富んだ作品たち。個性豊かで気まぐれな猫たちと人間の奇妙な物語は、巻末のほっこり笑える猫漫画で締めくくられていて、満足の読後感を味わえます。
※現在、電子書籍のみ購入可能

アミの会(仮)、大沢在昌、乙一、近藤史恵、篠田真由美、柴田よしき、新津きよみ、福田和代、松村比呂美(著)
出版社(レーベル):実業之日本社文庫
数多くの傑作アンソロジーを生み出してきた実力派女性作家集団「アミの会(仮)」が、短編の名手による珠玉のミステリー8編を集めた一冊。人生で起こる「迷う」時を鮮やかに切り取った8つの物語を収録。
女性作家集団「アミの会(仮)」のメンバーに、乙一、大沢在昌をゲストに迎えて「迷う」をテーマに描いたミステリー短編を収録。「迷う」にもいろいろあるのだなぁとしみじみ。切なさ、心理的な怖さ、ゾクゾク感も味わえ、どの物語もグッと世界観に引き込む吸引力があるのが魅力。人生で起きる「迷う」をテーマにしているので、より物語に入り込みやすいのかも。

中央公論新社(編)
出版社(レーベル):中公文庫
江戸川乱歩が「大正期文壇の一角に燃え上がった、かくの如き犯罪と怪奇への情熱」と評した幻のミステリ特集号、「中央公論」秘密と開放号(大正七年七月臨時増刊)を現代に復刻。七編の創作と佐藤・乱歩の随筆を収録したアンソロジー。ミステリ作家・北村薫が、収録作について刊行当時の作家たちの生活や『中央公論』編集長・滝田樗陰との関係に触れつつ語る解説「大正七年 滝田樗陰と作家たち」を収録。
大正の文豪のミステリを集めた短編集。古典ならではの面白さに気づかされ、さまざまな時代の物語に触れたいという気持ちが掻き立てられます。時代もののいいところは、トリックはもちろん、言葉の表現の違いや変化を知ることができること。謎、仕掛け、語り口など、さまざまな切り口から大正の文豪たちの物語を堪能できます。

日本推理作家協会(編)
出版社(レーベル):講談社文庫
当代を代表する人気作家が、1970年からの30年間に発表された膨大な数の短編ミステリーの中から、“お気に入り”をセレクトした、「謎」シリーズの記念すべき1巻目。東野圭吾が選んだ8作品に加え、解説も収録。作品から読んでも、解説から読んでも楽しめる究極のアンソロジー。
解説から読んでも楽しめるアンソロジーの言葉通り、シリーズの選者たちは思わずニヤリとしてしまう当代を代表する人気作家ばかり。それだけでも惹かれてしまいます。70年代、80年代から2作品ずつ、90年代からは4作品をセレクト。セレクトされた作品、解説に触れた後に、選者・東野圭吾の作品を読むことで、味わい深さに変化を少しでも感じられたら…といった気持ちで読み進めたい一冊です。

伊坂幸太郎、大山誠一郎、伯方雪日、福田栄一、道尾秀介(著)
出版社(レーベル):東京創元社
不可能犯罪ばかりが起こる街、蝦蟇倉(がまくら)市。商店街や高校があり、市内電車も走っているこの街は、どこにでもありそうで、どこかおかしい。自殺の名所といわくつきの崖では殺人事件が起き、ふらりと街を訪れた青年は怪しい相談屋の仕事を手伝う羽目に。蝦蟇倉警察署捜査一課に存在する不可能犯罪係、何の変哲もない置物を要求する脅迫者、10トンの銅像に圧し潰された彫刻家。この街に住む人々の日常は、いつも謎に彩られている。
人気の作家たちが贈る、不思議な街の道案内の一冊です。著者は違うけれど、作品がゆる~くつながっているのも読みやすさのポイント。この事件の裏ではあの事件が…などと頭の中で整理しながら読むのがおすすめです。

青崎有吾、斜線堂有紀、武田綾乃、辻堂ゆめ、額賀澪(著)
出版社(レーベル):東京創元社
学園ミステリアンソロジーの第二弾。1990年代生まれの作家による5つの短編を収録しています。第一弾よりも高校生の青春、恋愛の甘酸っぱさを感じるものもあれば、殺人事件が発生する作品も。この年代の作家さんの層の厚さも実感できる一冊。青崎有吾の『あるいは紙の』は、裏染天馬シリーズのスピンオフ。シリーズを楽しんでいる人も、これからシリーズを読もうとしている人も楽しめます。

阿津川辰海、井上真偽、空木春宵、織守きょうや、斜線堂有紀(著)
出版社(レーベル):中央公論新社
あなたはここから出られるか。5人の人気作家が仕掛けた、謎だらけの物語から脱け出せ! 全編書き下ろしの没入感溢れる小説集。
タイトルからも分かるように“脱出”をテーマにしたアンソロジーです。屋上、森、塔、神社、そして研究所。様々な場所からの脱出に挑むミステリーでは、物理的な脱出もあれば心理的な脱出も。脱出の捉え方にはこれほどまでに幅があるのか! とワクワクできる一冊。全く違うテイストの作品を楽しめるタイプのアンソロジーなので、好みが見つけやすいかも。

坂崎かおる、宮内悠介、青崎有吾、天祢涼、太田愛、織守きょうや(著)
日本推理作家協会(編)
出版社(レーベル):講談社
2023年発表された短編推理小説の中から、プロの読み手たちが選び抜いたミステリー小説愛好者にもミステリー入門書としてもおすすめの一冊。選定のポイントは「とにかく面白くて優れた」短編だけを詰め込んでいること。新鋭からベテランまでキャリアに関係なく、面白いミステリー小説が集まっています。
アンソロジーの醍醐味のひとつが、お気に入りの作家さん目当てで買ったけれど、偶然好みの作品にも遭遇できるところ。既読作品が含まれていても、他の作品と一緒に読むことで新たな発見ができるかもしれません。

芦沢央、阿津川辰海、木元哉多。城平京、辻堂ゆめ、凪良ゆう
出版社(レーベル):講談社タイガ
ミステリにおける“日常の謎”というジャンルを“非日常の謎”と置き換え、日々の生活の狭間に突如訪れる、刹那の非日常で生まれる謎をテーマとした6人の作家によるアンソロジー。
ほっこり系からちょっぴり不気味系、感動系にイヤミスまで。それぞれの作家の色を強めに感じられます。非日常の謎をキーワードにしているので、本全体に“不思議”な雰囲気が漂っているような印象も。

若林踏、赤川次郎、小池真理子、新津きよみ、松本清張、宮部みゆき、矢樹純(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫
様々な家族の歪みを描くミステリアンソロジー。ゾワッとする怖さが漂う一冊。長編だと読破するのにカロリーが必要そうな作品群ですが、短編のアンソロジーだからサクサク読める気も。年代の幅も広いので、さまざまな時代の“家族の闇”が味わえます。
読後に湧き上がるなんとも言えない不気味な感覚は、ちょっと味わったことがないかも…と思えど、ページを捲る手が止まらないのはストーリーにハマっている証拠かもしれません。

法月綸太郎、山口雅也、有栖川有栖、加納朋子、西澤保彦、恩田陸、倉知淳、若竹七海、近藤史恵、柴田よしき(著)
出版社(レーベル):祥伝社
不条理な事件をテーマに描いた10編のミステリーを収録。10人の作家が1990年代に描いた10作品の中には、読後すぐに読み直したくなるほどクセになるものも。不条理というだけあって、なんとも言えない結末を迎える作品もあり。1990年代という時代背景もあり、作品によっては古さを感じることも。しかしそれも味! 1990年代を存分に堪能できます。再販時の帯にあった「復刊リクエストNo.1」のフレーズも納得の一冊です。

初野晴、曽根圭介、一穂ミチ、綾辻行人、矢樹純、鮎川哲也(著)
佳多山大地(編)
出版社(レーベル):朝日新聞出版(朝日文庫)
ミステリーの名手6人が紡ぐ変幻自在なトリックに挑むアンソロジー。トリックを解明できた! と思いきや、すっかり騙されることも。でもその騙される感じが楽しく感じられるのも本作の魅力。巧妙な仕掛けに唸りながら「騙されないぞ!」と構えていても、まるっきり違う結末を見せつけられ、まさに様々な「大逆転」を体験できます。読み応えもたっぷり。鮎川哲也の犯人当てミステリの古典的名作『達也が嗤う』はミステリ好きなら一度は読んでおきたい作品です。

阿津川辰海、伊兼源太郎、大門剛明、丸山正樹、横山秀夫(著)
西上心太(編)
出版社(レーベル):朝日新聞出版(朝日文庫)
法は守るためにあるのか、人のためにあるのか。法廷で繰り広げられる駆け引き、証言から導き出される新たな事実が、やがて隠された真相を暴き出す――。
シリーズものも含めた短編もありですが、もっと読みたい! という気持ちが芽生えたなら、関連作が読める楽しみも。アンソロジーでは既読の作品が収録されている場合もありますが、面白い作品は何度読んでも面白い! と再確認できるパターンも。他の作家さんの作品と並ぶことで新鮮味を感じることもあるので、「知ってるかも」「読んだことあるかも」と気づいても読み進めることをおすすめします!

浅田次郎、綾辻行人、有栖川有栖、岡崎琢磨、門井慶喜、北森鴻、連城三紀彦(著)
関根亨(編)
出版社(レーベル):朝日新聞出版(朝日文庫)
古都には、謎が似合う。7人の名手による、京都が舞台となった色とりどりの短編ミステリーはあやしき京小路へと読者を誘います。
少し前の京都らしさをしっかり感じられる作品群ですが、京都の長い歴史を考えれば、これもごく最近の話なのかなとも感じたり…。シリーズものからの短編も多く入っていますが、シリーズ未読でも楽しめるものばかり。改めて京都という場所は“謎”や“ミステリー”が似合うと実感するはず!

青柳碧人、大山誠一郎、恩田陸、貴志祐介、中山七里、東川篤哉、麻耶雄嵩、若竹七海(著)
千街晶之(編)
出版社(レーベル):朝日新聞出版(朝日文庫)
海の中の城で起きた殺人事件、雪に残った足跡が作り出した密室、入り江という閉ざされた空間――。普遍的に人々を魅了し続ける密室という名の荘厳な非日常空間、緻密に構築されたトリックに挑む!
密室好きにおすすめの一冊。中には密室ものへのアンチテーゼとも言える作品も。作家によって密室の捉え方もいろいろとしみじみ。中山七里の『要介護探偵の冒険』はシリーズものからのスピンオフ。青柳碧人の『密室龍宮城』はやるせなさを感じるラストがクセになるかも。

徳田秋聲、石川啄木、林芙美子、田山花袋、室生犀星、宇野浩二、堀辰雄、中島敦、萩原朔太郎(著)
山前譲(編)
出版社(レーベル):河出書房新社
日本文学史に名を残す文豪が書いた「変な旅」を集めたアンソロジー。旅には不思議がつきもの、ミステリー感漂う異色の9篇を収録しています。
文豪、書影、ミステリ、旅。好きなキーワードが並び、惹かれて手に取ってみた一冊。ミステリーのように感じない作品もなきにしもあらずですが、ちょっと変わったミステリーを欲しているなら、試して見るのもよいかも。読むだけでタイトルにもある“妙”が感じられるような気がする、ちょっと変わったテイストのアンソロジーです。この不思議な感覚もミステリーって感じがして悪くないかも?!

海堂尊、中山七里、乾緑郎、安生正(著)
出版社(レーベル):宝島社
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作家競演のアンソロジーにはバラエティに富んだ4つのミステリー作品が収録されています。
4つの違う物語ですが、それぞれの短編の間に次の作品へと繋がる1ページが入ることにより、連続した1つの物語のように感じられます。ちょっと実験的な作品という印象もあって新鮮。短編を読み終えた後には長編で読みたくなるのはさすが『このミス』大賞受賞作家陣です。

有栖川有栖、宮部みゆき、篠田真由美、柄刀一、山口雅也、北原尚彦(著)
出版社(レーベル):河出書房新社
『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をテーマに現代ミステリーの名手6人が紡いだ事件の数々…アリス愛に溢れた書影も魅力的な傑作短篇集です。
おかしなこと、不条理なことに溢れた物語たちで不思議な気分が味わえます。読了後には『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』を読み直したくなります。アリスと聞くとファンタジーという言葉が浮かびそうですが、このアンソロジーには哲学強めな作品もあり。不思議な読書体験をしたい方にもおすすめです。

陳浩基、知念実希人、陸秋槎、林千早、石黒順子、小野家由佳、島田荘司(著)
島田荘司(選)
稲村文吾(訳)
出版社(レーベル):講談社
日本×中国の作家陣のミステリーを集めたアンソロジー。100ページほどの中編もありで読み応えもあり。選者は島田荘司で書き下ろし作品も収録されています。SFやファンタジー色の濃い作品もありで、バラエティ豊かなミステリー作品が味わえます。島田荘司による「前書き」も含めて楽しみたい一冊。

綾辻行人、歌野晶午、法月綸太郎、有栖川有栖、我孫子武丸、山口雅也、麻耶雄嵩(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
全編書き下ろしのミステリーアンソロジー。名探偵という言葉に期待は高まりますが、中には名探偵どころか、探偵とも呼べるほどではない…と感じなくもない探偵風も登場しますが、アンソロジーならそれもありかも。お気に入りを見つけるのも楽しいですが、そこまでハマらないかもと自分には合わないテイストが見つけられるのもアンソロジーならでは?! ラストに収録された綾辻行人の『仮題・ぬえの密室』をどう楽しむかで、このアンソロジーへの感想が変わるかも。

碧野圭、太田忠司、近藤史恵、斎藤千輪、新津きよみ、西村健(著)
山前譲(編)
監修:日本推理作家協会
出版社(レーベル):双葉社
極上の謎解きに加え、趣向を凝らした料理の描写も楽しむことが出来る、人気作家の短編作品を収めたミステリアンソロジー。おいしさが溢れ出している書影にも惹かれます。
食×ミステリーの相性の良さを再認識できる一冊。出版社の垣根を超えて既刊から収録しているのもアンソロジーの魅力のひとつ。食べてみたくなる料理、行ってみたくなるお店も出てくるので、ミステリ-目線以外でも楽しめます。

宮部みゆき、辻村深月、宇佐美まこと、篠田節子、王谷晶、降田天、乃南アサ(著)
細谷正充(編)
出版社(レーベル):PHP文芸文庫
女性ミステリー作家による、“イヤミス”短編を集めたアンソロジー。見たくないと思いつつ、最後まで読まずにはいられない!
書影に散りばめられた文字たちからも“イヤ~”な感じが漂います。イヤミスを読むたびに思うのは「本の中だけであって欲しい」ということ。自分の周りにこんな人がいたら…と想像するとゾッとせずにはいられない、なんとも言えない後味ですが、短編らしく適度なイヤ度な点にちょっと救われる気がします。

モーム、フォークナー 他(著) 深町眞理子 他(訳)
小森収(編)
出版社(レーベル):東京創元社
創元推理文庫が21世紀の世に問う、新たなる一大アンソロジー。およそ200年にわたる短編ミステリの歴史を彩る名作傑作を、書評家の小森収が選出し全6巻に集成しています。
すべて新訳で収録され、編者による150ページを超えるちょっと長めな評論も収録。文豪から短編の名手、新聞・雑誌で活躍した俊才による珠玉の短編集は、クラシカルなミステリーの世界に浸りたい方におすすめです。

坂木司、友井羊、畠中恵、柚木麻子、若竹七海(署)
山前譲(編)
監修:日本推理作家協会
出版社(レーベル):双葉社
濃厚なチョコレート、あたたかなスコーン、とろけるようなプリン…おいしいスイーツには謎解きがついてくる! デパ地下の和菓子店に訪れるお客さんの謎めいた行動の理由、家庭科準備室で消えたチョコレートの行方、オフィスで饗されるアフタヌーンティーに隠された秘密など、5人の人気作家による、スイーツにまつわる物語を詰め合わせたミステリーアンソロジー。
スイーツの甘さも相まって、ほのぼのできるミステリー。明治の頃の物語、友井羊の『チョコレイト甘し』は他の呪録作とはちょっと違う雰囲気が漂ってよき味わいが楽しめます。

横溝正史(編)
出版社(レーベル):河出書房新社
ミステリー界の大家・横溝正史が選んだ、日本の名探偵が活躍する短篇9篇を収めたミステリー入門にも最適のアンソロジーの戦前篇。
続く「戦後篇」とあわせてミステリー好きなら読んでおきたいシリーズ。書影にも惹かれますが、探偵イラスト&人物紹介付きなのもうれしい。ちなみにこのアンソロジーは、横溝正史が探偵を選出し、編集が作品をセレクトしているそう。今の感覚で読むと「?」となる展開やトリックがあることも否めませんが、そんな感覚は一旦取り除いて、思いっきりこの時代の世界観に浸って、新鮮な気持ちで楽しみたい!
好みの作家の作品ばかりについつい手が伸びてしまう、本を一冊読み切れない、極上のミステリー小説を堪能したいけれど本を読む時間がゆっくり取れないなど、様々なミステリー好きの欲を満たしてくれるアンソロジー。豪華なラインナップが楽しめるのもアンソロジーならではの醍醐味。新しい素敵なミステリー小説に出会うために、気軽に手に取ってみてはいかがでしょうか。
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