2025/08/15

まんまと騙されるのも醍醐味!【トリックがすごい!ミステリー小説42選】

ミステリー小説の醍醐味は、トリックを暴いた時の爽快感、そしてトリックに見事に騙された時も「楽しめた!」と充実感を味わえます。思い切り騙されたい方、作者からの挑戦状に挑みたい方、さまざまな立場で楽しめるトリックがすごい小説を海外・国内別にご紹介します。

トリックがすごいミステリー小説のおすすめポイント

どうやって犯行が行われたのか。事件の真相を解明すべく、読者が謎に挑むミステリー小説には密室、心理、物理、アリバイ、一人二役、顔のない死体、さらには叙述と、トリックには様々な種類があるのも魅力。ミステリー小説をたくさん読んでいる方なら、「あのミステリーのパターンかな?」といくつかの謎解きをすることもあるかと思います。怪しいと思った人物が実はダミーだったり、ミスリードを誘うためのテクニックだったりすることもしばしば。謎が解けたかのように思えて、実は最後の最後でどんでん返しが!というのもミステリー小説の楽しさ。作者が仕掛けたトリックに唸り、実生活で騙されるのは遠慮したいけれど、本の中でなら騙される快感も心から楽しく味わえるはず!

海外編24選

『チャイナ蜜柑の秘密』

エラリー・クイーン(著) 越前敏弥、青木創(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

出版社の経営者であり、切手収集家としても有名なカーク。彼が外からエラリーと連れ立って帰ると、一人の男が全てが逆さになった密室状態の待合室で死んでいた。謎だらけの事件をエラリーが鮮やかに解決する。

クイーンの国名シリーズ第8弾。引き込まれる謎に”挑む気持ち”が高まる一冊ですが、密室トリックは少々難解。図を使っての解説がなければ、完全に理解するのは難しいかも。解説から読んでしまうと謎に挑む楽しみが減ってしまうのでは?という心配は本作においてはナシかもしれません。解説を読んでから本文を読んでも十分に謎解きは楽しめます。すべてが逆の「あべこべの殺人」という設定と密室トリックのかけ合わせを存分に味わってみて。

『貴婦人として死す』

カーター・ディクスン(著) 高沢治(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

数学の教授だったアレックは、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変。ある晩リタとバリーは突如姿を消し、海へ真っ逆さまの断崖まで足跡がついていた。二日後遺体が発見されるも、腑に落ちない点が多すぎる。二人の死は心中か殺人か。村に住む老医師が綴った手記から浮かび上がる真相とは? 

張りめぐらした伏線を見事回収する目配りの利いたヘンリ・メリヴェール卿の活躍が堪能できます。カーター・ディクスンの騙しのテクニックがエレガントな雰囲気を漂わせながら光輝く物語が展開します。メリヴェール卿だけでなくルーク医師の推理までもが新たな事実で覆され、二転三転するのも心地よく、ラストまでハラハラドキドキが続きます。時代背景も相まったラスト、山口雅也による解説。最後の最後まで読み応えたっぷり。

『恐るべき太陽』

ミシェル・ビュッシ(著)平岡敦(訳)
出版社(レーベル):集英社文庫

画家ゴーギャンや歌手ジャック・ブレルが愛した南太平洋仏領ポリネシアのヒバオア島。謎めいた石像ティキたちが見守るこの島に、人気ベストセラー作家と、彼の熱烈なファンでもある作家志望の女性5人が<創作アトリエ>のために集まった。しかし作家は失踪、彼女らは次々に死体となって発見される……。最後に残るのは、誰?

叙述ミステリーの巨匠ミシェル・ビュッシが満を持して放つ、アガサ・クリスティへの挑戦作。手がかりはたくさんあるのに騙される、ワクワクが止まらない物語が展開します。散りばめられたちょっとした違和感に気づきながらもまさか、ここまで大きな仕掛けが待っていたとは!と騙されたことを振り返る時間すら楽しめてしまいます。

『雪山書店と愛書家殺し:クリスティ書店の事件簿』

アン・クレア(著) 谷泰子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

美しい雪山の書店、ブック・シャレーを切り盛りするエリーと姉のメグは、いとこが始めた結婚仲介業のモニターをしぶしぶ引き受けることに。本好きと本好きを、本の好みをもとに結びつける――。そんな趣向の図書館デートの翌日、火かき棒で殴り殺されたメグのデート相手が発見される。事件前夜、被害者宅を訪ねたメグに疑いの目が注がれる中、麓の劇場では第二の事件が起きて……。手がかりは、現場から消えたクリスティの推理劇『ねずみとり』の脚本?

謎と雪が降り積もる書店を舞台に人間関係の糸が絡み合うミステリシリーズの第2弾。あちこちに散りばめられたクリスティへのオマージュが楽しい一冊。「マープルする」という表現などに、クリスティ好きならニヤニヤしてしまうはず。謎解きとあわせて、舞台となる美しい雪山の雰囲気も堪能できます。

『ぼくの家族はみんな誰かを殺してる』

ベンジャミン・スティーヴンソン(著) 富永和子(訳)
出版社(レーベル):ハーパーコリンズ・ジャパン

雪山で起きた連続殺人。容疑者は一家全員。

曰くつきの一族であるカニンガム家は、35年前に父が警官を殺した日以来、世間からは白い目で見られている。そんな家族が3年ぶりに雪山のロッジに集まることになったのだから、何も起こらないはずがない。そして、見知らぬ男の死体が雪山で発見される。家族9人、それぞれが何かを隠し、怪しい動きを見せる中、やがて第2の殺人が起こり……。

世界27カ国で刊行された伏線だらけの謎解きミステリー。時系列が行ったり来たりすること、登場人物がやや多めという点で慣れるまでちょっと時間がかかるものの、気づけば一気読み。ミステリーとしてはもちろん、家族モノ、ヒューマンドラマ的側面にも心が揺さぶられる面白さアリ。主人公が「ミステリー小説の書き方」というHOW TO本を書くライターという設定にも興味が増します。

『ウナギの罠』

ヤーン・エクストレム(著) 瑞木さやこ(訳)
出版社(レーベル):扶桑社

ウナギ漁のための小部屋のような仕掛け罠のなかで、地元の大地主の死体が発見された。入り口には外から錠がかけられ、鍵は被害者のポケットに――。そう、完璧な密室殺人だったのだ。さらに、遺体には一匹のウナギがからみついていた。被害者をめぐる複雑な人間関係、深まる謎また謎……

”ウナギの罠”と聞いて思い浮かべる仕掛けが日本風だと、ちょっとピンとこないのでは?という心配は必要ナシ。わかりやすい図解があるので、ユニークな密室トリックが成立すると納得できます。舞台は1960年代のスウェーデンの小さな村。この村の人々の暮らしぶり、閉ざされたコミュニティの人間関係あるあるを見るのも面白い作品です。

『極夜の灰』

サイモン・モックラー(著) 冨田ひろみ(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

1967年末。精神科医のジャックは、ある火災の調査のため、顔と両手に重度の火傷を負い記憶を失ったコナーという男と向かい合っていた。北極圏にある極秘基地の発電室で出火し、隊員2名が死亡。コナーは唯一の生存者だった。火災現場の遺体の一方は人間の形を残していたが、もう一方は灰と骨と歯の塊。なぜ遺体の状態に差が出たのか――。

登場人物のキャラクターは派手さもなく、クセ強系でもないけれど、どこか際立っているという不思議な魅力あり。このトリックが成立するのも1967年という時代ならでは。舞台、時代などを考慮でどっぷりと世界観に浸って楽しみたいところ。どんでん返しが好きなら、終盤の二転三転は素直にハマれるはず!

『卒業生には向かない真実』

ホリー・ジャクソン(著) 服部京子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

大学入学直前のピップに、ストーカーの仕業と思われる不審な出来事がいくつも起きていた。調べた結果、6年前の連続殺人との類似点に気づく。犯人は逮捕され服役中だが、ピップのストーカーの行為は、この連続殺人の被害者に起きたこととよく似ていた。ピップは自分を守るため調査に乗りだ出すのだった。

『自由研究には向かない殺人』から始まったシリーズ三部作の完結編。シリーズの中でも本作が一番ダークな雰囲気が漂っているという印象を受けます。三部作を通して考えさせられたのは正義感について。なかなかの衝撃的な展開が待ち受けていることを覚悟の上で最後まで見届けたいシリーズです。

『禁じられた館』

ミシェル・エルベール&ウジェーヌ・ヴィル(著) 小林晋(訳)
出版社(レーベル):扶桑社

マルシュノワール館に引っ越してきたのは、飲食産業で成功を収めた富豪のヴェルディナージュ。ここは所有者には常に災いがつきまとってきた曰く付きの館だ。再三舞い込むのは「この館から出ていけ」との脅迫状。果たして雨の夜、謎の男の来訪を受けた直後、館の主は変わり果てた姿で発見される。どこにも逃げ道のない館から忽然と姿を消した訪問者。捜査が難航するなか、探偵トム・モロウが登場する。

1930年代の古典&本格フレンチミステリーは重厚感たっぷり。登場人物が全員どこかしら怪しさを漂わせているのもミステリー好きの心をくすぐります。推理は二転三転するけれど、真相は意外とシンプル。おしゃれでエレガントな空気も感じられ、映像でも観てみたい一冊です。

『私立探偵マニー・ムーン』

リチャード・デミング(著) 田口俊樹(訳)
出版社(レーベル):新潮社

弁護士ランダルから仕事の依頼で事務所に呼び出されたムーンは、待合室で長く待たされていた。応接室からは弁護士の声が聴こえるも、入ってこいとの合図はない。痺れを切らし、応接室のドアへと突入するムーン。そこにはデスクに腰かけたままナイフを突き立てられたランダルの死体が。殺害犯は廊下へ続くドアから逃亡したものと思われたのだが……。

「フアレスのナイフ」をはじめ、義足の私立探偵マニー・ムーンの名推理全7篇を収録した連作中篇集です。腕っぷしの強いタフガイ・マニーのアクションシーンも見どころ。エラリー・クイーン・チームのオリジナル作品も執筆した経験を持つ筆者だけあって、ミステリーもトリックもお手のもの。プラス、ストーリー展開やセリフ回しが謎解き×ハードボイルドの世界に引き込みます。

『三人の名探偵のための事件』

レオ・ブルース(著) 小林晋(訳)
出版社(レーベル):扶桑社

サーストン家で開かれたウイークエンド・パーティーの夜、突如として起こった密室殺人事件。扉には二重の施錠がなされ、窓から犯人が逃げ出す時間はなかった。村の警官ビーフ巡査部長が捜査を開始するが、翌朝、ウィムジイ卿、ポアロ、ブラウン神父を彷彿とさせる名探偵たちが次々に登場して……。

三者三様の仮説を唱える名探偵と、彼らに皮肉めいた言葉を投げるビーフ巡査部長のやりとりに面白みあり。この作品の密室トリックは三人の名探偵たちに”推理させるため”の密室にしてあることがポイントです。多重解決もので、皮肉、パロディ、ちょっと小馬鹿にされたようなムードも漂うどんでん返し。独特のユニークさが漂う一冊。本作から始まるウィリアム・ビーフシリーズは全8作。ビーフ巡査部長が元巡査部長となり、のちに名探偵ビーフとなる日が来ることを頭に入れて、本作での三人の名探偵に対するセリフを読むと、より面白さが増してきます。

『サム・ホーソーンの事件簿<1>』

エドワード・D・ホック(著) 木村二郎(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

橋の途中で消え失せた馬車、行き止まりの廊下から消え去った強盗、誰も近づけない空中で絞殺されたスタントマン等々、次々と発生する怪事件。全編不可能犯罪を扱った、サム・ホーソーンものの初期作品12編に特別付録として「長い墜落」を収録!

短編ミステリーの第一人者として活躍したエドワード・D・ホックはサム・ホーソーン医師をはじめ、サイモン・アーク、怪盗ニック・ヴェルヴェット、レオポルド警部など多彩なキャラクターを主人公に据えて謎解きの醍醐味を満喫させるという作風で人気の作家です。聞き手とお神酒を酌み交わしながら、老医師のサム・ホーソーンが若かりし頃に、アメリカの片田舎・ノースモントで開業していた際に遭遇した不可能犯罪の話をするというスタイルで綴られているので、読み手も目の前でホーソーン医師の昔話を聞いているような気分が味わえます。

『白い僧院の殺人』

カーター・ディクスン(著) 高沢治(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ロンドン近郊の由緒ある屋敷<白い僧院>でハリウッドの人気女優マーシャ・テイトが殺害された。周囲は百フィートにわたって雪に覆われ、発見者の足跡以外に痕跡を認めない。事件前マーシャに毒入りチョコレートが届くなど不穏な雰囲気はあった。甥が<白い僧院>の客だったことから呼び寄せられたヘンリ・メリヴェール卿は、たちどころに真相を看破する――。

HM卿シリーズの長編2作目は、「カーの発明したトリックの中でも最も優れたもののひとつ」と江戸川乱歩も絶賛した雪の密室の最高峰。雪のトリックといえば足跡がポイント。登場人物がしゃべりまくるので、読みながら様々な疑いを持ってしまうのも作品の魅力のひとつ。HM卿による犯人の心理考察、華麗にそしてスマートに真相を解き明かす姿に痺れます!

『自宅にて急逝』

クリスチアナ・ブランド(著) 恩地三保子(訳)
出版社(レーベル):早川書房

白鳥の湖邸と呼ばれる富豪サー・リチャードの豪勢な邸では、亡妻セラフィタのためのハウスパーティが例年通り開かれようとして、親族の者が続々と集まってきていた。表向きはいかにも和気藹々の家族懇親会だが、どこか不気味な暗流が、最初から底を流れていて――。

容疑者の数が限られている中での犯人探し。登場人物たちが繰り広げる推理と、ねじれながらも美しく感じる人間描写を堪能しながら、真相に近づく楽しみを、コロコロと転がされながら味わえる作品です。最後の最後まで気が抜けない、迷路に迷い込んだようなスリルが体感できます。トリックとしては足跡がない殺人、そして密室ものとしての側面もある心地よく騙される一冊です。

『歯と爪(新版)』

ビル・S・バリンジャー(著) 大久保康雄(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ニューヨーク地方刑事裁判所では、奇妙な裁判が進行していた。お抱え運転手が殺された事件を審理していたが、遺体は見つからず、殺害現場と見られる地下室には焼け焦げた義歯と脛骨、右中指の先のほか血痕など若干の痕跡を残すのみ。“罪体”のない殺人事件を巡り、検事側と弁護側の烈しいやりとりが展開する。

裁判パートと回想パートが交互に語られていく物語。主人公が奇術師なので、トリッキーな展開にピッタリ。最初から騙される気満々で読み進められます。今の時代なら科学捜査で真相がわかってしまうかも…と思ってしまう部分もありますが、この本が書かれた時代を考えれば面白みをしっかりと感じられるはず。

『ポアロのクリスマス(新訳版)』

アガサ・クリスティー(著) 川副智子(訳)
出版社(レーベル):早川書房

富豪の血族が一堂に会する聖夜、事件は起きた。偏屈な老当主シメオンが殺されたのだ。部屋は中からは鍵がかかり、窓も塞がれていた。館にいたのは家族と使用人だけ。跡継ぎとして父親に振り回されていた長男、犯罪歴のある次男、金に困っている三男、当主に不満を抱く使用人…果たして犯人は誰なのか?

名探偵ポアロが挑む密室殺人事件。遺産相続が絡む殺人事件は定番といえば定番ですが、ド定番こそ面白く感じられるのもミステリー小説の魅力。あのパターンかと謎解きに挑戦するも、華麗に騙されるというパターンも味わえます。トリックはもちろん、クリスティーらしい人間関係の描写が堪能できる一冊。クリスマスに事件なんて遠慮したい、と思いつつもクリスマスシーズンに読めばより一層の楽しさ、面白さを感じられるかも。

『雪と毒杯』

エリス・ピーターズ(著) 猪俣美江子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

クリスマス直前のウィーンで、オペラの歌姫の最期を看取った人々。チャーター機でロンドンへの帰途に着くが、悪天候で北チロルの雪山に不時着してしまう。彼らがたどり着いたのは、雪で外部と隔絶された小さな村のホテル。歌姫の遺産をめぐり緊張が増す中、弁護士によって衝撃的な遺言書が読み上げられた直後に事件が起きる。

雪で閉ざされたホテルで起きる毒殺事件。クローズドサークルものです。英国ユーモアを感じさせるセリフにはちょっと時代を感じつつも、飽きずに一気に読める一冊。たとえ犯人が分かったとしても「えっ!」と驚く要素もしっかり散りばめられ、最後の最後まで味わい尽くせる物語。軽やかさと余韻が楽しめる作品です。

『黄色い部屋の秘密』

ガストン・ルルー(著) 高野優 竹若理衣(訳)
出版社(レーベル):早川書房

真夜中、令嬢の寝室から助けを求める悲鳴と銃声が響いた。居合わせた父親らがただ一つの扉を打ち破って部屋に入ると、令嬢は昏倒し、部屋は荒らされ、黄色の壁紙には大きな血染めの手形が残されていた。しかし部屋は完全な密室で、犯人の姿はどこにもない。

18歳の少年記者ルールタビーユが挑む怪事件を描く本作は、カーやクリスティー、乱歩も驚いたとされる密室ミステリの傑作。密室トリックの必読書とも言われる本作は、様々なミステリー小説の解説に登場し、読んだことはないけれどタイトルは知っているという方も多いかも。本作で明かされなかった<黒衣夫人の香り>の秘密は、続編『黒衣夫人の香り』でヴェールを脱ぐことになるので、ぜひ続けて読んでみて。

『Yの悲劇』

エラリー・クイーン(著) 中村有希(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

ニューヨーク湾に浮かんだ死体は、行方不明だった大富豪ハッター家の当主ヨーク。警察は自殺と結論づけるが、二ヶ月後、ハッター邸で毒物混入事件が発生。解決を要請された名優にして名探偵のドルリー・レーンも手をつかねるうちに、ついには屋敷で殺人が起きて……。

一族を相次ぎ襲う惨劇の恐るべき真相に挑むのは、名優で名探偵のドルリー・レーン。本作はレーンが探偵役を務める悲劇四部作(『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』)の二作目です。ドロドロとした人間関係と説得力のある謎解きが魅力。結末はなんだかやるせない気持ちになるけれど、それも悲劇シリーズらしさかも。シェイクスピア好きにもおすすめです。

『アクロイド殺し』

アガサ・クリスティー(著) 羽田詩津子(訳)
出版社(レーベル):早川書房

名士アクロイドが刺殺されているのが発見された。シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしたが、事件は迷宮入りの様相を呈しはじめる。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロだと判明し、局面は新たな展開を見せる――。

叙述トリックを扱い、ミステリー小説の世界に大きな波紋を投じた名作は、衝撃の真相が明かされると、またすぐに読み返したくなるほどクセになる一冊です。アルゼンチンにいるという設定で、ポアロの相棒ヘイスティングス大尉が登場しないことに寂しさを感じつつも、代わりの語り手が登場するのでご安心を。メイントリックはもちろん、時代を感じるアリバイトリックにも唸ります。

『帽子から飛び出した死』

クレイトン・ロースン(著) 中村能三(訳)
出版社(レーベル):早川書房

奇術師の帽子からウサギやハトが飛び出すように、完全密室の中から摩訶不思議な殺人事件が飛び出した。真っ暗な部屋の中で、各頂点にローソクが妖しくゆらめく五芒星形の模様の真ん中に、神秘哲学者サバット博士が恐ろしい形相で横たわっていたのだ。さらにその模様のまわりは、不思議な呪文で縁どられていて――。

奇術師、腹話術師、霊媒、心霊学者など登場人物の設定からして怪しさ満点&クセが強めの密室殺人ミステリーの名作です。密室トリックをミスディレクションし、真相からそらすという手法で、読み手を翻弄していきます。作品に登場する魔術、奇術は実在するものというのも面白い!

『ビッグ・ボウの殺人』

イズレイル・ザングウィル(著) 吉田誠一(訳)
出版社(レーベル):早川書房

霧深い冬の朝、ボウ地区で下宿屋を営むドラブダンプ婦人は戦慄の光景を目にする。そこには喉を切られた下宿人の遺体があった。これは密室殺人なのか……。ロンドン警視庁の敏腕刑事と元刑事が事件の真相に奔走する!

カーも乱歩も絶賛の密室ものにおける世界初の長編と言われている一冊。密室トリックに加え、叙述トリックもあり。少々くどさを感じる文章ですが、19世紀ロンドンの下町の雰囲気を感じられて面白さを増しています。200ページほどのコンパクトな長編でありながら、ユーモアもたっぷり。作者の序文にもユーモアを感じます。

『幻の女』

ウイリアム・アイリッシュ(著) 黒原敏行(訳)
出版社(レーベル):早川書房

妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子姿の見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たち。迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?

男のアリバイを証明できる唯一の存在、“幻の女”は一体どこに――。死刑までの日にちをカウントダウンしていく構成に、ハラハラ・ドキドキ感が増します。バーで出会った女とは、レストラン、タクシー、劇場と同伴したにもかかわらず、誰もその姿を見ていない、知らないというミステリー。幻の女の手がかりを掴んだと思った瞬間に、するりとすり抜けられてしまうもどかしさを堪能して。

『ブラウン神父の不信』

G・K・チェスタトン(著) 中村保男(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

名作揃いの“ブラウン神父”シリーズでも特に傑作が集まっているのが珠玉の8編を収録した『ブラウン神父の童心』『ブラウン神父の知恵』に続く、この第三集と言われています。「犬のお告げ」はブラウン神父を語る上で外せない傑作。「ムーン・クレサントの奇跡」では大胆で奇想天外な密室トリックが炸裂します。

シンプルなトリックが味わいたいなら「ギデオン・ワイズの亡霊」がおすすめ。トリックに思い切り驚きたいなら「ダーナウェイ家の呪い」をぜひ。本作ではブラウン神父がアメリカに渡るというのも注目ポイント。シンプルなものから衝撃的なものまで、様々なトリックが体験できる一冊です。

国内編18選

『密室殺人ゲーム王手飛車取り』

歌野晶午(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をし合う。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのだ。リアル殺人ゲームの行き着く先とは――。

登場人物のニックネームを見るだけでも、なんだか一筋縄ではいかないミステリーが展開する予感がします。読み進める上でポイントにしたいのは”ちょっとした違和感”を見逃さないこと。気になる、ひっかかるといった部分は、一気に解消されるパートが待ち構えているので爽快感も味わえます。トリックのクイズを出すために……という展開にちょっと馴染めないかも、ありえない設定かもと思っていても、次々出てくるトリックのパターンに夢中でページをめくってしまいます。

『ジェリーフィッシュは凍らない』

市川憂人(著)
出版社(レーベル):東京創元社

特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船<ジェリーフィッシュ>。その発明者のファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに自動航行システムが暴走、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。

SF要素あり、叙述あり、密室ありの本格ミステリー。『そして誰もいなくなった』的な展開も絡みつつも「っぽいかも……」のようには終わらないところが魅力。時代背景もあったからこそ成立した物語ではあるものの、独特の発想で読み手を世界観へと誘います。トリックや推理展開には引き込まれるものの、登場人物たちの行動理由には納得いかない部分もありながらも、クローズドミステリーとしての魅力は存分に詰まった一冊です。

『そして二人だけになった Until Death Do Us Part』

森博嗣(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

とてつもなく大きな橋を支える巨大コンクリートの塊の中に、国家機密とされるシェルタがあった。現代の最高技術で造られたこの密室に滞在することになった6人が、1人ずつ、殺される。痺れるような緊張感の中、最後に残った2人。そして世界が反転する――。

巨大な核シェルターという密室で起きる不可解な連続殺人事件の謎は、読み進めてもなかなか解ける気配が見えてきません。理数系ミステリー作家、森博嗣ワールド全開で、どんでん返しからのどんでん返し、二転三転する展開にまんまと驚かされます。

『新装版 殺戮にいたる病』

我孫子武丸(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

犯人は、永遠の愛を得たいと思った――。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラー。その名は、蒲生稔。繰り返される凌辱の果ての惨殺。恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈にえぐり出す!

華麗にして大胆な叙述トリックで二度読み必至の一冊。残虐な描写も多く、読み手を選ぶと思いきや、読み始めると作者の仕掛ける巧妙な罠に気持ちよくハマっていきます。伏線はあちこちに張り巡らされ、明かされるトリックにも気持ちよく納得。グロさやサイコ的なところが苦手でも、叙述トリックの完成度、ラストの衝撃などなどで「読んでよかった!」と思えます。手を出さずにいた苦手ジャンルに目覚める、そんなきっかけも与えてくれそうです。

『硝子のハンマー』

貴志祐介(著) 
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。

弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室トリックに挑みます。本作は1部「見えない殺人者」2部「死のコンビネーション」という二部構成のミステリーで、前半は探偵ものとして、後半は叙述ものとしてといった具合に、1冊で2種のミステリーが楽しめるという贅沢さ。探偵視点、犯人視点から綴られる物語で、巧みな心理描写にも引き込まれます。

『改訂完全版 斜め屋敷の犯罪』

島田荘司(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか。

日本ミステリー界を変えた傑作が大幅加筆の改訂完全版で登場。御手洗シリーズのなかでも屈指の人気を誇る三大ミステリーのひとつ。斜め屋敷という時点で「何かある」とは思うものの、具体的なトリックに辿り着くのはなかなか大変というより「そんなの思いつかないでしょ」という感想がピッタリかも。ちょっととんでもない気もしなくもないし、実際それって可能なのかとぐるぐる考えた結果「すべてに意味があったのね」と納得させられてしまうパワーを感じます。解説図を見てスケール感にも圧倒されてみて!

『文庫版 姑獲鳥の夏』

京極夏彦(著) 
出版社(レーベル):講談社文庫

東京・雑司ヶ谷の医院に奇怪な噂が流れる。娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ――。

古本屋にして陰陽師が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第1弾。不思議な事件を現実的に解決する面白さのあるミステリー。怪異、民族学、医学、そしてミステリーが絶妙に絡み合い、さらには京極堂と関口のちょっぴり哲学的な独特のやりとりも楽しくてハマってしまいます。読後に思うのは「この世に不思議なことなど何もない」この言葉が全てだということ。伏線の回収に”美しさ”を感じるのも本作の魅力!

『向日葵の咲かない夏』

道尾秀介(著)
出版社(レーベル):新潮社文庫

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて現れた。「僕は殺されたんだ」と訴えながら。僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追いはじめた。

二転三転と振り回される感を味わえるミステリー。向日葵とか夏とかの文字を見て、爽やかなミステリーを想像してしまったのですが、グロさやホラーテイストもあり。読み進める中でどんどん増えていく小さい「?」たちは、少しずつ解消されていきます。なのに、気づけば結局騙されるという結末。作品全体に漂う薄気味悪さが残るかと思いきや読後感は意外にもスッキリというのも面白い!

『ロートレック荘事件』

筒井康隆(著)
出版社(レーベル):新潮社文庫

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが……。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ者は?動機は?

全編に散りばめられたトリックだらけの叙述ミステリー。ロートレックの挿絵が割と多く使われていることにも意味がある?!本作における探偵役の読者を欺く会話や巧みな描写で”騙し”へと誘っていきます。読みながら増えていく違和感を抱えながら行き着くラストで、驚きと共に真実を見ることに。疑いながら読み進めていても騙されていく。結局「こんな騙し方もあるのか!」と納得してしまいます。

『ある閉ざされた雪の山荘で』

東野圭吾(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

早春の乗鞍高原のペンションに集まったのは、オーディションに合格した男女7名。これから舞台稽古が始まる。豪雪に襲われ孤立した山荘での殺人劇だ。だが、1人また1人と現実での仲間が消えていくにつれ、彼らの間に疑惑が生まれる。果たしてこれは本当に芝居なのか。

起きている出来事は現実なのか芝居なのか。視点の切り替え、芝居なのか現実なのかの切り替えにも振り回されます。クローズド・サークルもののように見えて、明確にそうではない。クローズド・サークル的要素を踏まえた上で、ちょっぴり皮肉めいたテイストを盛り込んでいます。

『容疑者Xの献身』

東野圭吾(著)
出版社(レーベル):文春文庫

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

運命の数式。命懸けの純愛が生んだ犯罪。ガリレオシリーズ初の長編で直木賞受賞作の本作は、2008年に福山雅治主演、堤真一、松雪泰子共演で映画化。さらに、中国、韓国でも映画化されたヒット作です。トリックを仕掛ける石神と、挑む湯川。天才VS天才の頭脳戦に痺れ、愛の深さと自己犠牲の儚さに心が揺さぶられるミステリーです。

 

『十角館の殺人<新訳改訂版>』

綾辻行人(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家の中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人が発生。メンバーが一人、また一人と殺されてゆく……。

1987年の刊行以来、ミステリー史上最大級の衝撃の結末として、多くの読者を魅了し続ける名作です。たった一行でどんでん返し!という展開に騙される人が続出。これが筆者のデビュー作というのも衝撃です。登場人物のニックネームもミステリーファンにはたまらない演出!

『彼女は存在しない』

浦賀和宏(著)
出版社(レーベル):幻冬舎文庫

平凡だが幸せな生活を謳歌していた香奈子の日常は、恋人・貴治がある日突然、何者かに殺されたのをきっかけに狂い始める。同じ頃、妹の度重なる異常行動を目撃し、多重人格の疑いを強めていた根本。次々と発生する凄惨な事件が香奈子と根本を結びつけていく。その出会いが意味したものとは……。

衝撃のラストとともに、人間の深層心理を炙り出す、2度読みに誘う叙述トリックミステリー。二人の視点からの物語が展開し、一つの真相へと向かっていきます。いわゆる多重人格ものとは一味違う。人間の意識、人格、はたまた人間そのものについて考えさせられる一冊。

『慟哭』

貫井徳郎(著)
出版社(レーベル):東京創元社

連続する幼女誘拐事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。若手キャリアの課長を巡り警察内部には不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。

新興宗教や現代の家族愛をテーマに内奥の痛切な叫びを描いた筆者のデビュー作は、サクサクと読み進められるのですが、読後感はかなりずっしりとしています。ミステリーとしてはかなりシンプルですが、犯人が分かった時の衝撃はかなりのもの。正直ショックで受け入れるのに苦しさを感じますが、叙述トリックとしてきっちりと騙してくれるので、そういった意味でのスッキリ感は味わえます。

『葉桜の季節に君を想うということ』

歌野晶午(著)
出版社(レーベル):文春文庫

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵の成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たす。

第57回日本推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞受賞など、あらゆるミステリーの賞を総なめにした恋愛活劇ミステリー。オチの好き嫌いは分かれるかもしれませんが、「まんまとやられた!」と叙述トリックとして存分に楽しめます。叙述トリックの小説と知っていても、計算され尽くした1行の衝撃にやられます。

『占星術殺人事件』

島田荘司(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!?

名探偵・御手洗潔を生んだ筆者のデビュー作。1981年の作品ですが、何度読んでも全く色褪せません。怪異に満ちた密室トリック、猟奇的なバラバラ殺人事件、迷宮入りから40年を経ての事件解決に至る流れなど、これでもか!とばかりにミステリー要素が存分に詰まった一冊です。

『ハサミ男』

殊能将之(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に。自分以外の人間に、何故、彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる――。

ハサミ男の視点と警察の視点をクロスさせながら展開する、グロさあり、サイコサスペンス要素ありの2度読み確定の叙述トリックもの。ミスディレクションに面白いくらいに振り回されながら、グイグイと物語に引き込まれていきます。巧みなトリックが秀逸と評判の本作は、2004年に豊川悦司&麻生久美子主演で映画化されました。

『イニシエーション・ラブ』

乾くるみ(著)
出版社(レーベル):文春文庫

僕がマユに出会ったのは、人数が足りないからと呼びだされた合コンの席。理系学生の僕と、歯科衛生士の彼女。夏の海へのドライブ。ややオクテで真面目な僕らは、やがて恋に落ちて……。

「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。文庫版の表紙、タイトルを見ると恋愛小説だと思い、ミステリー小説として手に取らないかもしれません。殺人事件も起きないし、死体も出てこないけれど、「絶対に先に読まないで!」と言われる「最後から二つめのセリフ」に行き着いた時、全く違う印象の物語に姿を変えます。人気作なので難しいかもしれないけれど、レビューは先に読まずに読むべきミステリー。先入観も予備知識もまっさらで読むことをおすすめします。2015年、松田翔太&前田敦子共演で映画化。映画は原作とは異なるエンディングになっています。

最後に

「どうしてこんなトリックが思いつくのか」と、作り手の頭の中を覗きたくなる作品が揃う“トリックがすごい”ミステリー小説たち。このトリックなら騙されてもいい、むしろ騙されるのが本望なミステリー小説を堪能して、もっともっとミステリーの世界にハマってみてはいかがでしょうか。

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ライター/タナカシノブ
2015年9月よりフリーライターとして活動中。映画、ライブ、歌舞伎、落語、美術館にふらりと行くのが好き。