古典ミステリーと呼ばれるジャンルも存在するほど、ミステリー小説の歴史は長く親しまれています。名作とよばれるものも多く存在するミステリー小説。アガサ・クリスティーが生み出したエルキュール・ポアロや、アーサー・コナン・ドイルが創作したシャーロック・ホームズなど、ミステリー小説に登場する架空のキャラクターはまるで実在しているかのように愛され続けています。読書の醍醐味はページをめくるだけで物語の世界に入り込めること。本の中だけに止まらないほどの人気者による華麗な推理はもちろん、彼らが生きる世界の文化に触れられるのも海外ミステリー小説の魅力です。
今回は、そんな海外ミステリー小説のおすすめをまとめてご紹介します。
エラリー・クイーン(著)中村有希(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
ギリシャ人美術商の豪邸で起きた小箱の消失に端を発する難事件は、若き日の名探偵エラリーを極限まで追いこむ強固な謎をはらんでいた——。
<国名シリーズ>の中でも、複雑なプロット展開で”傑作!”の声も多い本作の見どころは、試行錯誤し、煩悶する名探偵の姿。だからこそ終盤以降の謎解きがより爽快に感じられます。物語の展開や多彩な登場人物の関係性を楽しみながら、大学を出て間もないという設定の若きエラリーの瑞々しさを感じながら堪能したい1冊です。
ジョセフ・ノックス(著)池田真紀子(訳)
出版社(レーベル):新潮文庫
マンチェスター大学の学生寮から女子学生ゾーイが姿を消して6年が経過していた。イヴリンはこの失踪事件にとり憑かれ、関係者への取材と執筆を開始。作家仲間ジョセフ・ノックスに助言を仰ぐが、拉致犯特定の証拠を入手直後、彼女は帰らぬ人に。ノックスは遺稿をもとに犯罪ノンフィクションを完成させたが――。
インタビューとメールのやりとりで書かれていて分厚い文庫ながらも読みやすさを感じます。果たしてこれは小説なのか…とサクサク読み進めてみれば、この読みやすさこそが、犯人探しを難しくさせていることに気づきます(読み終わる頃に気づくのですが…)。感情移入できない登場人物にモヤモヤしながらも、どこか「ありそう」と思わせる不思議なリアルさが漂う不思議な感覚が味わえます。
ミシェル・エルベール&ウジェーヌ・ヴィル(著)小林晋(訳)
出版社(レーベル):扶桑社
飲食産業で成功を収めた富豪のヴェルディナージュが、マルシュノワール館に引っ越してくる。ここは、これまでの所有者には常に災いがつきまとってきた曰く付きの館だ。再三舞い込む「この館から出ていけ」との脅迫状。果たして雨の夜、謎の男の来訪を受けた直後、館の主は変わり果てた姿で発見される。どこにも逃げ道のない館から忽然と姿を消した訪問者。捜査が難航するなか、探偵トム・モロウが登場する。
1932年のフランスのミステリー。古典ミステリーのため、謎解きの設定そのものはオーソドックスなのですが「やっぱりこれだよね…」と納得させてくれる古き良き感がたまりません。次から次へと何やら怪しげな登場人物が姿を見せ、ちょっぴりコメディ感もありつつゾワゾワさせてくれます。
ヨルン・リーエル・ホルスト(著)中谷友紀子(訳)
出版社(レーベル):小学館文庫
ある朝、ヴィスティングの自宅の郵便箱に差出人不明の封書が届く。中にあったのは、12―1569/99と数字だけが書かれた一枚の紙。数字は事件番号で、隣接する警察署の管内で1999年に起きた1569号事件を意味していた。この年の7月、十七歳のトーネ・ヴァーテランが行方不明となり、二日後に絞殺体で発見された。トーネの体内から検出された精液のDNA型が元恋人のものと一致し、男は逮捕され禁固十七年の刑を受けていた。匿名の手紙は冤罪を示唆しているのか、何を訴えたいのか、そしてなぜ自分に届けられたのか——。
警部ヴィスティングの未解決事件四部作の最後の事件は、休暇中のヴィスティングのもとに謎めいた手紙が届くところからスタート。ミステリー小説の主人公はちょっとクセのあるタイプが好きという方も多いかもしれませんが、ヴィスティングのように普通な感じだけどグイグイ引き込む、気になって仕方ないタイプもやっぱりいいなぁと思える人物像が素晴らしくて、結果クセになります。地味だけどかっこいい、丁寧な刑事の仕事みたいなところをたっぷりと味わい尽くせる一冊です。
アンソニー・ホロヴィッツ(著)山田蘭(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
実直さが評判の離婚専門の弁護士が殺害された。裁判の相手方だった人気作家が口走った脅しに似た方法で。現場の壁にはペンキで乱暴に描かれた数字“182”。被害者が殺される直前に残した謎の言葉。脚本を手がけた『刑事フォイル』の撮影に立ち会っていたわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、元刑事の探偵ホーソーンによって、奇妙な事件の捜査にふたたび引きずりこまれて——。
ホロヴィッツの謎解き&語り口、そしてホーソーンとの関係性はやっぱり面白い! とワクワクが止まりません。つかみどころのないホーソーン、空回りする感もあるようなホロヴィッツ。このやりとりを楽しみつつ、本格推理もしっかりと堪能できる。安定の面白さで読者の心を掴んで離さない感を存分に実感できます。
ポール・アルテ(著)平岡敦(訳)
出版社(レーベル):行舟文化
ロンドンのどこかに、霧の中から不意に現れ、そしてまた忽然と消えてしまう「あやかしの裏通り」があるという。 そこでは時空が歪み、迷い込んだ者は過去や未来の幻影を目の当たりにし、時にそのまま裏通りに呑み込まれ、行方知らずとなる。単なる噂話ではない。その晩、オーウェン・バーンズのもとに駆け込んできた旧友の外交官ラルフ・ティアニーは、まさにたった今、自分は「あやかしの裏通り」から逃げ帰ってきたと主張したのだ! しかもラルフは、そこで「奇妙な殺人」を目撃したと言い……。
謎が謎を呼ぶ不思議満載の怪事件に、名探偵オーウェンが挑む、名探偵オーウェン・バーンズシリーズ第4作。2005年発表の作品ですが、物語の舞台は1902年。この時代ならではのトリックと、事件の裏にある意外なストーリーに惹き込まれます。このカバーイラストは、著者自身が日本語版向けに描いています。さらに、作品に出てくる事件は著者の実体験がもとになっているそうで、著者自身が撮った、体験した場所をスケッチ風にした絵を最後に収録しているところにも注目です。
ジョン・ヴァードン(著)浜野アキオ(訳)
出版社(レーベル):文春文庫
数字を一つ思い浮かべろ。
その奇妙な封書にはそう記されていた。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」。数々の難事件を解決してきた退職刑事に持ち込まれた怪事は、手品めいた謎と奇怪な暗示に彩られた連続殺人に発展する。眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれる華麗なミステリー。
クラシカルで重厚な雰囲気を漂わせながらゆっくりと物語が展開していきます。主人公は退職した刑事という設定ですが、年齢は47歳。ニューヨーク警察を退職して住んでいる場所が19世紀に建てられた農館というところですでにちょっぴりミステリーな雰囲気を漂わせています。警察小説×本格ミステリーの融合の中、次から次へと湧き出る謎、トリックが楽しめます。
ジョン・ディクスン・カー(著)駒月雅子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
北仏のある避暑地で、英国人ローズ卿が深夜、秘蔵の煙草入れもろとも頭を打ち砕かれて殺されるという陰惨な事件が起きた。いくつかの状況証拠から、殺人容疑はローズ家の向いに住み、卿の息子と婚約中のイヴにかかった。ところが事件当夜、彼女は前夫ネッドと窓越しに惨殺現場を見ていたのだ。婚約者の手前、無実の証に前夫を持ち出す訳にもいかないイヴは、抗弁できぬままにいよいよ追い詰められてゆく……。
現実的にこのトリックは可能なのか……と思わなくはない部分も多いのですが、結局「やられた!」感を味わえるのは、さすがのカー作品といったところ。大胆なトリックに緻密な伏線、スリリングな心理サスペンスと巧みなミスリーディングはやはりお見事。ミステリー部分以外の描写がこの作品にハマれるか、そうでないかの決め手になるかも!?
スコット・トゥロー(著)上田公子(訳)
出版社(レーベル):文春文庫
地方都市で起きた女性検事補殺し。犯人として逮捕されたのは被害者と不倫関係にあった敏腕検事——。果たして彼は有罪か無罪か?
白熱の法廷戦、豊穣な人間ドラマ、最後に待つ驚愕の真相。88年に刊行されるや日本の読書界に衝撃を与え、同年のミステリーベスト1に選ばれ80万部を売り上げた伝説のベストセラーの新装版です。法廷ものですが、小難しさを感じることなくグイグイと物語に惹き込まれていきます。心理描写の巧さに唸りながら、下巻でやっと登場する法廷シーンに備えたい!
F・W・クロフツ(著)霜島義明(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
チャールズは切羽詰まっていた。父から受け継いだ会社は不況のあおりで左前、恋しいユナは落ちぶれた男など相手にしてくれない。叔父アンドルーに援助を乞うも、駄目な甥の烙印を押されるばかり。チャールズは考えた。叔父の命、または自分と従業員全員の命、どちらを選ぶのか。身の安全を図りつつ遺産を受け取るべく、計画を練り殺害を実行に移すチャールズ。快哉を叫んだのも束の間、フレンチ警部という名の暗雲が漂い始める。
オールタイムベストの『樽』と並ぶクロフツの代表作の新訳版です。見どころは『樽』に登場したフレンチ警部の活躍。動機、犯罪方法が極めて現実的でドキドキ感が増します。同時に緊張感がずっと張り詰めている感覚もあり、その緊張は後半の法廷での攻防まで途切れることもなく……。精緻でリアルな描写にページを捲る手が止まりません。
マイ・シューヴァル(著)ペール・ヴァールー(著)柳沢由実子(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫
市バスで起きた大量殺人事件。被害者の中には殺人課の刑事が。若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? 唯一の生き証人は死亡、刑事マルティン・ベックらによる、被害者を巡る地道な聞き込み捜査が始まる——。
事件を追うのは使命感を持った普通の警察官たち。執念で事件解決に迫っていく様子にゾクゾクしながらも、信頼感を覚えます。犯罪を起こす理由って納得がいかないからモヤモヤ感も残るもの。なんでもかんでもスッキリ解決、とはいかないのが現実ということを再認識させられます。北欧ミステリーらしく、全体にじめっとした湿り気を感じるのもポイント。
F・W・クロフツ(著)霜島義明(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
荷下ろし中に破損した樽の中身は女性の絞殺死体。次々に判明する事実は謎に満ち、事件はめまぐるしい展開を見せつつ混迷の度を増していく。
ロンドン、パリ、ブリュッセル…と奇妙な樽の軌跡を警察が追っていく物語。聞き込み、アリバイの裏取り、捜査をとにかく地道に行なっていく様子が丁寧に描かれています。丁寧に描かれるからこそ、アリバイ、状況証拠崩しの流れに唸らされます。地味だけど爽快感が味わえる古典ミステリーです。
ジャン=クリストフ・グランジェ(著)平岡敦(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
山間の大学町周辺で次々に発見される惨殺死体。拷問され、両眼をえぐられ、あるいは両手を切断され……。別の町でその頃、謎の墓荒らしがあった。前後して小学校に入った賊は何を盗み出したのか?
まるで無関係に見える二つの事件が交錯していく。二つの事件がどう繋がっていくのかが気になりページを捲る手が止まりません。真相が明らかになると「あれが伏線だったのか……」と後から気づくことも多いですが、予想外のラストまで一気に読み進めたくなる一冊です。
ジョン・ディクスン・カー(著)三角和代(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
数十年ぶりに帰国し、准男爵家を継いだ男は偽物なのか。タイタニック号沈没時に入れ替わったと主張する男の登場が、底知れぬ不可能犯罪を招く。
新訳版は読みやすさを感じることが多いものですが、本作は特にそれを強く感じることができるので、難しさをどこに感じるのかはっきりせずにカー作品に苦手意識を持っていた方には新訳版での再挑戦をおすすめしたいです。書影からも伝わってくるオカルトチックな雰囲気は、ただの雰囲気にとどまっていないところが流石です。
アレン・エスケンス(著)務台夏子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
母子家庭で育ったジョーは実家を出て念願の大学進学を果たす。授業で身近な年長者の伝記を書くことになり、祖父母も父親もいないため介護施設を訪れたところ、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、病気のため仮釈放され、施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとジョーのインタビューに応じる。話を聴き、裁判記録を読むうちにジョーは事件に疑問を抱くようになり、真相を探り始めるが……。
バリー賞など三冠、エドガー賞最優秀新人賞最終候補となった著者のデビュー作。登場人物が抱える痛みに、困難に見舞われるたびに読み手の立場でもかかなりのダメージを受けるのですが、読後は爽やかで、希望の光が見えるような青春ミステリーのテイストがあります。
アルネ・ダール(著)田口俊樹(訳)
出版社(レーベル):小学館文庫
15歳の少女3人の連続失踪事件を追うベリエル。目撃の通報を受けて急行するも、3度とも現場はもぬけの殻で、彼は苛立ちを募らせていた。事を荒立てたくない上司の警告をよそに、殺人事件だと確信し捜査に執念を見せるベリエルはやがて、それぞれの現場写真に映る不審な女に目をつける。
緊迫の攻防、息を呑む逆転劇、衝撃の真相……。ページを捲る手が止まらない、スウェーデンNo.1ベストセラーの傑作犯罪サスペンス。後半の尋問シーンは夢に出てきそうなくらいのインパクトがあります。タイトルにもあるように、物語の鍵を握るのは時計。各章には月日と時刻がしっかりと刻まれています。時計、時へのこだわり、それが仕掛けへのこだわりへと繋がっていきます。
ポール・アルテ(著)平岡敦(訳)
出版社(レーベル):行舟文化
警察に「世界七不思議」に見立てた犯行予告を送りつけ、次々とそれを成し遂げる謎の連続殺人鬼。捜査に乗り出した美学者探偵・オーウェン・バーンズのもとに、「私は犯人を知っている」との報せが届く。ある令嬢を巡っての恋敵であるふたりの青年が、互いを犯人だと名指ししたのだ。
令嬢はパーティの席上で、彼らに言い放ったという。「わたしを愛しているなら人を殺してみせて。美しき連続殺人を」。
世界七不思議になぞらえた予告殺人にオーウェン・バーンズが挑みます。古き良き推理小説の雰囲気が漂う一冊。トリックも真相もちょっぴり強引さや危なっかしさを感じるものもあり、不可能犯罪のオンパレード。そんなところにちょっぴりファンタジーを感じなくもないですが、これも筆者の味! と見て楽しみたいところ。犯人の心情がもっと分かるといいのかなぁなどと思いつつも、そこも含めて想像しながら読み進めるのも面白いかも。刊行を記念に呪録された芦辺拓のトリビュート短編『解凍された密室』もおすすめ。
ジョセフ・ノックス(著)池田真紀子(訳)
出版社(レーベル):新潮文庫
休業中のホテルで深夜、死体が発見された。指紋は切除され、顔には満面の笑み、そして謎の文字の紙片が……。不可解極まりない殺人の真相を追って相棒サティと捜査に乗り出したエイダンの前に立ち塞がる欲望と狂気の罠、そして過去から甦る彼自身の忌わしき記憶。<笑う男(スマイリー)>の正体を突き止め、複雑に歪んだ事件の構図を解明できるのか。
堕落刑事エイダンシリーズ第2弾。1作目よりも皮肉が効いて、個性が増した感、パワーアップした印象を受けます。なんとか踏ん張ってギリギリにいるような気の毒すぎるエイダンを気づけば応援したくなる。謎解き、笑う男(スマイリー)の不気味さ、そしてエイダンのハードボイルド感と、楽しめるポイントが満載。
イアン・ペアーズ(著)池央耿(訳)東江一紀(訳)宮脇孝雄(訳)日暮雅通(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
1663年、クロムウェルが没してのち、王政復古によりチャールズ二世の統べるイングランド。医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで、大学教師の毒殺事件に遭遇する。誰が被害者の酒に砒素を混入させたのか。犯人は貧しい雑役婦で、怨恨が動機の単純な殺人事件と目されたが――。
ミステリー小説でおなじみの「信用できない語り手」による物語が展開していきます。本作では4人の語り手が登場します。立場が違えば見方が変わる。語り手だったはずの人が、語り手が変わることで語られる側となって登場するので、新たな発見もあり。ミステリー作品としてはもちろん、自分自身の物事の捉え方などについても考えさせられるような体験ができます。
エラリー・クイーン(著)中村有希(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
クリスマスの早朝、ウェストヴァージニアの小村の丁字路で、T字形の道標にはりつけられた男の首なし死体。この怪奇な事件は半年後、第二の首なし死体の出現をもって、全米を震撼させる一大事へと発展する。「T」の意匠に彩られた連続殺人に相対するは、青年作家エラリー・クイーン。推理の連打と壮絶な追跡劇の果てに、名探偵が神域の論理により看破する驚愕の真相とは?
<国名シリーズ>でも人気の高い一冊。すり替え物の原点とされる作品のひとつで、終盤のドタバタな捕物劇も含めてド派手な展開(演出)も見どころです。動機に納得するしないは別として、犯人を当てる、謎を解くこと自体はシンプルに楽しめます。驚きも存分に味わえるのも本作の魅力。古典ミステリーは読みにくいという考えを吹っ飛ばしてくれる爽快さもよき!
トーヴェ・アルステルダール(著)染田屋茂(訳)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫
14歳で凶悪事件を自白し保護施設で育ったウーロフ。23年後に釈放され帰郷した時、再び事件は起きた。ウーロフの父が死体で発見されたのだ。犯人と疑われ、世間の誹りを受けるウーロフ。捜査に当たる、ウーロフと同郷の警察官補エイラ。彼女の前に、次第に過去に起きた別の事件が浮かび上がってくる――。
スウェーデン推理小説アカデミー最優秀ミステリ賞、スカンジナヴィア推理作家協会「ガラスの鍵」賞W受賞作。小さな村ゆえの複雑な人間関係、厳しい自然であるがゆえの独特の美しさ。北欧ミステリーらしい雰囲気が漂う一冊です。ある意味納得の結末ではあれど、行き場のないような感情が湧き上がることは否めません。結末を知った上でタイトルを見直すとやっぱりゾクっとしてしまいます。
アガサ・クリスティー(著) 山本やよい(訳)
出版社(レーベル):早川書房
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行。国籍も身分も様々な乗客が乗り込む奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……。
これまで何度も映像化されたミステリの魅力が詰まったアガサ・クリスティーの名作中の名作。内容を知っていても何度も世界観に引き込まれ、再び犯人探しをさせられてしまいます。特に、美しいラストは何度でも味わいたい! 依頼に対して、「あなたの顔が気に入らない」と断る“らしさ”全開なポアロに浸れる一冊。
ジョン・ディクスン・カー(著) 加賀山卓朗(訳)
出版社(レーベル):早川書房
ロンドンの町に静かに雪が降り積もる夜、グリモー教授を訪れたのは、コートと帽子で身を包み、仮面をつけた長身の謎の男。やがて二人が入った書斎から、銃声が響く。居合わせたフェル博士たちがドアを破ると、絨毯の上には胸を撃たれて瀕死の教授が倒れていた。しかも密室状態の部屋から謎の男の姿は完全に消え失せていて――。
ジョン・ディクスン・カーが1935年に発表した古典中の古典。三部二十一章からなる本作には、フェル博士の「密室講義」が収録されています。終盤の十七章に登場する「密室講義」では、カーの密室への“熱量”を感じながら、トリックのバリエーションを学ぶことができます。
サラ・ウォーターズ(著) 中村有希(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
19世紀半ばのロンドン。下町の故買屋の家に暮らす17歳の孤児スウのもとに、顔見知りの詐欺師がやってくる。<紳士>とあだ名されているこの男は、以前スウの掏摸の腕前を借りにきたこともあった。彼はスウに、とある令嬢をたぶらかして結婚し、その巨額の財産をそっくりいただく計画を持ちかける。スウの役割は、令嬢の新しい侍女。ためらいながらも、話に乗ったスウだったが――。
イギリスではサリー・ホーキンス主演でドラマ化、韓国ではパク・チャヌク監督が『お嬢さん』(2016年)のタイトルで映画化された人気ミステリー。上下巻で三部構成の物語。特徴は語り手(スウ→モード→スウ)が変わること。スウの心の揺れ、令嬢モードの感情。繊細に描かれる二人の少女の心情にも注目!
ギリアン・フリン(著) 中谷友紀子(訳)
出版社(レーベル):小学館文庫
ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。しかし、結婚5周年の記念日にエイミーが突如、失踪。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった……。
デヴィッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック主演で映画化され、NYタイムズベストセラー第1位にもなった人気ミステリー。物語は、エイミー失踪後のニックの独白とエイミーが7年前からつけていたという日記が交互に描かれます。嘘なのか妄想なのか…と振り回されながら、真相に辿り着くまでのハラハラ・ドキドキ感が味わえます。
ピーター・アントニイ(著) 永井淳(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
七月のある朝少し前、長身巨漢の名探偵ヴェリティはけしからぬ光景に遭遇した。町のホテルの二階の一室の窓から男が現われ、隣室の窓へ忍びこんで行ったのだ。支配人にご注進に及んでいると、当の不審人物がおりてきて、人が殺されているとへたりこむ。さらに外では、同じ窓から地上に降りた人物が。問題の部屋に駆けつけてみると、ドアも窓もしっかり鍵がおりていて、中には射殺死体が――。
個性的な登場人物とユーモア漂う軽いタッチの世界観が魅力のミステリー。表紙同様、挿絵も入るので序盤に次々と出てくる容疑者のイメージもつかみやすい! ポイントは密室トリック。名探偵ヴェリティが指摘する“ある盲点”をどう捉えるかで、本作のトリックを楽しめるかどうかが分かれ目になるかも。
ウイリアム・アイリッシュ(著) 黒原敏行(訳)
出版社(レーベル):早川書房
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れ、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか。
一気読み必至の古典ミステリー。死刑執行までの日にちをカウントしながら、最後のどんでん返しを期待しながらワクワク読み進められます。海外作品は読みにくい、翻訳で印象が変わることもよくあること。しかし本作は古典であるにもかかわらず、古典特有の読みにくさとは無縁。さすが新訳版は新訳版。文章もどこかオシャレな感じで引き込まれます。
ケイト・モートン(著) 青木純子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
ロンドン警視庁の女性刑事セイディは、女児を置き去りにして母親が失踪したネグレクト事件について本部と意見が対立。問題を起こし、謹慎処分となった。ロンドンを離れ、コーンウォールの祖父の家で日々を過ごすうちに、打ち捨てられた屋敷を偶然発見。そこでは70年前に謎に満ちた赤ん坊消失事件が起きていた。セイディは事件について調べ始める。
2003年と70年前、1933年の過去パートを行き来しながら物語が展開。著者のモートンは本作のような過去と現代で視点が入れ替わる手法がお得意なので、行ったり来たりでも読みやすいのも魅力。湖畔荘の歴史の興味深さ、コーンウォールの美しい自然描写、湖畔荘の持ち主・エダヴェイン家の人々が抱えるものなど、注目ポイントがいっぱいです。
ピーター・スワンソン(著) 務台夏子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
ある日、ヒースロー空港のバーで、離陸までの時間をつぶしていたテッドは、見知らぬ美女リリーに声をかけられる。彼は酔った勢いで、妻ミランダの浮気話に触れ、冗談半分で「妻を殺したい」と漏らす。話を聞いたリリーは、ミランダは殺されて当然と断じ、殺人を正当化する独自の理論を展開、テッドの妻殺害への協力を申し出る。しかし、ふたりの殺人計画が具体化され、決行の日が近づいたとき、予想外の事件が起こり……。
4人のモノローグで、殺す者と殺される者の策略と攻防を描くサスペンスというのか、スリラー色濃いめのミステリー。登場人物の“濃さ”が独特。ミランダがいつ、どのように殺されるのか。ハラハラしながらテンポよく読み進められます。サイコパスものが好きな方にもおすすめ。ラストの余韻もGOOD!
キャロル・オコンネル(著) 務台夏子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
消えた修道女を捜してほしい、マロリーのもとに一件の訴えが持ち込まれる。時を同じくして、彼女の甥と思われる盲目の少年も姿を消していた。数日後、修道女は意外なところで発見される。市長邸の正面階段に積まれた四体の死体、その中に彼女もいたのだ。市長に恨みをもつ者の仕業なのか。その頃少年は、ある男のもとに囚われていた。盲目の少年に脱出の機会はあるのか。
ニューヨークの女刑事マロリー・シリーズの12作目。オコンネルの描くちょっと複雑なストーリーは読後に“読み切った!”という達成感が味わえます。シリーズ12作目ですが、マロリーはまだまだ20代半ば。ちょっとツンデレなキャラクターにも愛おしさを感じます。
ミシェル・ビュッシ(著) 平岡敦(訳)
出版社(レーベル):集英社文庫
モネの“睡蓮”で有名な村で発生した、奇妙な殺人事件。殺された眼科医は女好きで、絵画のコレクターでもあった。動機は愛憎絡み、あるいは絵画取引きに関する怨恨なのか。事件を担当するセレナック警部は、眼科医が言い寄っていた美貌の女教師に話を聞くうちに、彼女に心惹かれていく。一方、村では風変りな老女が徘徊し……。
『彼女のいない飛行機』で注目を集めた著者が贈る、叙述ミステリの傑作。三人の女性が語る三つの殺人事件の真実とは。仏ルブラン賞・フロベール賞受賞の話題作は、読者を謎の迷宮に誘います。フランスらしさを感じるラストもよし。ミスリードに振り回されるのが好きな方にもおすすめ。
コリン・デクスター(著) 大庭忠男(訳)
出版社(レーベル):早川書房
夕闇の迫るオックスフォード。なかなか来ないウッドストックへのバスにしびれを切らした二人の娘は、ヒッチハイクを始めた。その晩、娘の一人は死体となって発見される。もう一人の娘はいったいどこに消えたのか。モース主任警部が導き出す鮮やかな解答とは……。
イギリス・ミステリを代表する著者のひとり、英国推理作家協会(CWA)ゴールドダガー賞受賞作家デクスターの大人気ミステリー「モース警部」シリーズ。モースはホームズやポワロをおさえて、CWA会員による投票“英国で最も好きな探偵”第1位に選ばれるほどの人気者。人間臭いモース、クロスワードパズル作家でもあるデクスターが仕掛けるいくつもの“鍵”が本作の魅力。ドラマシリーズとあわせて楽しみたいシリーズです。
アンソニー・ホロヴィッツ(著) 山田蘭(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
自らの葬儀の手配をしたまさにその日、資産家の老婦人は絞殺された。彼女は自分が殺されると知っていたのか。作家のわたし、アンソニー・ホロヴィッツは、ドラマ『インジャスティス』の脚本執筆で知りあったホーソーンという元刑事から連絡を受ける。この奇妙な事件を捜査する自分を本にしないかというのだ。かくしてわたしは、きわめて有能だが偏屈な男と行動をともにすることに……。
著者自身が語り部となり、元刑事ホーソーンと著者がホームズ&ワトソンとなってストーリーが展開します。一歩ずつ核心に迫っていくスタイルはシンプルだけど、上質のミステリーをしっかり味わっている感があってたまりません。著者あとがきも作品と同じ世界観で描かれているのも面白い!
ダフネ・デュ・モーリア(著) 茅野美ど里(訳)
出版社(レーベル):新潮文庫
海難事故で妻を亡くした貴族のマキシムに出会い、後妻に迎えられたわたし。だが、彼の優雅な邸宅マンダレーには、美貌の先妻レベッカの存在感が色濃く遺されていた。彼女を慕う家政婦頭には敵意の視線を向けられ、わたしは不安と嫉妬に苛まれるようになり……。
「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」。文学史に残る神秘的な一文で始まる、ゴシックロマンの金字塔で、ヒッチコックの映画原作としても有名です。秀逸な心理描写に唸り、美しい文章にうっとりし、不穏な空気をまとった登場人物など、惹き込まれるポイントがいっぱい。もうひとつの『レベッカ』として評価の高い姉妹作の『レイチェル』もあわせて、ぜひ。
アーナルデュル・インドリダソン(著) 柳沢由実子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
雨交じりの風が吹く10月のレイキャヴィク。湿地にある建物の地階で、老人の死体が発見された。侵入の形跡はなく、被害者に招き入れられた何者かが突発的に殺害し、逃走したものと思われた。金品が盗まれた形跡はない。ずさんで不器用、典型的アイスランドの殺人か。現場に残された3つの単語からなるメッセージが事件の様相を変える。
ガラスの鍵賞2年連続受賞という前人未踏の快挙を成し遂げ、CWAゴールドダガーを受賞した、北欧ミステリの巨人インドリダソンが手がけるミステリーの秀作。2006年に映画化され、アイスランド・アカデミー賞5部門、第42回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリなどを受賞。小説同様、映画も世界で高評価を得ています。透明感のある美しい自然描写、作品全体漂う暗さ、陰鬱さがクセになります。
G・K・チェスタトン(著) 中村保男(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
小柄で不器用、団子のように丸く間の抜けた顔のブラウン神父。とても頭が切れるようには見えないブラウン神父ですが、見た目に反して鋭い洞察力を持っています。そんなブラウン神父が関わるミステリー事件を解決していく様子を描いた12編の物語を収録。本作は、奇想天外なトリック、痛烈な諷刺とユーモアで描く人気シリーズの第一集です。ブラウン神父シリーズを読んだことがないという方には、入門編としてもおすすめ。
どこから読んでも面白いですが、やはりブラウン神父初登場の「青い十字架」は最初に読んで欲しい1編。「折れた剣」には「木を探すなら森の中」という、今となっては当たり前のように使うフレーズも登場します。12編はどれも名作。短い連作の短編になっていて、点と点がつながる爽快感も味わえる、入門編にしてしっかりミステリーの醍醐味を味わえる贅沢な一冊です。
S・S・ヴァン・ダイン(著) 日暮雅通(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
四月のニューヨーク、マザー・グースの有名な一節を模したかのごとき不気味な殺人事件が勃発した。胸に矢を突き立てられた被害者の名はロビン。現場から立ち去った男の名はスパーリング――ドイツ語読みでシュペルリンク――スズメの意。そして“僧正”を名乗る者が、マザー・グース見立て殺人を示唆する手紙を送りつけてきた……。史上類を見ない陰惨で冷酷な連続殺人に、ファイロ・ヴァンスが心理学的手法で挑む!
江戸川乱歩が称讃し、後世に多大な影響を与えた至高の一冊。ファイロ・ヴァンスシリーズ第4弾。発表は1929年と100年近く前の作品ですが、完成度に唸ります。相手の知識を試すような皮肉屋タイプのファイロ・ヴァンスのキャラクターが気に入ればシリーズのファンになるはず。奇抜な行動やちょっと鼻につく雰囲気の探偵が好きという方におすすめです。
エラリイ・クイーン(著) 越前敏弥(訳)
出版社(レーベル):早川書房
故郷ライツヴィルに帰還した戦争の英雄デイヴィー・フォックス。激戦による心の傷で病んだ彼は、妻を手に掛ける寸前にまで至ってしまう。その心理には、過去に父ベイヤードが母を毒殺した事件が影響していると思われた。彼を救うには、父の無実を証明するほかない。相談を受けたエラリイは再調査を請け負うも、当時の状況はことごとくベイヤードを犯人だと指し示していた……。
名探偵エラリイが小都市ライツヴィルを舞台にした『災厄の町』に続き、再びライツヴィルで12年前の毒殺事件に挑みます。真相は意外性もあり、正直残酷ですが、エラリイが描く人間関係、言葉遊びのおかげで、味わい深いヒューマンドラマ的側面も楽しみながら堪能できます。
フィン・ベル(著) 安達眞弓(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
酒に溺れた末に事故で車いす生活となったフィンは、今まさにニュージーランドの南の果てで崖に宙吊りになっていた。隣家の不気味な三兄弟の長男に殺されかけたのだ。フィンは自分が引っ越してきたコテージに住んでいた少女が失踪した26年前の未解決事件を調べており、三兄弟の関与を疑っていたのだが……。
2017年ナイオ・マーシュ賞を受賞したニュージーランドの傑作ミステリー。いきなりクライマックスで始まる物語は過去編と現在編が交錯しながら展開していきます。作者と主人公が同じ名前であること、タイトルの意味などは解説で確かめることができます。ラストに明かされる犯人も意外性あり。事件はなかなか重めですが、結末には明るさも感じられます。
レオ・ブルース(著) 小林晋(訳)
出版社(レーベル):扶桑社
サーストン家で開かれたウイークエンド・パーティーの夜、突如として起こった密室殺人事件。扉には二重の施錠がなされ、窓から犯人が逃げ出す時間はなかった。早速、村の警官ビーフ巡査部長が捜査を開始するが、翌朝、ウィムジイ卿、ポアロ、ブラウン神父を彷彿とさせる名探偵たちが次々に登場して……。
名探偵好きにはたまらない一冊。なんと本作は、レオ・ブルースのデビュー作。パロディセンスの光る愉快なミステリー小説で、密室殺人をめぐるあの名探偵“っぽい”名探偵たちが推理合戦を繰り広げます。語り手をワトソンとして読む人も多い模様。読了後、いや、読んでいる途中から、元ネタの名探偵たちの作品を改めて読みたくなります。
ジョン・ヴァードン(著) 浜野アキオ(訳)
出版社(レーベル):文春文庫
奇妙な封書には記されていたのは、数字を一つ思い浮かべろ。658という数字を思い浮かべた男が同封されていた封筒を開くと、そこにあった数字は「658」。次々に届く脅迫状めいた不吉な手紙に恐怖を覚えた男は、数々の難事件を解決してきた元刑事ガーニーに相談を持ち込む。しかし、男は殺害されてしまう。殺人現場は一面の雪。犯人らしき人物の足跡は森のなかで途切れていて……。
元刑事が、まるで奇術のような謎に満ちた怪奇な不可能犯罪に挑みます。頭脳派探偵ガーニーも魅力的なのですが、妻のマデリンも注目キャラ。事件解決にしか興味がないガーニーとマデリンの夫婦関係は決していいとは言えない状況。二人の間にはすきま風が吹いているのです。ガーニーにとって妻の心を読むのは事件解決よりも難しいことのよう。しかし、マデリンは事件解決に存在感を発揮。推理に重要なヒントを与えてくれます。ガーニーに漂うハードボイルド感もよき。
出版社:早川書房
著者名:アガサ・クリスティー
翻訳:青木久恵
ミステリーの女王、アガサ・クリスティーの代表作であり最高傑作。舞台は絶海の孤島。閉ざされた場所に集められた10人が詩になぞらえて殺されてゆく…。クローズドサークルのミステリー小説のお手本的存在で、1939年に発表された本作は読み継がれ、何度も映像化されています。タイトルに本作のエッセンスを感じるものをはじめ、本作に影響を受けて書かれた作品を挙げたらキリがないほど。タイトルは知っているけれど…という方にこそ読んで欲しいミステリー小説の原点的作品です。
出版社:東京創元社
著者名:エラリー・クイーン
翻訳:中村有希
アガサ・クリスティー、アーサー・コナン・ドイルと並ぶ世界的ミステリー作家、エラリー・クイーンが生み出した「ドルリー・レーン」シリーズの一作目。ドラマ、映画などさまざまな形態で映像化されること、そして、本作のように数々の翻訳本が出版されていること、そしてシリーズ化されることも人気海外ミステリー小説のバロメーターです。本作で幕を開けるレーン四部作、『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『レーン最後の事件』は悲劇シリーズ、悲劇四部作などと呼ばれています。ニューヨークの路面電車で起きた殺人事件への捜査協力を依頼されたのは鋭敏な推理力を持つ元俳優のドルリー・レーン。犯人Xを探し出すべく、名探偵が推理と俳優技術の限りを尽くします!
出版社(レーベル):新潮文庫
著者名:コナン・ドイル
翻訳:延原謙
名探偵シャーロック・ホームズのデビュー作です。ヴァイオリンを巧みに奏する天才探偵ホームズと、ちょっと間が抜けて楽天的なワトソン博士という絶妙で最強のバディの物語がここから始まります。第一作目からホームズの超人的な推理力が発揮され、奇怪な事件の犯人とその背景に迫る姿に一気に惹き込まれます。作中に登場する通りの名前や駅名などは、物語の舞台となる1880年代にも実在していたものがあり、現代のロンドンにもホームズ関連の観光スポットは多数存在しています。“シャーロキアン”というホームズを愛してやまない熱狂的ファンを生み出したコナン・ドイルは、長編4編、短編56編のホームズシリーズを書き上げています。まずはシリーズ第一作目となる本作で、シャーロキアンになる要素があるかどうか、確認してみるのもいいかもしれません。
出版社(レーベル):新潮文庫
著者名:トマス・ハリス
翻訳:高見浩
獲物の皮を剥ぐことから“バッファロウ・ビル”と呼ばれる連続女性誘拐殺人犯が跳梁。要員不足に悩むFBIが白羽の矢を立てたのは訓練生のクラリス・スターリング。彼女は捜査の助言を得るべく、患者を次々と殺害し精神異常犯罪者用病院に拘禁されている医学博士ハンニバル・レクターと対面するが…。完全に外部から隔離された状態でクラリスからの情報だけで連続殺人犯を追い詰める“プロファイリング”能力、人食い殺人で収監された危険人物でありながら、理知的な紳士の振る舞いを見せるレクター博士にゾクゾクします。
出版社:東京創元社
著者名:フェルディナント・フォン・シーラッハ
翻訳:酒寄進一
刑事専門の弁護士だったシーラッハが現実の事件から着想し、異様な罪を犯した人間たちの真実を鮮やかに描き上げた11篇からなる連作短篇集。シーラッハが弁護士なので、本当にあった話のように感じ、より一層興味をそそります。淡々とした語り口で描かれるのも本作の大きな魅力のひとつ。また、他のミステリー小説と一線を画すのは、主役の弁護士が謎解きをするわけではないという点。誰が、なぜ、その犯罪を犯してしまったのか。謎解きよりもその理由、ドイツという国の刑法や背景などを考えさせられます。
出版社:新潮文庫
著者名:コナン・ドイル
翻訳:延原謙
イギリス南西部の旧家バスカヴィル一族の当主の遺体が発見されたーー。死因は心臓発作。遺体発見現場には巨大な猟犬の足跡が。実は、呪われた魔犬伝説により一族では不可解な最期を遂げた者が多いという。得体の知れない難事件にホームズが挑みます。ホームズの推理力も魅力だけど彼のバディ・ワトスン博士に惹かれるという方には特におすすめ。ホラーな雰囲気の漂うダートムアを舞台に、ワトスン博士がほぼメインでいい味を出しまくっています。ホームズが事件現場に行くと(行かなくても)それだけで「事件解決」という安心感があるのですが、今回はホームズはロンドンに残り、ワトスン博士が事件を追っていくというスタイルなので、謎は少しずつ解決。分かりやすい展開になっているのもおすすめポイントです。と同時にホームズの凄さを改めて確認できる一冊!
出版社:東京創元社
著者名:アンソニー・ホロヴィッツ
翻訳:山田蘭
アガサ・クリスティーへのオマージュ・ミステリーとして人気の高い一冊。1955年7月、しめやかにおこなわれたのはパイ屋敷の家政婦の葬儀。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた彼女は、掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは…。彼女の死は小さな村の人々へ徐々に波紋を広げていきます。燃やされた肖像画、消えた毒薬、謎の訪問者、そして第二の死。病を抱えた名探偵アティカス・ピュントの推理はーー。「名探偵ポワロ」シリーズのドラマ脚本を手掛けた著者のミステリー小説は、アガサファンにもおすすめ。
出版社:早川書房
著者名:ディーリア・オーエンズ
翻訳:友廣純
2019年、2020年の2年連続アメリカで最も売れた本と呼ばれる一冊。ノースカロライナ州の湿地で見つかった青年の死体。村の人々が疑いの目を向けたのは「湿地の少女」カイア。6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきたカイアは果たして犯人なのかーー。動物学者である著者の視点が描く動物と人間、そして息を飲むほどに美しい自然描写は注目ポイント。ミステリー×社会問題、考えさせられることの多い作品です。
出版社:講談社
著者名:ポーラ・ホーキンズ
翻訳:池田真紀子
ロンドンに向かう通勤電車とその車窓から見える家を舞台に起こる犯罪を、バツイチで精神不安定の無職、欲求不満で不倫をしている専業主婦、育児中の既婚という女性三人の独白により描くサイコミステリーで、なんと世界45ヵ国でベストセラーになっています。女性三人が本当のことを言っているのかどうか、信じられるのは誰か。信用できるのは誰なのかと翻弄されながら、並行する三人のストーリーに惹き込まれます。スローペースな展開なので、時系列が行ったり来たりしてもサクサクと読み進められます。
出版社(レーベル):文春文庫
著者名:ピエール・ルメートル
翻訳:橘明美
「おまえが死ぬのを見たい」男はそう言ってアレックスを監禁。檻に幽閉され、衰弱した彼女は、死を目前に脱出を図るが…。しかし、ここまでは序章にすぎず、孤独な女アレックスの壮絶なる秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進していきます。イギリス推理作家協会賞受賞のフランス発ミステリー小説です。本作はシリーズ作品の第二弾。シリーズ第二弾となる本作の冒頭で、一作目の盛大なネタバレがあるため、筆者のデビュー作で第一弾の『悲しみのイレーヌ』から読むのがおすすめ。ちなみにシリーズ最終章は『傷らだけのカミーユ』。
レーベル:新潮文庫
著者名:エドガー・アラン・ポー
翻訳:巽孝之
ポーがいなければ、ホームズもポワロも金田一も生まれなかったーー。主人公のオーギュスト・デュパンなる人物が、パリで起きや残虐な母娘殺人事件を、現場・遺体の状況、隣家の聞き込みなどから論理的に分析・検証し事件の真相を明らかにする世界初の推理小説『モルグ街の殺人』を含む後世に多大な影響を与えた天才作家によるミステリの原点、全6編。初の暗号解読小説『黄金虫』や数々のトリックを楽しめる『おまえが犯人だ!』などを生み出したポーは、小説家であり詩人であり、雑誌編集者。その生涯も謎に満ちていて、まさにミステリーを体現した作家といえます。
出版社:東京創元社
著者名:ウンベルト・エーコ
翻訳:河島英昭
中世イタリアの修道院で起きた連続殺人事件。事件の秘密は知の宝庫ともいうべき迷宮の図書館にあるらしいーー。記号論学者エーコがその博学で肉づけした長編歴史ミステリーは、全世界で異例の大ベストセラーとなった話題作です。著者のウンベルト・エーコは哲学者、記号学者としても活躍。散りばめられたエーコの思想や文学感を味わいつつ、作中の修道院たちとともに、怪事件に挑めます。哲学や思想などが絡むので、ちょっと難しそう…と感じたときは映画『薔薇の名前』から入ると分かりやすいかもしれません。
出版社:早川書房
著者名:スティーグ・ラーソン
翻訳:ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利
月刊誌『ミレニアム』の発行責任者ミカエルは、大物実業家の違法行為を暴く記事を発表。しかし、名誉毀損で有罪となり、『ミレニアム』から離れることに。そんな折り、大企業グループの前社長ヘンリックから彼の一族が住む孤島で兄の孫娘ハリエットが失踪した事件を調査してほしいという依頼が舞い込む。解決すれば大物実業家を破滅させる証拠を渡すと言われたミカエルだが、ハリエット失踪事件が起きたのはなんと40年前。依頼を受けたミカエルは困難な捜査を開始して…。ミカエルが助手として協力を依頼したドラゴンタトゥーを入れた女性調査員リスベットがとにかく魅力的。
出版社:早川書房
著者名:M・W・クレイヴン
翻訳:東野さやか
英国のストーンサークルで続発する焼殺事件。被害者の体にはなぜか停職中の警察官ワシントン・ポーの名が刻みつけられていた。身に覚えのないポーは処分を解かれ、捜査に加わることに。しかし事件は思いがけない展開へと発展して…。事件を追う刑事ワシントン・ポー&驚異的な分析能力を持つティリー・ブラッドショーのバディ感がGOOD!グロテスクな連続殺人事件なども含まれますが、ポー&ブラッドショーのコンビネーションに惹きつけられる。
出版社(レーベル):岩波文庫
著者名:ウィルキー・コリンズ
翻訳:中島賢ニ
暑熱去らぬ夏の夜道、「ロンドンに行きたい」と声をかけてきた白ずくめの女。絵画教師ハートライトは奇妙な予感に震えた…。1860年の発表と同時に一大ブームを巻き起こし社会現象にまでなったこの作品は、ウィルキー・コリンズの名を不朽のものにした傑作。物語に引き込む巧みな人間描写は見事。全体に漂う不穏な空気に“何が起きるのか…”とワクワクゾクゾク。上・中・下とボリュームのある三巻構成ですが、長さを感じさせない面白さアリ。
出版社:東京創元社
著者名:ドロシー・L・セイヤーズ
翻訳:浅羽莢子
実直な建築家が住むフラットの浴室にある朝出現した見知らぬ男の死体。浴室という場所柄、男は素っ裸で、身につけているものは金縁の鼻眼鏡のみ。一体これは誰の死体なのか? これが初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。クリスティーと並ぶミステリの女王が贈る会心の長編第一作。颯爽と登場したピーター卿。卓抜した謎の魅力とウイットに富む会話で読むものを惹きつけます。1923年発表の作品なので、トリックはもはや目新しいものはないけれど、キャラクターの魅力が今なお色褪せないのはさすがの一言!
出版社(レーベル):文春文庫
著者名:ジェフリー・ディーヴァー
翻訳:池田真紀子
ケネディ国際空港からタクシーに乗った出張帰りの男女が忽然と消えた。やがて生き埋めにされた男が発見されたが、地面に突き出た薬指の肉はすっかり削ぎ落とされ、女物の指輪が光っていた。一体、女はどこに…。NY市警が捜査協力を要請したのは科学捜査専門家リンカーン・ライム。四肢麻痺でベッドから一歩も動けない彼が、ハンデをも武器にして真相解明に挑みます。次々と殺人を繰り返す連続殺人鬼ボーン・コレクターが“わざと”残す次の犯行現場の手がかり。天才的な洞察力でその手がかりの解読に挑むライムの姿に惹き込まれます。
出版社:東京創元社
著者名:アイザック・アシモフ
翻訳:池央耿
弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人からなる<黒後家蜘蛛の会>の晩餐会。月に一回開かれるこの晩餐会では、毎回不思議な謎が出題され、会員たちが素人探偵ぶりを発揮。しかし、いつも真相を言い当てるのは物静かな給仕、ヘンリーで…。SFの巨匠アシモフが著した、安楽椅子探偵ものの歴史に燦然と輝く連作推理短編集。静かに控えるヘンリーが謎を解くという構図も面白いですが、謎解き中はもちろん、謎に入る前に六人の会員が交わす雑談にも面白みを感じます。
出版社:早川書房
著者名:アガサ・クリスティー
翻訳:堀内静子
名探偵エルキュール・ポアロのもとに届いた予告状のとおり、Aで始まる地名の町で、Aの頭文字の老婆が殺された。現場に不気味に残されていたのはABC鉄道案内。まもなく、第二、第三の挑戦状が届き、Bの地でBの頭文字の娘が、Cの地でCの頭文字の紳士が殺されて…。アルファベット順に犯行を重ねていく犯人の巧妙な策略にポアロはどう立ち向かうのか。クラシックな推理小説、論理パズルのような謎解きが好きな方におすすめです。
出版社:東京創元社
著者名:ホリー・ジャクソン
翻訳:服部京子
イギリスの小さな町に住むピップが、大学受験の勉強と並行して取り組んでいたのは“自由研究で得られる資格(EPQ)”。題材は5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと発表。犯人とされている少年と親交のあったピップは彼の無実を証明するため、自由研究を口実に関係者にインタビューしながら真相を探っていく…。調査と推理で次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末にハラハラドキドキ。真実を見極めようとする主人公の真っ直ぐな姿が胸を打ちます。イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリーは爽快感とほろ苦さが味わえます。
出版社:東京創元社
著者名:ガストン・ルルー
翻訳:平岡敦
フランスを代表する科学者スタンガルソン教授父娘が暮らすグランディエ城の離れの一室で起きた不可解な事件。内側から施錠された完全な密室<黄色い部屋>で発見されたのは血の海に倒れる令嬢マティルド。犯人はどこに消えたのか。18歳の新聞記者ルルタビーユとパリ警視庁警部ラルサンがこの怪事件に挑む。古典は読みづらいかも…と身構えてしまうこともあるけれど、やはり読み継がれる名作は押さえておきたいもの。江戸川乱歩も絶賛した密室ミステリーの古典と呼ばれる本作を手掛けたのは『オペラ座の怪人』の原作者、ガストン・ルルー!
出版社:早川書房
著者名:ニック・ハーカウェイ
翻訳:黒原敏行
大物ギャングだった亡父の跡を継がずに、時計じかけの機械職人として暮らすジョー。しかし謎の機械を修理したことをきっかけに、その平穏な生活は終わりを告げる。百戦錬磨の元スパイ老女、有能きわまりない美女、亡父の知人たち…。個性豊かな仲間とともに、ジョーは世界を覆わんとする陰謀に立ち向かうーー。SF味強めな700ページ超えの読み応えたっぷりのミステリー小説。冒険要素にアクションテイストも加わり、さらにスパイやらマッドサイエンティストに往年のギャングの一味まで出てくる盛り沢山な内容です。クライマックスの爽快感を得られるなら700ページも長く感じません。
出版社:早川書房
著者名:レイモンド・チャンドラー
翻訳:清水俊二
私立探偵フィリップ・マーロウは、ふとした友情から見も知らぬ酔漢テリーを二度も救ってやった。そして彼はテリーの殺害容疑を晴らす為に三たび立ち上がるーー。1954年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。主人公フィリップ・マーロウにハマれば愛してやまない一冊になること間違いなし。人生で一度くらいは言っていたい、カッコよすぎるセリフが散りばめられています。古めかしい表現や言い回し、男の友情物語を楽しみながら、随所に張り巡らされた伏線を見落とさぬようにじっくりと味わいながら、ギムレットを片手に読み進めたいミステリー小説です。
出版社:扶桑社
著者名:リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク
翻訳:浅倉久志 他
『刑事コロンボ』や『ジェシカおばさんの事件簿』などの推理ドラマで世界を魅了したリチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンクの名コンビが、ミステリー黄金時代に発表した短編小説を集成。郵便配達人が知った大事件の秘密を描くデビュー作『口笛吹いて働こう』、コロンボの原型となった殺人劇『愛しの死体』などを収録。ブラックジョーク多めでクスッと笑える短編集。謎解きよりも犯罪や人物の心理にフィーチャーしています。短編でもしっかりひねりを効かせたオチが待っているので短時間でミステリー小説の醍醐味が味わえます。
出版社:扶桑社
著者名:ロバート・アーサー
翻訳:小林晋
エドガー賞2度受賞のロバート・アーサーが自薦の短編集。雪に閉ざされた山荘を訪ねていった女性が消えた。屋敷へ入る足跡のみが残された状況での人間消失を描いた、密室ものの秀作として知られる『ガラスの橋』や、老姉妹が、これまで読んできた千冊以上の推理小説の知識を武器に、犯罪者たちに戦いを挑む痛快な冒険譚『極悪と老嬢』などを収録。あとがきに作者による解説がついているのもうれしいポイント。1930年代から60年代の作品には古き良き感が漂い、どこか小洒落た雰囲気も感じられます。さまざまなトリックの原型も楽しめます。
新刊が続々と発売されている海外ミステリー小説。読み継がれる古典、名作だけでなく、新しいヒット作も生まれ続けているジャンルです。謎解きはもちろん、さまざまな国の文化や歴史などを知ることができるのも海外ミステリー小説の魅力。国、時代ならではの謎解きを楽しんで、海外ミステリー小説の沼にハマっちゃいましょう。
ドラマもチェック!
ミステリーチャンネルでは、本記事にも登場した「名探偵ポワロ」や「主任警部モース」「ブラウン神父」「シャーロック・ホームズの冒険」「刑事コロンボ」、を初め、小説が原作のミステリードラマほか、ヨーロッパを中心とした海外ミステリードラマを数多く放送しています。
ミステリーチャンネルでの放送番組に関するお問い合わせは、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまで。
ミステリーチャンネルについて
世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」「SHERLOCK シャーロック」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!