2024/03/30

【最新の話題作をチェック!】2024年1-3月ミステリー小説新刊情報

お気に入りの本を何度も繰り返し読むのも楽しいですが、新作や話題の本はいち早くチェックしたいもの。ミステリー小説なら、誰よりも早く謎解きをして事件解決!という爽快感を味わうこともできます。シリーズ最新作や人気作家の最新作、そして注目のミステリー作家の作品まで、2024年も新作ミステリー小説が続々と登場。チェックしておきたいミステリー小説の新刊情報をお届けします!

おすすめはこちら!2024年1-3月発売新刊ミステリー小説19選

『夜明けの花園』

発売日:2024年1月31日
恩田陸(著)
出版社(レーベル):講談社

全寮制の学園では、特殊な事情を抱える生徒が、しばしば行方を晦ます。ヨハンの隠れた素顔、校長の悲しき回想、幼き日の理瀬、黎二と麗子の秘密、月夜に想いを馳せる聖、そして水野理瀬の現在。理瀬と理瀬を取り巻く人物たちによる、幻想的な世界へ誘う六編が収録された、累計100万部突破の「理瀬シリーズ」初の短編集です。

ゴシック・ミステリの金字塔シリーズ初のスピンオフ短編集。シリーズ独特の幻想的な世界観へと誘う一冊。理瀬と深い縁があり、シリーズ途中からイメージが大きく変化したヨハンが主人公の物語もあり。情景が浮かぶ文章はもちろん、装丁&挿絵の美しさも堪能できます。

『暗殺』

発売日:2024年1月31日
赤川次郎(著)
出版社(レーベル):新潮社

大学受験の朝、駅で射殺事件を目撃しながら通報を怠った麻紀。やがて親友の恋人として再び姿を現した犯人は職業的殺人者だったーー。一方、事件を追う刑事のことみは現役大臣の秘書と交際するうち、大臣の特殊な性癖と周囲の不審な事件を知り、密かに調べを進める。

「小説新潮」連載を単行本化した殺人の構図と人間の暗部が読者を打ちのめす傑作長篇です。人気作家のミステリーが読みたい、面白いミステリー小説を探している、ライトにミステリーを楽しみたい、そんな方におすすめ。展開が早いのでテンポよくサクサクと読み進められます。

『最上階の殺人』

発売日:2024年2月29日
アントニイ・バークリー(著) 藤村裕美(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

4階建てフラットの最上階で女性の絞殺死体が発見された。警察は物盗りと断定。一方、捜査に同行した小説家ロジャーは、フラットの住人による巧妙な計画殺人と推理し、被害者の姪を秘書に雇って調査に乗り出し……。

名探偵vs警察捜査、火花散る推理合戦にワクワク。さらにバークリー作品は“クスクス”できるのも魅力のひとつ。本作でも迷探偵として親しまれているロジャー・シェリンガム探偵の名推理が炸裂しています。謎解きに加えて、人の描写や会話が面白いのもおすすめポイントです!

『推しの殺人』

発売日:2024年2月6日
遠藤かたる(著)
出版社(レーベル):宝島文庫

何を読もうか迷った時は、受賞作品を選ぶのもおすすめ。2024年第22回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリを受賞した本作は、大阪で活動する3人組女性地下アイドル「ベイビー★スターライト」の物語。尊大な事務所社長、グループ内での人気格差、恋人から暴力を受けているセンター……。様々な問題を抱えて危機的な状況にあった彼女たちにさらなる問題が起きる。メンバーのひとりが事務所で人を殺してしまったのです。彼女の罪を隠蔽するため、三人は死体を山中に埋めることを決意して――。

「バレちゃうのか」「もうダメなのか」とずっとハラハラながらも、テンポがいいのでどんどん読み進めることができ、物語の世界に没入できます。

『中野のお父さんと五つの謎』

発売日:2024年2月9日
北村薫(著)
出版社(レーベル):文藝春秋

「アイ・ラブ・ユー」を「月が綺麗ですね」と漱石が訳したとされる伝説はいかに生まれたのか?夏目漱石、芥川龍之介、松本清張……文豪の謎を国語教師のお父さんが見事に解決!

文藝編集者として出版社に勤める娘が仕事の現場で行き当たった「謎」を、高校の国語教師のお父さんが解決する〈中野のお父さん〉シリーズ第4弾。お父さんの博識ぶりに唸るシリーズですが、シリーズを追うごとにうんちくが増えている感がありましたが、今回はおなじみの人気作家ばかりが並び、親近感のある文学的な謎解きが堪能できる一冊。

『老人ホーム 一夜の出来事』

発売日:2024年2月29日
B・S・ジョンソン(著) 青木純子(訳)
出版社(レーベル):東京創元社

年齢も視力も聴力も痴呆度もすべてが異なる8人の老人と寮母1人が見る、各人にひとつの真実。同じ一夜の同じ一場面が、9人それぞれの章の同じページ、同じ行に浮かび上がる。9つの章が同時進行する変わったスタイルで描かれる傑作実験小説です。

視点となる人物の視力、聴力、痴呆の問題により、独特の混乱、煙に巻かれた感があり、ミステリー濃度を強めます。「老いるとは」についても考えさせられる一冊。9人のうちホーム入居者は8人で寮母が1人。なぜか老いていないはずの寮母が一番不健全に見え、妙にリアルです。

『有罪、とAIは告げた』

発売日:2024年2月14日
中山七里(著)
出版社(レーベル):小学館

東京地裁に勤める高遠寺円は、中国製のAI裁判官のテスト運用を担当することになった。AIの驚くべき精度に歓迎ムードが高まる中、18歳少年による父親殺しが起きる。難しい裁判のためデータを入力し、AI裁判官にシミュレートさせてみると「死刑」という判決が下される。果たして、人工知能に罪は裁けるのかーー。

人間が作り、人間が使うAI。やはり人間は自分の頭で考え続けなければいけないと思わずにはいられません。AIはすでに未来のものではなく、どう使うかという現実に直面している今、読んで考えるべき一冊です。

『赤の女王の殺人』

発売日:2024年3月14日
麻根重次(著)
出版社(レーベル):講談社

松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさは、相談者の妻が密室から転落死する現場を目撃する。被害者が死の間際につぶやいた「ナツミ」を追って、刑事である夫の具樹は捜査を始めるが、なかなか手がかりを摑めずーー。

第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作。装丁に一目惚れ、さらに帯には「ばらのまち福山ミステリー文学賞」選者で広島県福山市出身のミステリー作家・島田荘司のコメントが。これは読むべきミステリー小説の新刊だと手に取りたくなります。

『卒業のための犯罪プラン』

発売日:2024年3月6日
浅瀬明(著)
出版社(レーベル):宝島文庫

ビジネスセンスを備えた人材の育成を目指す木津庭商科大学では、学食等での支払いのみならず、家賃の支払いや単位の売買にも使用できる「ポイント」を獲得するため、学生たちがしのぎを削っていた。家庭の都合により、残り半年で卒業しなければならなくなった2年生の降町歩は、不正にポイントを稼ぐ者たちを摘発する「監査ゼミ」に所属する。家庭教師サークルを装いガールズバーを運営していると噂が出ているサークルに調査に行くが、逆に取り込まれて……。

2024年第22回『このミステリーがすごい!』大賞文庫グランプリ受賞作。前倒しで大学を卒業するために奮闘する学生の話ですが、この先の社会で通用するような考え方もあり。実践的なことが学べるライトなミステリーです。騙し騙されのコンゲーム、エンタメ要素もあり、若者の成長物語としても楽しめます。

『罪の年輪 ラストライン6』

発売日:2024年3月6日
堂場瞬一(著)
出版社(レーベル):文春文庫

87歳の元小学校教師が殺された。自首してきた男性も87歳で、ベテラン刑事・岩倉剛にとって過去最高齢の容疑者だった。60年前からの知り合いだというが、なぜか動機だけは頑なに語ろうとせず……。

「ガンさん」こと55歳のベテラン刑事・岩倉剛が活躍する警察小説「ラストライン」シリーズ第6弾。ガンさんが自分史上最高齢の容疑者と対峙します。事件の真相、深い闇。「罪の年輪」というタイトルがずしりと重くのしかかります。

『心霊探偵八雲 INITIAL FILE 幽霊の定理』

発売日:2024年3月15日
神永学(著)
出版社(レーベル):講談社文庫

幽霊マンション、ポルターガイスト……。複雑怪奇な連続事件と、電脳空間に暗躍する謎の人物〈フェルマー〉を、赤い瞳の大学生・斉藤八雲と天才数学者・御子柴岳人、心霊透視と数学解析の異能バディが迎え撃つ!

累計750万部突破のシリーズ最新文庫で八雲と御子柴のコラボ第2弾。二人の出会いの物語が描かれます。八雲シリーズおなじみの映画同好会がどうしてできあがったのかも明かされ、シリーズ愛読者がムフフとなれる一冊です。見どころは八雲と御子柴のやりとり。なんだか笑っちゃうやりとりにクセは強めでもほっこりします。

『ヒポクラテスの悲嘆』

発売日:2024年3月6日
中山七里(著)
出版社(レーベル):祥伝社

浦和医大法医学教室に、餓死した女性のミイラ化死体が運び込まれた。女性は20年以上引きこもっていたという。解剖を行った光崎教授は、空っぽであるはずの胃から意外なものを見つけて……。ミイラ化した死体は何を語るのか。

「ヒポクラテスシリーズ」第5弾では、引きこもり、老老介護、8050問題など身近な社会問題をテーマに、分かりやすい伏線で解決へと誘ってくれます。事件は解決するものの結末はちょっぴり苦め。ページを開いて目に飛び込んでくる各章のタイトルについた数字4桁に謎解きの始まりかとワクワクするも、読後に改めて目にすると、印象がガラリと変わります。

『博士はオカルトを信じない』

発売日:2024年2月21日
東川篤哉(著)
出版社(レーベル):ポプラ社

幽霊がやったとしか考えられない!両親が営む探偵事務所の手伝いで不思議な出来事を目にした中2男子の晴人は、自称・天才発明家のアラサー博士にオカルト事件を相談するが……。事件の犯人は幽霊?それとも人間?

『謎解きはディナーのあとで』の東川篤哉が描く、ユーモアたっぷりの連作短編ミステリー小説。街のオカルト事件に挑む異色の凸凹コンビの活躍が楽しめます。登場人物の覚えやすいネーミングに「この世界観好き!」とハマるかも。オカルトが絡むこともあり、ちょっと突飛なトリックが出てくるのも、このテイストならアリ。気軽にミステリーを楽しみたい方におすすめです。

『変な家 文庫版』

発売日:2024年1月31日
雨穴(著)
出版社(レーベル):飛鳥新社

謎の空間、二重の扉、窓のない子供部屋、この家、何かがおかしい。知人が購入を検討している都内の中古一軒家には「謎の空間」が存在していた。不可解な間取りの真相とは……。
間宮祥太朗、佐藤二朗がW主演を務めた2024年公開のヒット映画『変な家』の原作は、謎の覆面作家・雨穴のデビュー作。文庫版にはキーマンとなる設計士・栗原による「文庫版あとがき」も収録されています。インターネットを中心に活動する作家で、ウェブライター、YouTuberとしても活動している雨穴がYouTubeに投稿したバズ動画が小説となり、すべての謎が解き明かされます。なのに怖さと不気味の余韻が残る1冊です。

『マッチング』

発売日:2024年1月23日
内田英治(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川ホラー文庫

恋愛に奥手な輪花は、親友の勧めでマッチングアプリを始め、吐夢と出会うが、彼はプロフィールとは別人のような不気味な男だった。同じ頃、“アプリ婚”をした夫婦を狙う猟奇的な連続殺人事件が……。
土屋太鳳主演、佐久間大介、金子ノブアキ共演、日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞の『ミッドナイトスワン』(2020年)で監督を務めた内田英治がメガホンを取り、2024年に公開された映画の原作。マッチングアプリといういまどきのツールをテーマに出会いに隠された恐怖を描く新感覚サスペンス・スリラー。誰をそして何を信じればいいのか。ゾワゾワ感がたっぷりと味わえます。

『シャーロック・ホームズの凱旋』

発売日:2024年1月22日
森見登美彦(著)
出版社(レーベル):中央公論新社

舞台はヴィクトリア朝京都。洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが、まさかの大スランプ!? ホームズとワトソンはこの摩訶不思議な大迷宮(スランプ)を抜け出せるかーー。
森見登美彦ならではの面白設定が展開。シャーロック・ホームズの物語となれば、ホームズを読んでいないとダメ?と思っている方はご安心を。ファンタジー要素ありのドタバタコメディとして楽しめる一冊になっています。そしてホームズ好きな方たちは、「あのホームズが…」という視点で戸惑いながらも楽しめます。舞台が変わっても、相棒ワトソンとのバディ関係は健在です。

『月下のサクラ 』

発売日:2024年2月9日
柚月裕子(著)
出版社(レーベル):徳間書店

事件現場で収集した情報を解析・プロファイリングする機動分析係に配属された森口泉。だが配属当日、会計課から約1億円が盗まれた。混乱する中、さらに殺人事件が発生。組織の闇に泉の正義が揺れる!
シリーズ第1作の『朽ちないサクラ』は2024年に杉咲花主演、萩原利久共演で映画化。シリーズ第2作の本作では刑事となった森口泉が警察組織に巣くう不条理の数々に挑みます。信念の強すぎる泉とちょっとクセありのチームメンバーが頼もしい。ドキドキしながら一気に読み進められる一冊。晴れて警察官なるどころか、自身の能力に目覚めた泉が、今後どのような活躍を見せるのか、楽しみにしたいシリーズです。

『ミス・マープルの名推理 火曜クラブ』

発売日:2024年1月24日
アガサ・クリスティ(著)
出版社(レーベル):早川書房

毎週火曜日、元警察官や弁護士、作家など謎解きに自信がある人が集まって推理合戦をする〈火曜クラブ〉。難事件に誰もが頭を抱える中、ミス・マープルは豊かな人生経験と鋭い知性で、毎回さらりと謎を解き……。メンバーの中でも一番地味なふつうのおばあさんが誰にも負けない推理力を発揮する13作品を収録した短編集!
ミステリーの女王の作品を読んでみたいけれど、なかなか手が出せない。本を読むのは苦手だけど名作には触れておきたい。そんな方におすすめしたいこの本は、小学校高学年から中学生向けなので、読みやすく、分かりやすい。安心して手を出せる一冊です。読みやすさ、分かりやすさはありますが、ミス・マープルの推理は本格派のまま。この一冊を入り口にして、マープル・シリーズに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

『ボストン図書館の推理作家』

発売日:2024年3月6日
サラーリ・ジェンティル(著) 不二淑子(訳)
出版社(レーベル):早川書房

オーストラリア在住の推理作家ハンナは、ボストン在住の作家志望者レオにメールで助言を仰ぎ、ボストン公共図書館を舞台にした新作に取り組んでいた。レオのメールに刺激を受けるが、その内容は次第に不穏さを増していき……。
本書のメインはハンナが書くスリラー小説。「作中作」が登場する作品で舞台は図書館。本にまみれる作品です。そしてハンナとレオのメールのやりとりが興味をそそります。レオは「作中作」にも登場するので、時々、疑ったり、混乱しながら読み進めるのもミステリーならではの楽しみ方。2023年エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)メアリ・ヒギンズ・クラーク賞ノミネート作、手にしてみてはいかがでしょうか。

最後に

シリーズものや追いかけている作家の最新作は、迷わず手にするものですが、「新しいミステリー小説を読みたい」となんとなく思った時には、気軽に読めるものからスタートするのもあり。新刊でお気に入りの作家やシリーズを見つけたら、そこから遡って読破するのもおすすめ。新たな作家、新たな切り口、新たなシリーズ。なにか新しいものを求めているという方は、まずは新刊からチェックしてみてはいかがでしょうか。

ミステリードラマもチェック!

ミステリーチャンネルでは、アガサ・クリスティーが生み出した名探偵「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」や、「シャーロック・ホームズの冒険」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのミステリードラマを放送しています。
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タナカシノブ
紹介文:2015年9月よりフリーライターとして活動中。映画、ライブ、歌舞伎、落語、美術館にふらりと行くのが好き