江戸のシャーロック・ホームズここにあり!
時は明治維新直後。
すでに岡っ引きを引退した半七老人が、未解決のまま終わった事件を、新聞記者であり、「半七捕物帳」の作者・岡本綺堂とともに事件を解決していく!
岡本綺堂原作の「半七捕物帳」は、1917年に発表され、その数は68作におよぶ(69作という捉え方もあり)。推理小説と時代小説を融合させた捕物帳というジャンルの原点であり、最高傑作の呼び声が高く、「人形佐七捕物帳」の原作者 横溝正史も、「茂七の事件簿」の原作者 宮部みゆきも影響された名作中の名作である。
それ以前は、ほんの端役にしかすぎなかった岡っ引きを、話の主人公に据えたこのシリーズは、後年昭和に入ってから爆発的な人気を呼び、以来続々と捕物帳が発表されるきっかけともなった。
本作は、1987年に放送された2時間ドラマで、引退した岡っ引き・半七老人が、異人の首にまつわる事件の真犯人を突き止めるまでを、維新の歴史や当時の社会情勢を背景に描く。
原作では、かつて江戸の岡っ引きとして、数々の難事件・珍事件にかかわった半七老人を、明治時代の新聞記者の「わたし」が訪問し、茶飲み話のうちに手柄話や失敗談を聞き出すという構成になっているのだが、本作は、数ある半七捕物帳の映像化作品の中では珍しく、この原作のスタイルをとっており、森繁久彌が晩年の半七、西郷輝彦が若き日の半七、そして、岡本綺堂を平田満が演じる点に注目である。
制作:1987年 日本/尺約120分 原作:岡本綺堂
出演:森繁久彌(半七老人)、平田満(岡本綺堂)、津川雅彦(野田光照)、西郷輝彦(半七・青年期)ほか