だんだん一日の中で夜が占める割合が大きくなってきましたね。今回の「特集 もっと楽しむミステリー」では、落ち着く時間をたっぷり確保できる秋の季節に楽しみたいミステリー作品を6つご紹介します。ミステリーチャンネルからは、この秋に登場する新作で、冷たい海風そよぐカナダの港町を舞台にした刑事ドラマと、吹雪によって隔絶されたホテルで巻き起こる殺人事件を描いた北欧ミステリーをご紹介します!また、数多くの人気ミステリー作品を出版している双葉社、ハーパーコリンズ・ジャパンより、各担当者おすすめのミステリー小説の情報も届いております!秋にじっくり楽しんでいただきたい作品ばかりが集まりましたので、ぜひチェックしてみてください!
©︎ 2024 Alberg Productions Inc.
エドガー・アラン・ポー賞を受賞したカナダ人作家L.R.ライトのベストセラー「カール・アルバーグ」シリーズを映像化した最新ドラマです。主演を務めるのは、「ER救急救命室」(1994-2009)や「クロッシング・ライン~ヨーロッパ特別捜査チーム」(2013-2015)などに出演したロッシフ・サザーランド。ミステリーチャンネルでも放送された「ガマシュ警部 スリー・パインズ村の事件簿」(2022)にも出演していましたね。
舞台となるのは、海辺の小さな町ギブソンズ。この町の新しい警察署長としてやってきたカールは、持ち前の粘り強い捜査と鋭い観察眼、そして部下たちを鼓舞して支えるリーダーシップを武器に、小さいコミュニティで起こる様々な難事件を解決に導いていきます。老若男女関係なく、個性豊かな警察署のメンバーがそれぞれの仕事に真摯に向き合う姿が、刑事ドラマとしての本作の魅力をさらに押し上げています。
理路整然と謎を紐解くミステリードラマとしても十分楽しめる本作ですが、さらに一味加えているのが、主人公カールと地元の司書カッサンドラによる大人の恋愛模様です。離婚歴があり、別れた妻のもとに二人の娘がいるカールは、新天地での出会いを求めてマッチングアプリに登録します。そこで見事引き合わされたのが、カッサンドラでした。
酸いも甘いも経験しつくした大人同士の恋愛…簡単に乗りこなせるかと思いきや、抱える荷物の多さゆえにうまくいかないこともしばしば。家族もキャリアも自分の人生もある、大人ならではの恋愛にもだもだする主人公たちを見守るのもまた一興のドラマとなっております。
© 2025 Amazon Content Services LLC & Nordic Drama Queens AB All Rights Reserved
2025年1月にスウェーデン・ノルウェー・イタリア・フランスでネット配信されたばかりの新作ミステリーが早くも日本上陸!ノルウェーとスウェーデンの国境に立つホテルを舞台に繰り広げられるクローズド・サークル・ミステリーです。
映画「幸せなひとりぼっち」(2015)や、Netflix配信のロマンチックコメディ「ラブ&アナーキー」(2020-2022)をはじめ、数多くのスウェーデンの作品に出演するイーダ・エングヴォルが主演を務めています。
捜査中の独断が原因で相棒を失い、自らも車椅子が手放せない身体となった刑事のハンネ・ヴィルヘルムセン。遺族のためにノルウェーに遺骨を運ぶことを命じられた彼女でしたが、乗っていた列車が猛吹雪によって脱線してしまいます。乗り合わせた乗客によって助け出された彼女は、ほかの生存者たちと共に近くのホテルに身を寄せることに。雪のせいでいつになるとも知れない救助を待つ中、ハンネは別の乗客からとある相談を持ち掛けられます。列車事故で命を落としたと思われた車掌の死に不審な点があるという彼らの指摘に、はじめのうちは無関心を貫くハンネでしたが、次第に事態はより深刻なものに…。
舞台がノルウェーとスウェーデンの国境ということもあり、登場人物たちそれぞれが異なる言語を話しているのに問題なく会話が続いていきます(ノルウェー語の質問にスウェーデン語で返事をする、など)。北欧の作品ならではの描写ではないでしょうか。
豪雪によって外界と隔絶されたホテルという閉鎖空間も相まって、作品に登場する人物たちのさりげない会話や立ち居振る舞いは全く自然なのに、なぜか終始不穏な雰囲気が漂います。わずかな違和感だけが、なにか恐ろしいものが背後で動いていることを知らせてくる…という北欧ミステリーの雰囲気づくりの卓越さに圧倒させられる作品です。
著者:新馬場 新
出版社(文庫名):双葉社
人生の袋小路で、気づかぬうちに犯罪の片棒を担ぐことになってしまった「私」は、共に逃亡する手塚という男と話すうち、かつて「解けないはずの謎」を解いてしまったことを思い出す。それはノストラダムスの大予言に世間が騒然としていた1998年の思い出。まだ「ぼく」だった「私」はかけがえのない友と出会い、決して贖うことの出来ないひとつの過ちを犯すことになった。「私」は過去と向き合うため、記憶が眠るその町に向かうことになり……。
<推薦文>
上質なジュブナイルでありながら、暗号を駆使した気合いの入ったミステリーでもある1冊です。主人公が幼い頃に犯した過ちや、闇バイトに関わってしまい人生の袋小路にある現在を通じて、物語の中で人間が思考をやめず考え続けることの尊さを問いかけます。作中には読者に謎解きを委ねる部分もあり、言うならば「能動的な読書体験」も与えてくれる満足感たっぷりの本作、ぜひお楽しみ下さい。
(文:文芸出版部 植木 陽平)
著者:青柳碧人
出版社(文庫名):双葉社
旅する赤ずきんが童話の世界で遭遇した事件の謎を解く人気シリーズ第4弾です。今作でミステリのもとになるのは「うさぎとかめ」「オオカミ少年」といったイソップ童話。果たして赤ずきんの推理はいかに。シリーズ史上、最高の伏線回収も注目です。
<推薦文>
とにもかくにも、みなさんが読んできた童話がミステリになったことが革新的です。シリーズ第1作では「シンデレラ」「マッチ売りの少女」などが、第2作では「ブレーメンの音楽隊」「3匹の子豚」などが、ピノキオが相棒になり、第3作でしはアラビアンナイトがミステリになりました。赤ずきんの強気な会話も楽しいです。
(文:文芸出版部 秋元英之)
著者:ベンジャミン・スティーヴンソン 翻訳:富永和子
出版社(文庫名):ハーパーBOOKS
ぼくはアーネスト・カニンガム。まだ駆け出しのミステリー作家だが、きたる推理作家協会主催の50周年イベントになぜか招待された。豪華列車でいく3泊4日の旅には錚々たる作家たちが招かれていて、ぼくは肩身の狭い思いだったが、そのうちの一人が旅の最中、殺害されてしまう。作家陣はもちろん、一般客も誰もが怪しく、何やら秘密を抱えていそうななか、やがて次なる殺人が起こり……。
<推薦文>
「謎解きは公平に」がモットーの主人公アーネストが、読者にすべての手がかりを提示しながら事件を解決していく一風変わった謎解きミステリー。何気ない会話や車内の様子をはじめ至るところに伏線が張り巡らされていて、その伏線が一気に回収される終盤の展開は本作でも圧巻です。秋の夜長、どっぷり王道フーダニットを味わいたい方にぜひ読んでいただきたいです。
(文:一般書籍編集部 松下)
著者:マシュー・リチャードソン 翻訳:能田 優
出版社(文庫名):ハーパーBOOKS
ある日、冴えない諜報史の准教授マックスのもとに1枚の名刺が届く。スカーレット・キング――MI6の伝説のエージェントが、半世紀にわたる諜報活動を綴った手記を出版したいと言うのだ。イギリス政府が隠蔽してきた作戦が表に出れば、世界が注目する。マックスは浮き足立つが、直後にスカーレットが殺害され、MI5に追われる身に。窮地を脱するため手記の原本を捜すうち、歴史の裏に隠された真実が浮かび――。
<推薦文>
スカーレットがなぜ今になって手記を出版したいのか? なぜマックスに――? 現在のマックスの物語と、過去のスカーレットの物語が交互に進んでいくうちに、読者は語られることのなかった歴史の裏側と、スパイの生き様を目撃することになります。オックスフォード大学の大学院で諜報史を研究してきた著者による、自身の知識をつめこんだ至高のスパイ小説。痺れます。
(文:一般書籍編集部 新田)
今回は、過ごしやすい秋の夜に楽しみたいミステリー作品を6つご紹介しました。個性的で愛さずにはいられないキャラクター、続きを見る手が止まらなくなるストーリー展開、そして何よりも謎解きの楽しさを存分に堪能できる作品ばかりです。腰を落ち着けて趣味を楽しむ時間をたっぷりと確保できるこの季節。ぜひ、お気に入りの作品を見つけて素敵な秋をお過ごしください。
(文:うりまる)
【ミステリーチャンネル放送情報】
● 刑事カール・アルバーグ~小さな町の殺人事件(全8話)
字幕版:10/26(日)夕方4:00 一挙放送
番組公式サイト
●捜査官ヴィルヘルムセン~吹雪に閉ざされたホテル(全4話)【年間特集 世界のベストセラー推理小説 第10弾】
字幕版:11/8(土)夕方4:00 一挙放送
番組公式サイト
※ミステリーチャンネルでの放送情報は、番組公式サイト、または、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまでお問い合わせください。
特集「もっと楽しむミステリー!」では、ミステリーファンの皆様にお楽しみいただける読み物コンテンツやプレゼント企画などをお届けしています。
次回の記事もお楽しみに!
特設サイト:特集「もっと楽しむミステリー!」はこちら
ミステリーチャンネルについて
世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!
ミステリーチャンネル カスタマーセンター
0570-002-316
(一部IP電話等 03-4334-7627)
受付時間 10:00 - 20:00(年中無休)