さまざまな角度からミステリー作品の魅力を深く掘り下げていく企画「特集もっと楽しむミステリー」。今回はイタリアの作家マウリツィオ・デ・ジョバンニのベストセラー小説〈P分署捜査班〉シリーズをドラマ化した「ピッツォファルコーネ署 落ちこぼれ刑事の捜査」の放送にあたり、小説とドラマの見どころをご紹介します。原作小説の日本展開を担当されている東京創元社さんからの小説版の紹介＆ドラマの感想もありますので是非チェックしてください！

ドラマ「ピッツォファルコーネ署 落ちこぼれ刑事の捜査」あらすじ＆見どころ

シチリア出身の刑事ジュゼッペ・ロヤコーノ警部が突如言い渡された異動先は、ナポリにあるピッツォファルコーネ署。そこは前任者の汚職によって大量の欠員が発生した警察署で、各署から厄介者扱いされた刑事ばかりが集められ、年内に決まっている閉鎖までの残務処理に追われていた。先行きもわからず、やる気の出しどころも見つからない日々を過ごすメンバーだったが、一件の通報から始まった事件の捜査が大きく状況を変えることに。「落ちこぼれ刑事たちのたまり場」と揶揄されるピッツォファルコーネ署だったが、それぞれのスキルを活かして難事件の解決に挑んでいく…！

© 2016 RAI-CLEMART SRL

汚職の嫌疑をかけられた敏腕刑事ロヤコーノ警部をはじめとする個性豊かな警察署のメンバーがドラマの魅力を一層引き立てます。若い自称「特別捜査官」は速度超過の常習犯、容疑者を絞殺しかけるほど短気な巡査長に、銃マニアで上司を射殺しかけた巡査長補…と問題児ばかりなメンバーですが、不平を言いつつ、喧嘩を挟みつつ、重大事件の捜査には真剣な彼らの姿に夢中になること間違いなしです。

（文：うりまる）

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小説「P分署捜査班」シリーズの概要＆推薦コメント（東京創元社より）

イタリアの作家マウリツィオ・デ・ジョバンニが、アメリカの警察小説の金字塔であるエド・マクベインの〈87分署〉シリーズに影響を受け、観光都市ナポリを舞台に書いた作品で、有能だが問題を抱えている個性豊かな刑事たちの活躍を描く人気シリーズです。

ピッツォファルコーネ署に落ちこぼれ刑事たちが集まるドラマ版第１話はシリーズ第１作の『集結』が原作で、今回放送される全６話の中にはほかに第2作『誘拐』と第3作『寒波』を原作とした話が含まれます。

殺人や誘拐などさまざまな事件に取り組みながら、ピッツォファルコーネ署の面々がロヤコーノ警部を中心に少しずつチームとしてまとまっていく様子がシリーズ作品ならではの見どころ。

ミステリとしても毎回おっ！と思わせてくれる仕掛けがあり、ドラマのあとで読んでも発見があるはずです。現在刊行されているのは第4作『鼓動』までですが、第5作Paneも翻訳中ですのでどうぞお楽しみに。

（文：東京創元社　宮澤 正之）

著者：マウリツィオ・デ・ジョバンニ　翻訳：直良 和美
出版社（文庫名）：東京創元社

ドラマ「ピッツォファルコーネ署 落ちこぼれ刑事の捜査」を観た感想（東京創元社より）

まず目がいくのが舞台となるナポリの景色！ 風光明媚な観光名所はもちろん、作中で描かれている富裕層と低所得者の住む場所の違いがダイレクトに見てとれます。

登場人物たちのビジュアルはほぼイメージどおりで、そりゃあロヤコーノ警部モテるよねと納得しました（アラゴーナ以外の男性陣がヒゲをたくわえているのも日本のドラマではありえなくて面白い）。

ドラマならではのシーンで感心したのが『集結』を原作とした第1話でロヤコーノが真相に至る手がかりに気づく場面。そのきっかけがいかにもイタリアのドラマ！とうならされました。ほぼオリジナルの第2話も真相がわかったその後の展開に工夫があってよかったし、続きが楽しみです。

（文：東京創元社　宮澤 正之）

最後に

日本では歴史的価値や豊かな食文化を持つ都市というイメージの強いナポリですが、かの地の抱える美しくも複雑な事情を丁寧に落とし込んだ作品でもあります。小説を先に楽しんだ方は、映像化されたキャラクターの再現度や舞台の雰囲気をドラマで感じていただきたいですし、ドラマから小説に入る方は、映像化されるときにどうしてもカットされてしまいがちな細かな部分に注目するのもとても楽しいと思います。文章の巧みさを楽しむのは小説ならではですしね。

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冒頭ではチームとしてまとまるどころか、最初から離散するつもりで集められた悲惨な家族…という様相を呈していたピッツォファルコーネ署のメンバーたち。事件の解決のために奔走する中で、少しずつ本来持っていた刑事としての輝きを取り戻すとともに、治安と正義のために戦う仲間として結束していく姿に引き付けられること間違いなしです。ぜひ、ドラマと小説どちらの楽しみ方でも、ロヤコーノ警部たちの活躍を見ていただければ嬉しいです。

（文：うりまる）

【放送情報】
ピッツォファルコーネ署　落ちこぼれ刑事の捜査（全6話）
字幕版：6/8（日）夕方4:00　一挙放送

イタリアの作家マウリツィオ・デ・ジョバンニの大人気警察小説をドラマ化！
ナポリでも治安最悪の地区「ピッツォファルコーネ」を管轄する警察署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。腕利きだが問題のある警官たちが各地から送りこまれ、捜査チームが結成される！
個性豊かな“落ちこぼれ”刑事たちが、ナポリで続発する事件に挑んでいく!

番組公式サイト

※ミステリーチャンネルでの放送情報は、番組公式サイト、または、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまでお問い合わせください。

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