2026/04/23

【祝・翻訳化!】原作小説とドラマを合わせて楽しもう!「ヴェラ~信念の女警部~」小説とドラマの相違点&共通点※本編のネタバレなし

ITVにて2011年に初放送されて以来、14年間世界中のファンから愛された英国の国民的人気シリーズ「ヴェラ~信念の女警部~」の原作小説『水面の弔花』が、ついに日本語翻訳されて東京創元社さまより刊行されます!今回は、原作小説日本上陸を記念して、小説版とドラマ版の違いをご紹介します!

【初見の人のために】アン・クリーヴス原作「ヴェラ~信念の女警部~」とは?

© ITV Global Entertainment Ltd.

「ヴェラ~信念の女警部~」シーズン1~14 ミステリーチャンネルで5/1(金)朝6:00より一挙放送

英国推理小説界の至宝アン・クリーヴス原作で、2011年にイギリスITVで放送が始まって以来、14年間世界中のファンに愛された人気刑事ドラマ。仕事中毒の警部ヴェラ・スタンホープが、部下たちを叱咤激励(主に叱咤が多い)しながら凶悪事件の解決に奔走する姿を描いています。

事件の関係者たちの間で絡み合う複雑な人間関係や、単純な言葉では表現することのできない煮詰まった心の機微を丁寧に描き出すことで知られるアン・クリーヴスの原作小説の魅力を映像で表現することに成功しました。

加えて、物語の舞台であるイングランド北東部ノーサンバーランドの美しい自然や、鉄鋼や炭鉱の町としての名残を感じさせる無骨な建造物、そしてエリアで最も活気のあるニューカッスルの繁華街など、この地を彩る様々な風景を楽しめる作品でもあります。

同じくアン・クリーヴスが手掛けた「シェトランド」シリーズはすでに日本で発売されていますが、新たに「ヴェラ」シリーズの日本語翻訳本も出版が決定!今回は、アン・クリーヴス作品の日本展開を手掛ける東京創元社さまより「ヴェラ」シリーズ第一弾『水面の弔花』を一足お先に拝読させていただいた筆者が、原作小説とドラマの違いを語っていきたいと思います。

【あらすじ】ドラマ版シーズン1第1話「海に消えた秘密」として映像化

今回ご紹介する『水面の弔花』は、ドラマ版シーズン1第1話「海に消えた秘密」として映像化もされています。

物語は10代の男の子が殺害され、それを遅くに帰宅した母親が発見するという悲劇から始まります。その後、若い女性教育実習生も同じ手口で殺害され、被害者二人には同じ押し花のポストカードが届いていた。事件を担当するヴェラは、二つの事件の真相を突き止めるべく奔走する中で、関係者たちが抱えるさまざまな秘密を紐解くことになります。

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シリーズのファンにとってはあるあるかもしれませんが、この初期のヴェラの辛口っぷりにはヒヤヒヤさせられますよね。シーズンを重ねてもかなり気質の激しさが目立つところはありますが、それでもシーズン1の頃のナイフのような鋭さほどではないかもしれません。部下や同僚に対する厳しさもひとしおで、主人公のヴェラ・スタンホープという女性がどんな人物なのかを視聴者に強烈にイメージづける第一話だったと思います。事件の謎解きや、登場人物の人間関係の複雑さも巧妙に描かれていて、刑事ドラマとしても見ごたえのある作品として、日本でも着実にファンを増やしていきました。

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【原作小説とドラマの違いは?】

ヴェラの外見については、小説の中でおおまかに描写があります。大柄で、外見にはあまり頓着していない女性。激しい運動でなくとも簡単に息が上がってしまうほど体重があり、日光に過敏に反応するお肌を守るために日よけ帽子を手放せない。ドラマ版で主演を務めたブレンダ・ブレシンはイメージに合っている気がしますが、原作ではもっと大柄な女性であることが示唆されています。

また、ドラマ版との明確な違いもあります。それは彼女がサンダルを履いて、鞄を携帯していること。家を出発して警察署に行くまでも、事件現場を調べるときも、関係者と連れ立って砂浜を歩くときも、彼女はどうやらサンダルを履いているようです。さらに、警察官の身分証明書を鞄から取り出しているシーンが登場するなど、さりげない箇所ではありますが、ドラマ版のヴェラがそれをやっているところは想像がつかないという点でもあります(ドラマ版のヴェラは大体手ぶらでしたよね?)。

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さらに小説版のヴェラには、警察署内でのゴシップに詳しいという噂好きの一面も。部下の奥さんが若い男と駆け落ちしたとか、犯行現場検査官が現在不倫の真っ最中だとか、そういう話に敏感なヴェラは、ドラマ版のファンからするとちょっと意外かもしれません。

また、ドラマ版では家庭的な部分がほとんど見られなかったヴェラですが、小説では手間暇かけて鹿肉のシチューを煮込んだり、隣人からもらった鶏肉を調理したりすることがうかがえるシーンが登場します。もちろん、飲酒量が多く、家の中は散らかりっぱなし…というドラマ版との共通点もありますが、事件が込み入っておらず、時間と体力と気力があればヴェラも自炊だってするのだ、という新たな一面が垣間見えると思います。

【ヴェラの3人の部下たち】

本作『水中の弔花』には、ヴェラの部下は数多くいると描写されていますが、とりわけ出番が多いのは3人です。まずはジョー・アッシュワース。勤勉な部長刑事で、ヴェラからの信頼もひときわ厚い人物として描かれており、作中では奥さんが二人目の子供を妊娠中です。ドラマではデヴィッド・レオンが演じていましたが、かなり原作のイメージに近い配役だったのだな、と改めて感じました。警察官としての職務を全うしつつ、家庭も大事にしたいジョーのことをヴェラがどう感じているのか…という点は、小説の方がよりはっきりと描かれています。

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次にホリー・ローソンという若い警察官が登場します。若く、やる気に満ちていて、とびっきりの美人であると明確に描かれている人物で、ヴェラの厳しさに腰が引けながらもしっかりと職務に邁進していきます。ドラマ版では、ウンミ・モサクが演じていましたね。どちらかというと、眼鏡が似合う知的で真面目な女性警官…という役柄でした。小説版を読むと、異なる印象を受ける方も多いかもしれません。

最後に、ヴェラよりも年上の部下で、もうすぐ退職が近いチャーリー・ロブソン。ヴェラは彼が年下の女性の下で働くことを嫌がっているだろうと当たりをつけて日々を過ごしていますが、本当のところは分かりません。しかし、人当たりの良さで情報を集めるのが得意なジョーやホリーと異なり、チャーリーには長年あちこちの警察署で働いて培ってきた人脈と、寂れた場所にいても違和感がないくたびれた風貌でもって、若い二人では入手できない手がかりをヴェラに持って帰ることができます。

「あれ、ケニーは出てこないの?」と思った方もいるかもしれませんが、実はドラマ版でも第一話にはちゃんとチャーリーが登場していました。演じていたのは、ジム・キットソン。数多くの舞台に出演するかたわら、歌手や作曲家、音楽監督としても活躍する人物です。実はドラマ版にジョン・モリソン演じるケニー・ロックハートが登場しないのは、全エピソードでこの第一話だけ、というある意味貴重な回でもあります。

【小説版ならではの魅力】

アン・クリーヴス
玉木亨 訳
(創元推理文庫)

小説を読んでみると、ドラマ版はかなり原作に忠実に制作されていたことがよく分かります。特に、イングランド北東部の自然が織りなす美しさは、日本にいるとなかなか想像しづらいですが、ドラマだと映像で見ることができます。登場人物たちの流れるような会話や、わずかな瞬間に現れる表情の変化など、視覚や聴覚によって感情を揺さぶられるのも映像ならではの良さだと思います。

一方で、小説ならではの魅力もたくさんあります。まずは、圧倒的な情報量です。特に、それぞれの場面でヴェラが何を感じ、何を思い出し、何を想像したのか、そういったことがすべて文章で表現されています。ドラマ版ではヴェラが突然癇癪を起こしたように見えるシーンでも、小説では彼女の内側でふつふつと煮立ったものが爆発したのだ、ということが分かるハズです。個人的には、心の中でヴェラが毒づいているときの口の悪さがかなりツボでした。翻訳があまりにも巧みですので、気になる方はぜひご自身の目で確かめてみてください。

彼女自身の性格や過去がかなり掘り下げられている点も魅力です。ドラマでももちろんヴェラの過去に触れられてきました。小説ではさらに、ヴェラが父親に対して抱いている複雑な心境や、家庭や愛というものに対する漠然とした感情、そしてかつての自分と同じように困難な環境で育つ子供たちに向けるまなざしなど、彼女の個人的な部分に深く切り込む描写が数多くあります。ドラマを通してヴェラというキャラクターが好きになった方にとっては、たまらない情報が盛りだくさんだと思います。

© ITV Studios Limited 2024

【最後に】

今回は、アン・クリーヴスが手掛ける「ヴェラ」シリーズの記念すべき第一弾『水面の弔花』の日本語訳刊行を記念して、小説版とドラマ版の違いを紹介してみました。

シーズン14をもってドラマが完結してしまい、頼もしいヴェラの後ろ姿を見送って、晴れ晴れしくも少し寂しい気持ちになっていたみなさん、ついに、原作小説を日本語で楽しめる日が近づいてまいりました!その気性と仕事に対する情熱から警察署では誰もが恐れる警部であり、複雑な家庭環境で育った傷がいまだ癒えず、時々お酒に溺れる…。完璧なヒーローではないかもしれないけれど、事件の被害者のために徹底的に正義を追求する主人公ヴェラ・スタンホープの活躍を、文字でもぜひお楽しみください!

(文:うりまる)

【ミステリーチャンネル放送情報】
『ヴェラ~信念の女警部~』原作小説の刊行を記念して特集放送!
「東京創元社アワー アン・クリーヴス特集」

●ヴェラ~信念の女警部~(シーズン1~14・全56話)
字幕版:5/1(金)朝6:00~5/5(火・祝)一挙放送

番組サイト

●シェトランド(シーズン9・全3話)
字幕版:5/9(土)夕方4:00一挙放送
★シーズン1~8  
字幕版:5/6(水、振休)朝6:00~5/8(金)

2025年11月に英BBCで放送された最新シーズン9を独占日本初放送!
番組サイト

【「ヴェラ~信念の女警部~」原作小説 待望の初邦訳!ミステリーチャンネル公式オンラインストアで5/7より予約販売開始!】
詳しくはこちら

※ミステリーチャンネルでの放送情報は、番組公式サイト、または、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまでお問い合わせください。

 

ミステリーチャンネルについて

世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル 文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!

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うりまる
海外ミステリー作品を中心に執筆しています。コージー・ミステリーからハードボイルドまでなんでもよく食べます。