「コージーミステリー」とは？

コージー(cozy)の意味は「居心地がいい」。ズバリその名の通り、気軽に楽しめるミステリーです。主人公は刑事や探偵など専門の人間ではなくいわゆる素人。舞台は田舎町など主人公が暮らしている地域の場合が多く、人間模様や日常生活の中で起きる事件を扱います。しばしば殺人事件も発生しますが、暴力描写なども少なく安心して楽しめるのが魅力。アガサ・クリスティーの『ミス・マープル』シリーズ、アンジェラ・ランズベリー主演のドラマ『ジェシカおばさんの事件簿』などが有名です。

そんなコージーミステリーのおすすめ作品をご紹介します！

●『ブラウン神父』

謎を解き人を救う！村を駆けるおっとり神父

原作はG・K・チェスタトンの推理小説『ブラウン神父』、長年愛されているBBCの名作古典ミステリーです。舞台はイギリスの架空の村ケンブルフォード。のどかな田舎で殺人事件が発生すると、クロスワード大好きなブラウン神父はトレードマークのこうもり傘を抱え、謎を解くため奔走します。おっとりとした見た目とは裏腹に、アグレッシブな行動力で村を自転車で駆け回り、鋭い知性と洞察力を駆使しながら様々な事件を解決していきます。

英国ミステリーあるあるで何かとしんどい展開になりがちなのですが、そのたびにブラウン神父が優しく、時に厳しく語りかけてくれるので救われるキモチになります。被害者も容疑者も視聴者も救うブラウン神父の愛に包まれる、人の心も癒すミステリーと言えるでしょう。

＞＞「ブラウン神父」番組公式サイト

●『マリアの極上レシピ～愛のお悩みと殺人を解決』

南アフリカの荒野で鍋を振るって事件も悩みも解決します！

舞台は広大な自然あふれる南アフリカ。新聞社で料理コラムを連載するマリアおばさんは、小さな町でニワトリたちとともに暮らしています。ひょんなことからお悩み相談コーナーを始めたところ、次々と舞い込むワケアリの手紙たち！それをきっかけに、思わぬ謎や事件に巻き込まれるようになります。愛情深いマリアおばさんは悩める人々を救うために奔走し、時には長年の研究で生み出した絶品レシピで悩みを解決してくれます。

ポップでリズミカル、観ていて楽しいマリアおばさんの調理シーン。その合間に挿入される料理に関わるメロドラマ。味覚と感情で同時に脳みそを揺さぶってきます。ついマネしたくなる美味しそうなレシピがたくさん出てくるので、メモが必要かもしれません。さすがに殺人事件まではレシピで解決できませんので、ちゃんと地元の警察が登場してくれます。気になるカタブツ刑事もマリアのゴージャスな料理の手にかかればイチコロ と思ったら、そうも簡単には行かないお約束的展開も楽しいです。

そもそも舞台が南アフリカというミステリードラマとしてはかなりレアなロケーション。題材の中には多様性に踏み込んだものも見受けられます。近年のコージーミステリードラマの中ではかなり独創的な部類に入る作品と言えるでしょう。原作は南アフリカ在住のサリー・アンドリューによるベストセラー小説『Tannie Maria Mysteries 』。十か国語以上に翻訳されている人気シリーズです（2024年1月の時点で日本では未邦訳）。ふだんとは違った味をお求めの方にはぜひオススメしたい作品です。

ミステリーチャンネルにて、2/23（金・祝）夕方4:00より一挙放送！

＞＞『マリアの極上レシピ～愛のお悩みと殺人を解決』番組公式サイト

●『ケータリング探偵ミセス･シドゥの捜査』

パワフルなケータリング業者と陰気な刑事の凸凹コンビ！

ミセス・シドゥは女手一つで息子を育てながら、高級ケータリングサービスを営むヒンズー教徒のインド人。多忙な日々の中、なぜか行く先々で殺人事件に巻き込まれる彼女。お節介で放っておけない性格ゆえに、鋭い洞察力を駆使して探偵のように謎に向かって飛び込みます。料理を作って配達するケータリング業者であることを活かし、美味しいものと温かい心で人の懐に入り込むのはお手の物。台詞の端々に織り込まれたインドの思想や哲学がじんわり心に響くのですよね。とことんアグレッシブな彼女ですが、あらゆるところに首を突っ込んでは危なっかしい展開になりスリル満点。事件を担当するバートン刑事にため息をつかれることもしばしばです。

パワフルなミセス・シドゥと疲れ切った中年バートン刑事のつかず離れずな関係も見逃せません。ほぼニート状態でいつ成長するのかやきもきさせる息子の存在も要注目。舞台となるロンドン郊外のスラウは多様な民族が住まう街。良い悪いも含め、この地域のリアルな特色も感じられます。

重すぎたりありきたりにならず、温かさとユーモアに溢れている本作、一風変わった設定と本格ミステリーの見事な融合が楽しめます。製作したスタッフは「ミステリー in in パラダイス」「シェトランド」「アントワーヌとマリーヌ～プロヴァンスの事件簿」も手掛けています。お手元にチャイがあると気持ちが一層高まるのでオススメです！

ミステリーチャンネルにて、2/24（土）夕方4:00より一挙放送！

＞＞『ケータリング探偵ミセス･シドゥの捜査』番組公式サイト

●『グルメ探偵ヘンリー』

卓越した推理力とフライパンで事件に立ち向かう！？

有名料理コンサルタントのヘンリーは魅力溢れる洗練された紳士。彼が専門とするグルメ業界は、華やかさの影でドロドロの愛憎劇が展開され、時には殺人事件も発生します。そんな時、ヘンリーは持前の観察眼と推理力、料理の知識と鋭い味覚（！）で事件の解明に奔走するのです。

とはいえ舞台は大都会サンフランシスコ、一介の料理コンサルタントのヘンリーが殺人事件に関わるのは危険が生じます。そこで相棒役として登場する刑事のマギー。細かいところも気になる完璧主義者ヘンリーと、大雑把でサバサバ系な彼女との相性は最悪。晩御飯を適当にピザで済ませる彼女をグルメ探偵は許しません。なんなら勝手に家に来てプロフェッショナルなご飯を作ります。正反対ながらも息ピッタリな２人のやりとりと、スピーディな展開からも目が離せません。ミステリー×グルメ×ロマンスの誰もが安心して楽しめる、明るく陽気な王道コージーミステリーと言えるでしょう。

原作は英国人作家ピーター・キングのベストセラー小説『グルメ探偵』シリーズです。

ミステリーチャンネルにて、3/6（水）夕方4:00より放送！

＞＞『グルメ探偵ヘンリー』番組公式サイト

● 『フォトグラファーは名探偵』

カメラは見た！可憐なフォトグラファーが事件を追う

ポップでキュートで頭脳明晰！フォトグラファーのアリー・アダムスは小さな町でスタジオを営んでいます。結婚式やパーティなど、仕事現場の様々な場面で事件に巻き込まれがちなアリー。そんな時はカメラの中に収められたヒントを元に、鋭い観察眼と推理力を駆使して捜査を開始します。刑事のサムはド素人アリーが捜査に関わるのを疎ましく思いながらも、彼女のことが気になってしまい…？

アリーはキュートな愛され系キャラで魅力を振りまき、気のいい刑事サムとのロマンスもサクサク進展。時にはアリーに首ったけな記者も出てきて恋のさや当て的展開も！？スパイス的に濃いめのキャラが投入されることがあり、アリーが関わるアーティストたちもぶっ飛んでいて、良いアクセントになっています。フォトグラファーという設定もあり、ポップな画面構成で、ミステリーと同時に洒落たラブロマンスを楽しめる作品です。

＞＞『フォトグラファーは名探偵』番組公式サイト

● 『港町のシェフ探偵パール』

港町のレストランの肝っ玉おかみが事件も悩みも解決する！

舞台は英国南東部の港町ウィスタブル。一家でシーフードレストランを営むパールは、街の人々に頼られる探偵でもあります。誰かが悩みを打ち明けにくるとそれが事件に繋がり、パールは独自に調査を開始。何事も放っておけない世話好きかつ、一人で行くなと言われても行ってしまうのがパール。ロンドンから異動してきたマグワイア刑事と協力して、悩める人々のために事件の解決すべく奔走します。ミステリーだけでなく人間ドラマの要素も強く、事件に関わる人たちは人情派パールの人柄に触れて心を開き、解決のヒントを与えてくれることもあります。

このマグワイア刑事がまたワケありで陰鬱としているため、パールのほっとけないスイッチが入ってしまうのです。二人の関係も注目点ではありますが、二人とも謎解きは得意でも自分のこととなると話は別。たいへん不器用で、行くの！？行かないの！？なすれ違いばかり。距離の詰め方にやきもきしたりほっこりしたりと、事件以上に感情を振り回されることでしょう。 お気楽なコージーミステリーとはちょっと違う、英国特有の余韻のある展開と落ち着いた雰囲気が心地よい、穏やかで心にほのかに灯りをともしてくれるような作品です。

原作は英国人作家ジュリー・ヴァスマーの人気推理小説です。

ミステリーチャンネルにて、シーズン1を2/24（土）夜11:20ほかで放送！
また、待望のシーズン2を、3/9（土）夜8:00より一挙放送！
＞＞『港町のシェフ探偵パール』番組公式サイト

原作本もシリーズ第2弾が発売中！
『クリスマスカードに悪意を添えて　シェフ探偵パールの事件簿』（創元推理文庫）
ジュリー・ワスマー（著）、圷香織（訳） / 発売日：2023年11月20日
「クリスマスカードに悪意を添えて」（東京創元社の公式サイトへ遷移します）

● 『赤毛探偵ルビー』

スクープせよ！新進気鋭のリポーターが独自捜査！

シアトルのテレビ局の人気リポーターであるルビー・ヘリング。仕事第一主義の彼女は、スクープに繋がる事件の謎を解くため駆け回ります。ルビーも相棒となる刑事ジェイクも仕事を最優先するタイプ。似た者同士の２人の恋の駆け引きも見どころで、王道なロマンスが楽しめます。赤毛のルビー・ヘリング（Ruby Herring）の名前にひっかけてでしょうか、ドラマではレッド・ヘリング（ニシンの燻製：虚偽の手がかり）も多く仕掛けられ、あの人もこの人も怪しくなってしまい、予測不能な展開に目が離せなくなってしまいます。

コージーミステリーは素人たちが警察を出し抜くところも見どころの一つですが、このドラマではルビーが所属するテレビ局がそれやっちゃう！？というぐらいに警察を出し抜いてきます。〇〇砲のように、スクープしてナンボのテレビ業界のやり方はなかなか痛快です。

＞＞『赤毛探偵ルビー』番組公式サイト

● 『郵便探偵 ロストレターズ・ミステリー』

ちょっと変わった人情ロマンミステリー

配達不可能と思われる手紙を宛先人に届けることを使命とする郵便探偵チームＤＬＯ。そんな彼らの活躍と人間関係を描く、異色人情派ミステリーです。ミステリーと言えば殺人事件が主流ですが、このドラマは滅多なことで流血は起こりません！流すのは血よりも涙。安心してご覧いただけますが、ハンカチのご用意をオススメします。

個性豊かなキャラクターたちはこのドラマの人気の要。DLOリーダー格のオリバーは郵便規則を厳格に守る石頭でスマホも持たないアナログ人間。彼と対照的なシェーンは、コンピュータのスキルを駆使して事件解決に貢献します。知的でキュートなリタは、業務の効率化にローラースケートも取り入れる自由奔放さ。地味めなノーマンもアナログながら、郵便規則を丸暗記している脳内コンピューターの持ち主。この心優しい4人組の人間関係も見どころです。

さらに詳細な紹介はこちらにもイラスト満載で掲載しているので、ぜひご覧ください！

関連コラム【さまよう手紙たちの救世主・その名も遺失郵便課（DEAD LETTER OFFICE）！『郵便探偵 ロストレターズ・ミステリー』】

＞＞『郵便探偵 ロストレターズ・ミステリー』 番組公式サイト

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以上、おすすめコージーミステリーの8作品をご紹介しました。 おっとり神父さんから陽気なフォトグラファーにダンディな料理コンサルトなどなど…どの作品も彩り豊かなキャラクター満載で気になってしまいますよね。気になった作品がありましたら、ぜひぜひチェックしてみてくださいね！

【放送情報】

ミステリーチャンネルでは、さまざまなコージーミステリードラマを放送しています。ぜひご覧ください。

「マリアの極上レシピ～愛のお悩みと殺人を解決！」（全10話）
字幕版：2/23（金・祝）夕方4:00　一挙放送

「ケータリング探偵ミセス･シドゥの捜査」（全4話）
字幕版：2/24（土）夕方4:00　一挙放送

「港町のシェフ探偵パール」シーズン2
字幕版：3/9（土）夜8:00　一挙放送！

※各番組の放送情報はミステリーチャンネル番組公式サイト、またはチャンネルカスタマーセンターまでお問い合わせください。